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日本代表対コートジボワール代表【1:0】前へ出る守備が鍵だ

中村俊輔と松井という,2010年W杯を目指す上で欠くことの出来ない欧州組2人が加わって,現在やや迷走気味の日本代表がどう変わるのか。注目されたキリンカップの第1戦は,非常に評価の難しい試合となった。ポテンシャルの高さと可能性が,まだ不安定さと等価で存在する,という状態だが,ブレイクしそうな萌芽はあちこちに見られた。総じて見れば,辛くも逃げ切った結果と合わせて,前向きに受け止めて良いのではないだろうか。

帰国したばかりの中村俊輔は第2戦からの出場となり,その代わりに,ウォルフスブルクでレギュラーの座を勝ち取った長谷部が,今野とのコンビでボランチを任された。先取点はそのボランチ2人のコンビネーションから生まれた。今野が出した右サイドへの長いパスに,長谷部が見事なオーバーラップで応えてクロスを入れ,大久保が前線で囮になって玉田が決めた。手数は少なく,スピード感溢れる見事な攻撃だった。

この得点以外でも,前半30分頃までの出来は素晴らしかった。相手にパスが通る瞬間に前に出てボールを奪う,という守備を,複数の選手が連動して行い,ダイレクトパスを通して縦に崩す,という場面が何度か見られた。特に5分,闘莉王のオーバーラップから最後は長友がクロスを入れた左サイドの突破は,美しい連動とさえ言える攻撃だった。

個々の選手では,やはり松井の存在は別格だった。昨年秋に招集された時も高度な技術で日本のサポーターを魅了したが,今回はしっかりとチームにも溶け込み,攻撃の核となって,一段と有効に機能していたという印象だ。
雨で足を滑らせる選手が続出する中で,ひとりどっしりと軸足に体重をかけ,正確なトラップとキックの精度を披露する姿は,本当に頼もしかった。
その松井のプレーに誘発されるように,トップの二人,玉田と大久保も素晴らしい動きを見せた。絶対的なエースとして君臨してきた高原のコンディションが戻らないため,くさびを受ける役がいないという不安があったのだが,松井が縦横無尽のポジショニングと体幹の強さで1.5列目のくさび役を果たしたことによって,二人は動きの幅を拡げることが出来ていた。特に玉田は得点以外に守備での貢献も目覚ましく,絶好調時のフォームを取り戻しているように見えた。

コートジボワールは,ドログバ,トゥーレなどの主力を欠いたことに加え,パラグアイ戦からわずか中1日という強行軍が影響したのか,前半は精彩を欠いた。
しかし長い旅路の果てに極東で0勝に終わってたまるものかという意地の為せる技か,後半は見違えるような攻撃を見せた。
前半は広すぎた選手同士の間隔が次第に狭まっていき,それに伴って個人がボールを扱うリズムが,徐々にチームでパスを通すリズムに繋がって行く様は,楽しさすら感じさせるものだった。
深いタックルや見えないところでの肘打ちなど,ヨーロッパのトップリーグで生き残るために培った種々の「技術」とともに,日本代表に伝えられたものは少なくないはずだ。

一方の日本代表は,前半に露出させすぎた出足のせいか,後半は勢いとリズムの両方を失ったまま,サンドバック状態で凌ぐことが精一杯だった。特に松井が退いた後はボールが収まるところがなくなり,カウンターに転じても大久保が攻め急ぎ,サイドを有効に使うことが出来なかった。
ただ,左サイドでフル出場した長友は,当たり負けしないフィジカル,長い距離を厭わず走る強い気持ち,そして強烈なミドルシュートと,どれを取っても申し分ない活躍を見せ,後半唯一の希望の灯となった。
所々で見せた質の高い連動と反応が1試合を通して出来るようになるかどうか,そしてペースを失った時に落ち着かせるにはどうするのか,パラグアイ戦は是非ともW杯2次予選本番をシミュレートした試合を見せて欲しい。
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