夏の旅第三弾は京都市北区等持院東町にある木島櫻谷旧宅(櫻谷文庫)。(2012.8.19)
木島櫻谷(このしまおうこく)(1877~1938)は明治から大正昭和にかけて、竹内栖鳳と京都画壇の人気をわけて活躍した日本画家で、その旧宅に遺作、スケッチ帖、収集した絵画、書、書籍1万点以上を収蔵しているのが櫻谷文庫です。
櫻谷は三条室町から当時まだ竹藪だった葛野郡衣笠村に転居して来、住居と画業の場としました。その後、多くの画家がこの衣笠の地に移り住み、この辺りは「衣笠絵描き村」と呼ばれるようになりました。

建物は大正初期に建築された和館、洋館、画室からなり、いずれも国登録有形文化財に指定されています。

和館は玄関、仏間、客間、茶の間、台所、女中部屋などたくさんの部屋があります。

二階の部屋は四方に窓が開き、北には衣笠山、東には比叡山が見渡せて、風が通り抜ける気持のいい部屋です。
櫻谷さんはこの南向き廊下の藤のベッドに横たわって昼寝をしていたのでしょう。

足踏みミシンがある主婦の部屋。

おくどさんがある台所。

通り庭。

和館の西側に洋館が建っています。

洋館の1階と奥1・2階は収蔵庫、螺旋階段を上がった2階は作品の展示と画商などの来客と商談をする部屋となっていました。
2階は櫻谷自身の設計によって、漆喰壁、折り上げ天井、腰板部分の竹のデザインなどで和洋折衷の意匠になっています。

和館と洋館の裏に広い畑を隔てて、

画室(アトリエ)が建っています。

外観は2階建てのように見えますが、天井の高い80畳の大画室となっています。
ここで、絵画制作や弟子達の指導にあたっていました。
広い土地と建物を管理するために、土地の一部を近くの学校のテニス場と弓道場に貸していますが、それにしても、よく今まで元の姿のまま維持していただけていたものだと感心しました。