世界遺産の下鴨神社、2017年春に一の鳥居を越えた境内の参道両側にマンションが建てられてしまいました。参道の両側には糺の森の大木が鬱蒼と茂っていましたが、切り倒されて、右側に2棟、左側に6棟の富裕層向けのマンションが建ってしまいました。
下は、2018年6月、参道の両側にマンションが建っている様子です。
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毎年5月15日の葵祭の日、この参道を行列が通る時に、富める者達が不遜にも窓から見下ろすのでしょうか。
下鴨神社はマンションの住人に神社の氏子になってもらい、神社への理解を深めるとか言っていましたが、マンションが売り出されて何年も経つのに、未だに完売されていないようです。しかも、夜間に窓に明かりがついている家がほとんどないということは、ここに常住している人は少なく、投機のためや別荘として持っている人が多いのだろうと思われます。
マンションは建てられてしまいましたが、もう一箇所、世界遺産のエリアである神社本殿の東側にある空き地に大型倉庫を建てようとする計画は、まだ撤回されておらず、引き続き解決が必要な課題として残っています。
マンションが建てられてから後、糺の森中心部の馬場や車道には大型バスがたくさん駐車するようになり、イベントの増加で森の自然は大きく痛めつけられてきています。マンションが建てられた一帯の高くそびえていた大木は伐採や移転されたものも多く、他の木々も鬱蒼としているのは良くないと整備されています。また、鴨川三角州に近い家庭裁判所南側の公園の樹木も切り倒され、松だけが生えるスカスカの空き地にされてしまいました。
住民グループは、世界遺産下鴨神社・糺の森、二条城が破壊されていくことに対して、多くの市民や世界からのネットによる署名14,000筆を持参して、2017年2月にパリのユネスコ本部に訴えに行きました。また、京都地方裁判所に風致許可取消請求などの三つの訴訟を起こしましたが、2017年3月に却下されてしまいました。
しかし、公開されるはずである、ユネスコと文化庁の間でやりとりした文書が不開示のままであったので、情報開示裁判を大阪地方裁判所に提訴し、2020年3月11日、文化庁が「全面不開示」としていた文書を「一部開示」するように求める判決が出されました。その判決では、文書の日付や作成者などのみの開示で、中身は黒塗りのままなので、住民側は控訴しましたが、12月16日に大阪高裁で棄却の判決が出ました。なぜ、世界遺産のバッファゾーンにマンション建設が許されることになったのか、当然公開されて当たり前のことが公開されるように、住民グループは最高裁に上告することになりました。引き続き、注目・支援をしていかねばなりません。