子供はかまってくれない

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映画「探偵はBARにいる3」:さらば高田,なのか?

2017年12月17日 10時52分49秒 | 映画(新作レヴュー)
「仮面ライダー平成ジェネレーションズ…」に「ガールズ&パンツァー最終章 第1話」と来て「鋼の錬金術師」。ここ数年の傾向に漏れず,先週の興行収入ランキングの上位を占める作品の殆どは,10代向けの作品ばかりだ。そんな中で公開2週目を迎えた「探偵はBARにいる3」が何とか6位に踏みとどまっているというのは,驚くべき健闘と言えるかもしれない。大泉洋と松田龍平の2人組が醸し出すぐだぐだな味わいが,TEAM NACSファン以外へも拡がりをみせていると見てまず間違いないのだろう。

札幌在住の人間にとっては,「今」の札幌の姿を活写し続けている本シリーズの存在はとても貴重だ。「札幌の映像アーカイブとなることを目指している」という制作者の意図は,ノルベサの観覧車を筆頭に「ノアの方舟」や「京城屋」に狸小路電停と,新旧の札幌名所をちりばめたロケに,しっかりと反映されている。旧五番館西武の仲通の風情などは,今となっては本シリーズの第1作で西田敏行が殺されるシーンでしか味わえないかもしれない。探偵に絡む「お約束」担当の安藤玉恵と田口トモロヲも健在だし,腰が引けてるリリー・フランキーの小悪党振りも,プログラム・ピクチャー的にはジャストな印象を受ける。

だが本編全体には大いに不満が残る。「ハードボイルド」を標榜しながらも,何故か最後は妙に湿っぽい人情話に落としたい,という本シリーズ共通の展開は制作陣の傾向なのだろうから,あえてそこには異を唱えない。だがやはり探偵ものには「そうきたか!」と膝を叩くような小気味よい謎解きや工夫を凝らした探偵の活躍を期待してしまうのだ。「48時間」や「ホット・ファズ」のように,主演二人組のまったりとした掛け合いとキビキビした展開を両立させ得た佳作群と比べると,やはり点は辛くならざるを得ない。脚本を手掛けた古沢良太には「ミックス。」の時と同様,主戦場であるTVドラマへの帰還を奨めたい。

フライヤーには「『最後』の事件は,はじまっている」というキャッチコピーが載っている一方で,続編制作のハードルと考えられる興収10億円到達の可能性が不透明な状況にも拘わらず,東映の岡田社長は「プログラム・ピクチャーとして今後も作り続けていく」と宣言したらしい。「喋った言葉に責任は持たない」という精神が,ある意味一番「探偵」らしいオチだったかもしれない。
★★☆


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