もう20年も前のこと、山の近くの小学校に赴任した年に、オオムラサキの飼育が始まりました。 前年度からの計画だったらしく、学校の付近には幼虫のえさになるエノキと、成虫になってからえさにするクヌギとがたくさんあって、オオムラサキの生育しやすい環境なんだそうです。 そこで数の減ってしまったオオムラサキを飼育して放蝶し、オオムラサキを復活させようというプロジェクトだったらしいです。県の林業課の主導で山近くの学校数校が参加していました。
このオオムラサキの飼育がなかなか大変。 鳥などに食べられないように専用の小屋を作り(広さは3畳、高さは2メートルほど、全体を網で覆ってありました)まちがって逃がさないようにかぎまでかけて、おいしいエノキを育てるために毎日エノキアブラムシを退治し・・・・
学級担任が片手間で取り組むほど容易いものではなかったのです。お世話の中心はわたしに。苦労の甲斐あって1年目に5匹のオオムラサキが羽化しました。 オス3匹、メス2匹でした。 やがてメスは卵を産み、なんと幼虫が生まれたのです。 初めての飼育としては快挙でした。
これは、貴重な羽化の写真。 この写真を撮るまでには涙ぐましい努力があったのですよ。
羽化直前のさなぎ。 羽化が近くなると羽の色が透けて見えるようになります。 そんなさなぎを枝ごと花瓶に挿して羽化を待つのですが・・・・・・
いつも、知らない間に抜け出しているのです。 一度などは、会議中目の前に花瓶を置いてそれをにらみながら話し合っていたのに、ふと見るともう蝶になっていたりして。
実際に抜け出すのを見られたのは1回だけです。 もちろんビデオも撮りました。
セミは背中が割れ始めてから徐々に、徐々に体をだしてきますが、オオムラサキは、体を大きく一振りしたかと思うともうパックリと割れて体が出てくるのです。 あっという間です。 でも感動的な誕生でした。
出てきた蝶はまだ羽が縮んでいます。
少しずつ、少しずつ羽が伸びてきます。 きれいな青紫が見え始めました。 これはオスです。
ほとんど羽の伸びた状態。
羽化の瞬間を見たいがために次々とさなぎを職員室に持ち込んで、ビデオカメラをおいて・・・・と、半分くらいは職員室で羽化したものです。
このように、大型の蝶の飼育には相当大きな小屋が必要です。本格的にオオムラサキの飼育に取り組んでいる所は、熱帯植物のハウスくらい大きいですよね。
アサギマダラも……いやいや無理です。うちにも小屋とまではいかないけどかなり大きな鉄の枠はあったのですが、重くて移動ができませんでした。農薬のかからない、木漏れ日の差すような場所に作りたかったのですが。
結局、使わなくなったストーブのガードに白い寒冷紗を被せて小さな檻を作りました。吹けば飛ぶような小屋です。いや、実際に飛びました。とりあえず、とりあえずのつもりでしたがー結局は改善することなく1ヶ月近く使い続けました。
続く
サナギを囲んで会議している様子を想像するとおもしろいです(笑)なのに羽化の瞬間を誰も見ていないなんてミステリーみたいですね~
7匹の幼虫を譲り受け育てていますが、先日、サナギから12日目で1匹は羽化しました。私は初めての飼育です。毎晩、蜜を飲ませ1日でも長く生きてほしいと願っています。その他のサナギも順調に育っていますので、7月上旬には残りの6匹も羽化してくれるものと期待しています。
近くの小学校か中学校で観察したいようでしたらオオムラサキをお貸ししたいと思っているのですが、私の子供が通っていたころの先生はいませんし、そんな気持ちだけになっています。
読ませていただいて勉強になりました。自然の中で生息したい蝶には気の毒ですが、これからも居間で飼育をさせていただこうと考えています。
居間で育ててらっしゃるんですか。外敵には襲われないでしょうがエノキの葉がたくさんいりますね。
羽化してからもえさに気をつけると1ヶ月くらい生きていますよ。居間で一生を終えるのはかわいそうかもしれませんが、安易に放蝶するのは問題がありますからしかたがないですね。
幼虫が地元で採れたものなら大丈夫です。あるいは幼虫のふる里へ持って行って放すのがいいかもしれませんね。
オオムラサキの生息地に近い学校だと、成虫の実物を見せてあげると喜ばれるかもしれません。また、そうでない所でも、国蝶は珍しいですからやはり喜ばれると思いますよ。教頭先生か校長先生に電話されるといいと思います。
ただ、自分たちで小さい幼虫から育てるから羽化も感動的なのであって、いきなりさなぎだけ見ても喜ばれないかもしれませんね。
7月5日で全てのさなぎが羽化しました。さなぎになった日から11日前後で次々と力強く美しい姿を見せてくれました。全ての幼虫を羽化させてやりたいと願っていましたので、オス3頭、メス4頭が元気に蝶になってくれて喜んでいるところです。
少なくても1ケ月は生きてほしいものです。毎日の餌やり(蜂蜜)を楽しんでいます。
蜂蜜でもOKなんですか。それだと簡単ですね。オオムラサキは自然界では樹液を吸うので、市販のカブトムシのえさなどはどうかなと思ったこともあります。
実際は、他の飼育者の研究結果をもとに樹液に近いものを作りましたがこれがなかなか苦労でした。
国蝶です。輝くような紫のそれはそれは綺麗な蝶なんです。がー
そう簡単に増やせるものではなかったんですよ。それはこれからの記事のお楽しみということで^_^