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二日目の朝、ホテルの窓から見ると、阿蘇外輪山に日が登るのが見えました。
阿蘇山は約30万年前から4回にわたって大噴火を繰り返し、特に約9万年前の第4回目の噴火でできたカルデラは東西約18キロメートル・南北約25キロメートルに及び、カルデラを取り囲む外輪山を含めた全体で阿蘇山と言われています。カルデラの中央に新たに噴火で盛り上がってきた中央火口丘(阿蘇五岳)がそびえています。
広大なカルデラの中に阿蘇市、南阿蘇村等の市町村があり、JR豊肥本線と南阿蘇鉄道が走っています。
泊まったホテルがあるのは、カルデラの中央北寄りにある内牧(うちのまき)温泉。
この近くは平成24年7月12日の豪雨で河川が氾濫し、多くの人が亡くなる被害を受け、宿の近くの川でもまだ改修工事をしているところが見られました。阿蘇カルデラ内は昔湖底だった低地であることと、外輪山も火山活動によってできた土壌のため土砂崩れの起きやすい地形なのだそうです。
翌朝8:00にホテルを出発。
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バスで30分程走って着いたのは、外輪山の西の切れ目近くにある「数鹿流ヶ滝(すがるがたき)」。落差60m、滝幅20m、滝壷の広さ2,970m²の大きな滝で、日本の滝百選に選定されています。
外輪山に滝の多いのも火山噴火による地形の特徴です。
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数鹿流ヶ滝の変わった名前の由来は、神話の伝説で健磐龍命(たけいわたつのみこと、阿蘇大明神)がカルデラ湖となっていた阿蘇に田畑を造るため、外輪山を蹴破り、そこに滝が出来た時に鹿が数頭流されたので、「数鹿流ヶ滝」と呼ばれるようになったと言われるもの。
もう一つの伝承として、鎌倉時代初期の1191(建久2)年、阿蘇氏が「下野の狩り」と呼ばれる巻狩を行った際に、追い詰められた鹿が逃げ場を失い数頭が滝に落ちて流されたというもの。
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次はカルデラの南部、南郷谷を流れる白川の水源に行きました。
熊本県阿蘇郡南阿蘇村白川。
毎分60トンもの湧水が地底の砂とともに、勢いよく湧き上がり、白川へと流れ出しています。
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川からいきなり柄杓で水を汲みあげて飲むことができ、とてもおいしい水でした。
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日本の名水百選に入っています。
南阿蘇村にはこの他にも10ヶ所の水源があり、南阿蘇村湧水群となっています。阿蘇火山のもたらす恵みの一つです。
近くには南阿蘇鉄道の長い名前の駅「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」もあります。
白川水源9:45発。
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次は快適なハイウェイを走って宮崎県に入り、天岩戸(あまのいわと)神社へ。
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字天岩戸。
岩戸川をはさんで西本宮と東本宮がありますが、西本宮だけお参りしました。
日本神話(古事記・日本書紀)の中に書かれている天照大御神が隠れた天岩戸といわれる洞窟を御神体として祀っていますが、元は在地住民の信仰を集めたもので、社殿ができたのは明治30年になってからです。
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この拝殿の裏側から谷を隔てた山の中腹に洞窟があるのですが、木が鬱蒼と茂っていて、洞窟がどこにあるのかはっきりとわかりませんでした。洞窟に入ることはタブーになっていて、今は崩落しているそうです。
拝殿の裏に廻る前に一同神職からお祓いを受け、そこからは撮影禁止になっていて、神秘性が強調されていました。
川上には、天照大御神が隠れた時に八百萬の神々が集まり、相談をしたという天安河原(あまのやすかわら)がありますが、今回は行きませんでした。辺りは深い谷と高い山が空を覆い、秋には紅葉が絶景となると思われます。
天岩戸神社11:30発。
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すぐ近くにある高千穂神社。
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井字神殿 にあり、天孫降臨伝承と在地固有の信仰が融合し、更に熊野修験も加わるなど複雑な信仰を集めて伝えられて来ています。
11月22-23日に高千穂夜神楽まつりが行われ、 夜を徹して夜神楽全33番が奉納されますが、観光用にほぼ毎日そのうちの4番が境内の神楽殿で演じられています。
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子供を二匹抱えている狛犬がいました。
12:05高千穂神社を出発。
阿蘇・高千穂峡の旅(3)に続く。