西本智実指揮の演奏会を聴きに行くついでに、改築されてロームシアター京都と変名されてしまった京都会館の中をウォッチングしてきました。
先ず、外観のウォッチングは4月桜の咲く頃に行ったものです。
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南面の二条通り側から見た外観は一見元の建物の様相とあまり変わりがありません。
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正面入口も変わらず。
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東側から見ると、一階は民営書店とカフェが道に張り出してオープンカフェにし、二階はレストランがテラス席まで出していて、元の会議室が無くなってしまいました。
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正面入口東側の書店への入口部分。
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中庭から東山を見通した景観。左に見えるのは京都市美術館別館。東側にあった公園の樹木がたくさん切られてスカスカになってしまいました。
ここまでのところはまだ元の建物の風情が残されていますが、
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この第一ホール上に積み上がられた塔の景観だけはなんともいただけません。
横のラインで構成されていた京都会館の外観はすっかり傷つけられてしまいました。
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全然異物の感じがする四角い箱を乗せただけ。せめてもっと目立たない色にできなかったのでしょうか。
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中庭からの眺め。
昔の姿はこちらです。
さて、いよいよ中に入って見ると、
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一階入ったところにあったロビーホールは半分以下に減らされてこんな狭い通路になってしまいました。
画面奥の冷泉通り方面にも出口ができて通り抜けができるようになったのはいいのですが、鑑賞の前後に聴衆がたむろして交流したり余韻にふける場所はなくなってしまいました。
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二階ロビーに機械式改札口があって、ここから奥がメインホールの有料エリアとなっています。
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ここのロビーも狭いです。
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メインホールの中は、一階は後方から前方に向かって段を降りて行って席につくようになっていて、両サイドの入口がないので、階段の上がり降りで大変、しかもトイレは一方の側にしかついていないので、行って帰ってくるまでには相当の距離を歩かねばなりません。
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後部座席は2階から4階まであり、それぞれ急な階段で積み上げられていて、見上げ見下ろすと断崖絶壁のようで、恐ろしくなります。
あの高い塔屋はこの観客席を作るためのタワーだったのでしょうか。
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舞台は本格的オペラができるようにするとかいうのが建て替えの口実でしたが、とてもそんな風には見えませんでした。この日は合唱の人が大勢舞台に上がるので、前から5列目までの客席をつぶして舞台を延長していましたが、それでも狭い感じを受けました。
ル・コルビュジエの弟子前川國男が建てたモダニズム建築の傑作・京都会館、こんなにいじられた上に、変な名前まで付けられてしまって、残念無念というしかありません。文化都市京都の名前が泣いています。
せめてもの慰めは、塔以外の部分の外観がほぼ守られたことで、建物の保存を求める声を合わせて訴え続けてきた成果でしょう。