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子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2011年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.1:「ブルドクター」

2011年07月12日 22時47分56秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
一時は観月ありさと天海祐希と共に,芸能界の長身3バックを組んでいた江角マキコが,久方ぶりに連続ドラマに戻ってきた。
脚本は「不毛地帯」や草剛の「僕シリーズ3部作」等,主にフジテレビを舞台に活躍してきた橋部敦子。
すっかりバラエティ番組のMCが天職となりつつある江角が,おちゃらけを封印して,推理劇の要素も含んだシリアスなストーリーに挑むの巻となったが,初回を観る限り,「死因の究明」ならぬ,自立する主婦学者像の確立は,難しそうな雲行きだ。

江角の役柄はアメリカ帰りの法医学特任教授で,主な共演者はキャリア警察官役の石原さとみと,ライバルとなりそうな同僚准教授役の稲垣吾郎。
話の展開上,江角は仕事に生きるシングル・マザーかと思いきや,しっかりと同業の夫がいる一方で,彼女と張り合うはずの石原は,仕事で残業時間の検死とデートを秤にかける現代っ子という設定がまず緩い。
仕事と家庭の両立がサブ・テーマとなっていることは,江角の母と息子とのやり取りからも窺えるが,ホームドラマとして「母の生きる道」を描きながら,同時に一回完結の推理劇を仕込むことはほとんど無理だろう。そのチャレンジが破綻していることは,初回の実に拙い謎解き劇が,はっきりと証明している。

石原は江角が体現するアメリカ式の流儀や思考とぶつかりながら,成長を遂げていくべき立場にいながら,稲垣との恋愛に悩むか弱い女の子という余分な荷物を背負わされたせいで,既にして江角との摩擦に緊張感はない。この時点で,石原の役目は変死体の死因以上に曖昧になってしまっている。

更に,肩に力が入りすぎた江角が放つ四角四面の台詞や,医局の同僚の会話のお粗末さは,耳を覆うばかりだ。解剖シーンのリアルさが売りらしいのだが,安普請のセットの軽さは,そこに到る前に観る気を失わせること請け合いだ。
他局の医療ものが「チーム・バチスタ」シリーズだけという恵まれた状況にありながら,自ら連続して四死球を連発する出来では勝負にならないと思われるが,唯一の挽回策として考えられるのは,医大生役で出ている志田未来を,石原の代わりに江角にぶつけることだろう。大人になった志田の目力に頼るというのも,随分とまた情けない話ではあるのだが。


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