ゴールデンウィークの湖北の旅の最後は、きのもと交遊館です。
木之本町の北国街道の町家の並びの中に、石張りのギリシャ風建物があります。
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元々は湖北銀行木之本支店。1935(昭和10)年築。鉄筋コンクリート造、国の登録有形文化財。
その後滋賀銀行木之本支店となり、2006年から「きのもと交遊館」として地域交流の場として改修・再生されました。
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前面4本の柱は直径1メートルもあって、前にせり出し、イオニア式柱頭、溝の彫られた柱身、すべてギリシャ古典様式にのっとった堂々とした建物です。
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中に入ったところは、天井の高い銀行のホールを改装して、観光案内所兼カフェになっています。(水・金・土・日曜のみ開店)
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奥の方は改装の時に広いホールになって、ダンスホール、コンサートなどに使われているようです。
江北図書館がある木ノ本の町は木之本地蔵院の門前町であり、北国街道の宿場町として賑わった町並みが残っています。
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このJR木之本駅は平成18年10月に建て替えられたもので、近くに昔の駅舎が残されています。
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駅前から地蔵院に向かって登っていく坂道の側に蔦のからまるいい感じの建物がありました。
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木之本地蔵院。
この前の通りが北国街道で、両側に延びて宿場町のたたずまいの商家が並んでいます。
昭和の始めまでは街道の真ん中に小川が流れ、柳の木が植えられていましたが、今は埋め立てられています。
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創業460年の酒屋さん。
清酒「北国街道」
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木之本馬市があったあたり。
室町時代から昭和の初期まで毎年2回、街道の民家を宿として牛馬市が開かれ、山内一豊が妻のへそくりで名馬を求めたのもここだと言われています。
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うだつの上がっている家がたくさんあります。
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元本陣で薬局を営業していた家。
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古い薬の看板が並べられています。
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本陣の玄関先には馬を繋いだ金輪があり、
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本陣薬局の看板。
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こちらも創業450年の酒屋さん。
「七本槍」
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町並みの南のはずれあたり、北国街道と北国脇往還の分岐点。
余呉から再び北陸本線の電車に乗って、木ノ本駅で降りました。
JR木ノ本駅のすぐ目の前に財団法人、江北(こほく)図書館があります。
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余呉町出身で苦学して教員になり、後に弁護士になった杉野文弥氏が1902(明治35)年に三十歳代で私財を投じて郷里余呉に蔵書三千冊の「杉野文庫」を設立し、後にこれを木ノ本に移して伊香郡議事堂の一部を借りて充実させ、1907(明治40)年「財団法人江北図書館」として開館したものです。
郷里に図書館を創って多くの青少年に勉学の機会を与えたいという杉野氏の情熱が現在まで引き継がれ、滋賀県で最も古い図書館として活動を続けています。2007年に創立百周年を迎えています。
この建物は元は伊香郡農会の庁舎として、1937(昭和12)年に建てられました。農会とは、農業経営の指導を行う半官半民の団体で、行政の一翼を担っていましたが、戦後は農協に改組されました。建物は伊香郡の公会堂も兼ねていました。
元の用途の農業振興を進める点でも、現在の用途の図書館としても、それぞれ地域の近代化に大きな役割を果たしてきたものとして、意義深い貴重な建物です。
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玄関入口を入った所。この奥の右側に狭い通路を挟んでぎっしりと書架が並んでいます。左側はフロア式になっていて、絵本などを備え、子供用の読書室になっています。
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二階にあがる階段。
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二階の畳敷きの大広間。公会堂の面影を残しています。
和室だけれど、半円形の窓が洋風になっていて、正面玄関上のアーチ部分になっています。
周囲に箱詰めや書棚に本が並べられていました。
どこをとってもものすごくレトロ、とてもなつかしさの漂う建物でしたが、たくさんの本の荷重に耐えている痛々しいくらいの感じがあって、何とか保存、補修していってほしい建物です。
図書館の管理をしておられる女の方がとてもにこやかに親切に対応して下さったので、少しお話を伺ってみました。
その日、利用者の姿は全然見られなかったのですが、やはり本を見に来られる方は少なくなっているようです。滋賀県は公共図書館が充実してきたので、多くの人はそちらに行かれるし、少子化・本離れが進んできていることも影響しているそうです。
例外として、ここにしかない本を訪ねて研究者の方達が見に来られることがあるそう。
ざっと見渡すと、結構新しい本も多くて、滋賀県の歴史とか地理に関する本とかおもしろそうな本もたくさんあったのですが、見に来られる方が少ないとは全くもったいないことです。
もしも老後にこの近くに住んでいたら、毎日本を読みに通えるのになあ。
あるいは、一人で大変でしょうからボランティアで少しお手伝いにでも・・・
。
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近江今津駅から4つ目の駅が湖西線の終点、近江塩津駅。そこで北陸本線に乗り換えて今度は琵琶湖東岸を南下、1つ目の駅が余呉駅です。
前からあこがれだった羽衣伝説の余呉湖、三橋節子さんの絵にもなった余呉の天女の里を訪ねました。
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湖は駅のホームや電車の窓からは、田んぼを隔てた向こう側、山の手前に一直線になって見えます。
向かいの山が、お江ちゃんの運命を変えた柴田勝家と秀吉が戦った「賎ヶ岳の合戦」のあった賎ヶ岳のようです。
山の向こう側に琵琶湖があります。
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10分程歩くと湖のほとり、余呉湖観光館等が建つ広場に着きます。
その辺りでは釣りをしている人達もいました。
湖の周囲は約6.4km、水深13mです。
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ちょうどゴールデンウィークの催しをやっていたようで、屋台で食べ物や山菜等のお土産を売っていたので、ちょっと食べてタラの芽を買い込んでしまいました。
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湖の手前は豊かな水量の水路と田植え前の水田が広がっていました。
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おおっ!これは虎杖(イタドリ)ではあーりませんか!(手前はタンポポ)
「イタドリ・クラブ」の皆さーん、余呉湖の水路脇の土手にイタドリがどっさり生えていましたよー。
余呉湖の周りは広い水田地帯に農家がかたまってあるだけで、駅前にもお店は一軒もなく、観光館と湖の反対側にある国民宿舎の他に、休憩する所もないようですが、そうした何もないところ、静かな農村風景が余呉湖の魅力なのでしょう。
自然がいっぱいの余呉湖の里でした。
次の電車が出るまでの約1時間の間に湖まで行って帰ってきたので、天女が羽衣をかけたという衣掛柳の方には行くことができませんでした。
さらに時間があればレンタサイクルを借りて湖一周をしたかったのですが、またの機会に。
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きゃ~
、今津から乗ったJR電車のつり広告に
大川橋蔵様
が
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最近出てきたらしいパチンコの新台の広告で、「銭形平次 with チームZ」。
AKBなんとかがちゃらちゃらして大当たりになると、銭が飛んだり、十手をくるくるしたりと、橋様のかっこいいお姿が見られるらしいので、パチンコ屋の前を通る時は一生懸命覗いて見てみるのですが、未だにそれらしきものが見つけられません。
滋賀県ではやってるのに、京都ではまだなのかな。
どこかにあったら、自分ではとても当てられそうにないから、よその人がやってるのを覗かせてもらえたらなんて、夢想してしまいます。
しかし、この電車のつり広告、この写真を撮ったすぐ後に、交換の人が乗ってきて、この1枚だけとり換えていってしまいました
。
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滋賀県でももう終わったということなのだろうか
。
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ヴォーリズ通りを歩いた後、近江今津駅の近くのアーケードのある商店街でおいしい鰻丼を食べて、もう一度駅から琵琶湖の方に向かって歩きました。
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駅から5分くらいですぐに琵琶湖岸に着きます。
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ここが今津港。大津、長浜との間に定期便が運行しています。
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ちょうど船が出航したところでした。
船着場の先端に見えるのがその船。
手前の三角の形をした石が「琵琶湖周航の歌記念碑」です。
「われは湖(うみ)の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
昇るさぎりや さざなみの
志賀の都よ いざさらば 」
なつかし~い歌ですねえ。
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今津港と駅の間に「琵琶湖周航の歌資料館」ができていました。
9;00~17:00
休館:月曜、年末年始
入館無料
琵琶湖周航歌についてのいろいろな資料が展示され、多くの演奏家による曲を聴くことができます。
しかし、この施設はどこの誰が作って運営しているのだろうか、どうも意味不明だった。
「琵琶湖周航歌」を作曲したのは吉田千秋、作詞は小口太郎です。
吉田千秋は新潟県生まれ、東京農業大学の学生だった大正4年に「ひつじぐさ」を作曲して、雑誌「音楽界」に投稿しましたが、結核のため、大正8年に22才の若さで亡くなっています。
小口太郎は長野県岡谷市生まれ、第三高等学校に入学、ボート部による琵琶湖周航に参加した時、1917(大正6)年6月26日に今津の合宿の宿でこの歌を作詞しました。
ボート部員達がその歌詞を「ひつじぐさ」のメロディにのせて歌ったのが「琵琶湖周航歌」の始まりでした。
小口太郎は、第三高等学校を卒業後、東京帝国大学理学部に入学、「有線及び無線多重電信電話法」の特許を得るなど将来を嘱望されていましたが、徴兵にあい、精神を病んで大正13年に26才で自殺したそうです。
と、いうようなことを、この「琵琶湖周航の歌資料館」に寄って初めて知りました。
こういう背景を知ると、この歌から何か「青春の歌」という感じを受けるのもうなづけるような気がしてきました。
「ひつじぐさ」というのは、日本産の小型の睡蓮のことで、今津町では今これを増やそうとしていて、たくさんのお家の前に睡蓮の鉢が置かれていました。
今津ヴォーリズ資料館、今津教会からヴォーリズ通りを歩いて行くと、次に建っているのが、「旧今津郵便局」。
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1936(昭和11)年、ヴォーリズ建築事務所の設計で建てられた郵便局です。
昭和53年まで使用され、当初はここで電話交換事務も行われていました。
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裏に廻って見ると、こんな風になっていました。
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ヴォーリズ建築として、こうして表示板も出ているのに、個人の所有でもうすぐ壊されてしまうという話を聞きました。
前の通りが「ヴォーリズ通り」という名もついているのに、これがなくなるとヴォーリズ建築は二つになってしまい、「ヴォーリズ通り」とはいえなくなってしまいそう。
今津ヴォーリズ資料館から1分もかからないところにあるのが、ヴォーリズ設計の今津教会。
現在も教会・幼稚園として使われています。
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1934(昭和9)年築。
木造、1階建て。国の登録有形文化財。
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この入口側から見た建物正面がとても印象的、塔と玄関の屋根の傾斜を揃え、すっきりとしていかにもプロテスタントの教会らしいシンプルな造りです。
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後ろから見たところ。
幼稚園は後ろ部分を建替えて使っています。
今年の連休は遠出はせずに、近場で日帰り琵琶湖を一周してきました。
湖西線から廻って、立ち寄ったのは今津、余呉、木ノ本と主に湖北の建物を訪ねる旅でした。
先ずは、今津の駅から約10分のところにある「今津ヴォーリズ資料館」。
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元は、百卅三銀行(現滋賀銀行)今津支店。
1923(大正12)年築。設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズ。
古代ギリシャ・ローマ風の古典的様式です。
鉄筋コンクリート・レンガ併用造、二階建て。国の登録有形文化財。
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いかにも銀行風のがっしりした建物です。
この建物は、1978(昭和53)年に滋賀銀行が駅に近いところに移転したため、空き家になって後、今津町が買い取り、町立図書館として使われていました。その後、2001(平成13)年に町立図書館も移転したので、再び空き家になりましたが、幸いヴォーリズ資料館として復元耐震工事のあと2003年から公開されています。
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中はヴォーリズ関連の資料が展示されるとともに、カフェや地域のサロンとしても使われています。
入館無料。
休館日:月曜(祝日の時は翌日が休館)年末年始休
高島市今津町今津175
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大きな暖炉の跡がありました。
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この建物が保存活用されているのも、住民から永年愛されてきたことが伺えます。この前の辻川通りは別名ヴォーリズ通りと呼ばれ、ヴォーリズの設計した建物が3つあり、明治から大正・昭和にかけて大変賑わった通りでした。
今ではJR今津駅近くに町の中心が移っていますが、昔の賑わいを感じさせるなつかしい感じの商店街が続いています。
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ヴォーリズの建物を見ながら、ゆっくりと商店街を歩き、今津駅まで帰りました。