あた子の柿畑日記

田舎での日々の生活と趣味のレザークラフトについて

おもしろ地形学という名のツアー2

2024-10-25 23:45:00 | お出かけ
 昼食後、バスは世田山(世田薬師)のふもとを抜け、山沿いの道を西へ向かいました。そして愛の山の手前、何にもないところで停まりました。
 
 バスは路駐です。 下りると道前平野が見渡せました。
 
 手前は水田、その向こうに集落があります。 右手のこんもりした丘は「おしぶの森」。わかりにくいかもしれませんが、手前に小さな「すくも山」が重なって見えます。
 
 集落のあるあたりが扇端部分で、その向こうはまた水田。山のふもとにうっすらと白く見えるのが高速道路のようです。それと並行して低い位置に国道11号線、さらに低い位置に中山川が流れています。



 説明によると、これが典型的な土地利用なのだそうです。山のふもとの水のあるところ(扇のかなめ部分)に集落ができ、いったん水は山から運ばれた土砂の下を潜って流れ(扇央)、その水が再び湧き出るところ(扇端)に集落ができました。
 
 弘法大師さんがここを掘れと杖を突くと水が湧き出たーそんな伝説がいろいろなところに残っていますが、案外お大師様はそうした地形の仕組みをわかっていたのかも。だとしたら昔のお坊さんは地理学や土木に長けていたのかも。
 
 集落の向こうに見える山々が石鎚山系の山です。そして自分たちが立っているところは今治から続く高縄山系の端っこ。その間を中央構造線が通っており、向こうは変成岩、こちらは花崗岩の土地というわけです。その境目が、この辺に限って言えば中山川のようです。この後その一端を見に行きます。
 
 
 ここで、山の三角断面というのを模型を使って説明してもらったのですが…
 
  理屈はわかるものの、どこのことを言っているんだろう?向こうの山並みは細長く伸びています。あれを横断するように切ってずらせば断面は三角形ではありますが?
 
 後日、もう一度ここを通ってみて、これのことか?と思ったのは
 
 後日撮影


 私たちが立っているすぐ後ろの山が三角形でした。かまぼこを切って少しずらせばこんな風に見えますよね。
 
 バスは愛の山と三角形の山の間を走って行って、また路駐、いや数分間停止しました。何のことかわからないままバスを降りると、講師の先生がペットボトルを持って立っていました。
 そして道の真ん中に水を流しました。
 ますます?の私たち。
 


 先生曰く、この辺りにおそらく日本で二番目に低い分水界があるのだと。
 分水嶺はよく聞く言葉です。山頂に降った雨が別々に流れていく堺のことですが、この谷でもそれが見られるというのです。
 それらしい所はなんとかわかりました。
 用水路の水も、大きな石の下で左右に別れて流れていました。
 
 
左へ
 
 

 右へ
 





 ううん、なんとなく分かった気はしましたが、雨が降っている時に見てみたいものだと思いました。
 
 さて、バスは山沿いの道をずんずん行って川(関谷川)に突き当り、川沿いの道を下って中山川の河川敷にやって来ました。
 説明によると、ここまで走って来た道が、関谷川によって作られた扇状地の周辺だということです。この扇状地も、扇のかなめにあたる場所に集落があり、中ほどに果樹園地帯が広がっています。そして扇端部分にまた集落が広がっています。関谷川が運んだのは肥沃な土と大きな瓦礫だったようです。そのために水はけがよく(別の言い方をすれば水持ちが悪い)果樹栽培に向いているのだとか(別の言い方をすれば水田には向いてない)。
 
 河川敷にはキッチンカーが待っていてくれました。人気のララジュースさん。
 イベントで何度かお会いしましたが、こんな車だったとは気づかなかった。



 いちごのラッシー
 

 濃厚でおいしかったです。ホッと一息つきました。ここまで結構真剣にお勉強しましたから。
 それぞれが好きなものを飲みながら最後のお話を聞きました。さすがにみんな疲れて、そのあたりに座り込んで聞く人も。私も座りたかったけど、我慢して立っていました。この河川敷は、私のブログにもしばしば登場する、新たな桜の名所です。写っている木々はすべて桜。
 
 模型を使って、断層の説明です。

 
 ここにわずかに川上断層の地層が露出している場所があるというのです。

 
 向こう岸の左の方、黒い石の部分がそれのようです。わかりにくっ。
 西条市に走る断層は、一番大きなのが中央構造線。説明パンフレットを見たところ、中央構造線の付近をしわのようにいくつかの断層が走っていました。中でも一番危険なのが川上断層なのだそうです。
 
 バスはここから湯谷口温泉を通って国道11号線に出ました。国道は、旧周桑郡小松町あたりまでほぼ中山川と並行に走っています。最後に石鎚神社の駐車場にやってきました。
 
 ここで見たのは、加茂川が作った扇状地、最初に見た観音水につながる、旧西条市の全体像でした。
 
 新居浜市方面
 連なる橋は加茂川にかかる橋かと思います。こんな風に見たことがなかったので、違っているかもしれません。
 
 
 正面

 
 左方向、旧周桑郡は山に隠れて見えませんでした。
 
 驚いたことに、目の前の水田も干拓されてできた土地だそうで(禎瑞はさらに向こう)。目の前の木々の下あたりまで海岸だったというのです。干拓事業は一度だけではなかったのですね。

こうして、西条市中心部を出発して、海沿い山沿いを走り西条市の西部を一巡してツアーは終わりました。
 
 以下、長文ですので適当に読み飛ばしてください。
 
 このツアー、主催者も驚く反響で、一緒に行くはずだった友人一人はキャンセル待ちになってしまいました。そしてついにキャンセル者は出ず、参加できなかったのです。
 ただ、平日のツアーということで参加者のほぼ全員が高齢者。若い人たちが参加できる形はないのかしら。それはそれでも残念ではありましたが、わが地域を知ろうと思う高齢者が多いということはどういうことか?
 私に限って言えば、若いときは職場と家とを往復するだけ。いつまでも自分の住む町に愛着を持てなかったというのが正直なところです。保護者の中に、私の出身高校の2年後輩がいて、彼女が「私はいまだにこの土地に馴染めなくて・・・」と言った人がいます。共感しました。家庭訪問では、子供のことではなく高校時代の思い出話で盛り上がりました。彼女、子供さんの受験を機に松山へ引っ越したと聞きましたが、その後どうしているかしら。
 
 それから・・・
 
 退職して、時間に追われることも無く犬を連れて散歩して、気ままに花畑の手入れをして、たまに農作業もして、身の回りの草の小さな花にまで目を止めるようになり、草にとまっている虫をしげしげと眺めるようになり・・・・そこに生きている草木も生き物もすべてをひっくるめて愛するようになって郷土への愛着は生まれるものだと、今はしみじみと思います。
 そして地球の動きから始まる土地の歴史に目を向けたら、ここに住んだ祖先への思いが加わりました。
 
 後日、娘から聞いたことです。
 
 関谷川扇状地ではところどころにお地蔵さんが立っているのを見かけます。娘曰く
「お地蔵さんのあるあたりは、昔どざえもんが溜まる場所だったんだって。」
不謹慎な言い方ですみません。地域の古老にこのように言われたらしいです。わたしはそれを聞いてこんなことを考えました。
 
 過去に何度も土石流が流れたに違いありません。そのたびに扇のかなめの部分は被害を受け、扇端部分の流れが緩やかになった場所に犠牲になった人が行きついたのでしょう。それがあのお地蔵さん付近だったのではないかと思いました。私の知っている限りお地蔵さんの建っている場所は全部水路のそば、そして集落のそばです。土石流は中山川に向かって流れて行ったことが想像できます。
 講師の先生の
「何もかも自然の現象にすぎないけれど、そこに人がいれば災害になる。」
 大昔から、人は水を求めて住み、災害の危険と隣り合わせて暮らしてきたのですね。到底人力では歯が立たない、強力な自然を相手に少しでも手を加えて安全を得ようとしたり、暮らしを豊かにしようとしたり、犠牲者を後世にわかる形で悼んだり・・・そうした人々の思いの上に自分たちの暮らしがあるーとても大切なことを学んだツアーでした。
 
 それにしても
「すべては自然現象。人がいればそれが災害になる。」
 昨今の災害を思うとなんだか切ない言葉です。
 
 
 

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あたこ)
2024-10-26 10:11:04
慧竿さん
わたしもパソコンの不調を2、3年放置してまして、スマホ一辺倒だったのですが、ようやく大金はたいて直しました。それで慧竿さんを訪問したら更新がなくて。
たまにコメントいただいてたのでご無事とは思いましたが…
ご紹介のチャンネル拝見しました。ありがとうございました。
時期が時期だけにこれを二次拡散するには、わたしのブログの趣旨とは違いがありますので、一旦隠せていただきますね。すみません。
詳しいお返事は、そちらに訪問して書かせて頂きます。
返信する
Unknown (慧竿)
2024-10-27 08:14:24
ご配慮有難うございます😊

しかしながら
私のブログは投稿しか出来ません

パソコンのメールが
未だ解決出来ず、放置状態で
管理者モードが使えません!😭

多分最新機種のソフトなら
繋がるかと思うのですが
前回の企業対応からして
面倒なのではないかとも思い
半分諦めてます!

ちょっと前ならシャカリキに
対応してたのに……ねぇ😅
返信する
おはようございます (みーばあ)
2024-10-27 09:27:48
その土地の成り立ちを知る
歴史を知るという事でその土地に愛着も沸いて来る
その土地の地形からいろんなことが見えて来ますね
私の住んでるところは新興住宅地
それなりにこの地になじんでいるつもりでしたが~
この地の歴史や成り立ち考えてみたら全く知らないですね
昔は鬼怒川が氾濫して大変だったとか古い話として聞いたことは有りますが
旧街道もすぐ近くに有るし宿場町だったと言うところもちかくにあるし
知ればもっと愛着がわくのかもです
地形からその土地を見る
良いツアーでしたね
返信する
Unknown (あたこ)
2024-10-28 08:24:34
慧竿さん
まずは体の不調でなくて何よりです。
今はもうたいていのことはスマホでできるようになりましたが、慧竿さんのブログはスマホ対応してなかったんですよね、確か。
わたしのコメントは放っておいてくださっていいですよ。
返信する
Unknown (あたこ)
2024-10-28 08:35:23
みーばあさん
タモリさんの番組などもふうん、という感じで見てましたが、土地の成り立ちから祖先の暮らしを知るってこういうことかと思いました。
災害の被害など、今は他所であっても手に取るように分かりますから、当時の人の苦労や悲しみも人ごとでなく感じます。自然の大きな力や人間の非力なこと、それでもここにとどまって歴史を紡いできた祖先の尊さなど、思うことのたくさんあったたツアーでした。
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