折節の移り変わるこそ

季節の移ろいの中に、感じたままを一日一日。

君を忘れない。

2007年04月15日 22時47分41秒 | 清明
 
 君が5年前に目指した甲子園の土だよ。
  (実際は33年前の土だけど…甲子園のには違いないからね)

  私の娘もマネージャーとして、目指すはただ一つだったね。
  ここに野球部の写真集があるよ。
  君もみんなも一番輝いていた頃。
  おっちゃんは、はちきれんばかりの君たちの若さに惹かれてた。
  なぜか、スタンドで応援するおっちゃんがカメラ目線だったり…。

   

 ごめんね、おっちゃんは君の背番号も忘れてた。
  控えの外野手14番だったんだね。
  でもね、練習試合のときかなんか、ライト線深く上がったフライを取って
  サードまで矢のような返球をしたのは、なぜかよく覚えてるよ。
  イチローも真っ青の、素晴らしい肩だなあと感心したことを、君のお父さ
  んにお話したことも、昨日のことのよう。
  お父さん、すごく喜ばれて、帰ってお話してくれたでしょう?

   

 無念だったね、不慮の事故で、わずか22歳の若さで天国へ行ったこと
  を、こんなおっちゃんだから、なかなか理解できないのです。
  お父さんやお母さん、お姉さんたち、弟さんと…おっちゃん、まともに見れ
  なかった。
  わんわん泣きたかったけど、君の笑顔の写真の前で、そうもいかなかった。

   

  練習でも試合でも、いつもにこにこして、ベンチで大声、サード
  コーチャーとか、もちろん、ピンチヒッターも、先発の外野手だったことも
  当然あっただろうね。

           

 みんながマネージャーに優しかったね。
  その中でも君が1,2を争う優しさだったんじゃないかなあ。
  みんなが君のあのちょっとはにかんだような、あの笑顔に救われたんだ。

           

 3年生のマネージャーが3人いて、うちの娘は君たちが2勝し
  なければ、ベンチに入れなかったのを、君たちはマネージャーとの約束だ
  って頑張って、娘もベンチ入りさせてくれたね。
  3回戦で惜しくも敗れたけど、悔いのない、ひたむきの青春だった。
  君も本当によく頑張ったもんな。

           

 君たちの結束は、その後も素晴らしいね。
  娘は帰省して、君たちと酒を酌み交わす?のが一番の楽しみだったもの。
  年末の後輩たちとの練習試合が最後になってしまったんだろうか。

   

 心優しい君は、娘が去年の夏にインターンシップで2週間東京で
  企業研修したときに、あいだの休日にあのちゃっかり娘と東京見物を付き
  合ってくれたんだってね。
  高いとこイヤなのに、東京タワーに昇ったって、娘から君の笑顔の写メー
  ルが送られて来たよ。
  あのときは、本当にありがとう。
  娘も忘れられない思い出になったことだろうし、君も覚えているよね。

                      

 おっちゃん、古い人間だから、何だか白い写真ばかり載せて。
  桜も吹雪になって散って行くし…なんでこんな季節に。

           

 でも、君のイメージは、絶対に空の色、このネモフィラのような水と空の色。
  そして、紫匂う大空を力強く羽ばたいて行ったんだね。

   

 そう、もう娘から報告があったと思うけど…。
  13日に君と直接お別れをさせていただいた娘は、就職活動の関係で
  14日のお通夜も15日のお葬式も出席できなかったけど、ごめんね。
  おっちゃんが代理で、娘の分まで心の底から手を合わせました。

         

 今日の君のお葬式の頃、面接を受けてた娘は、さっき就職内定の通知を
  いただいたそうです。
  第一志望の企業だから、そこに行くって。
  娘をしっかり押してくれたんだね、ありがとう、ありがとう、ありがとう

   

 安らかに、そして天国でも大好きな野球を…ねっ 

   

                 


  
  
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4 コメント

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Unknown (ぴ~)
2007-04-16 21:30:26
折節さん・・・なんて言葉をかけたらいいのか。
悲しいですね。
みんなの心の中に、いつまでも、きっと生き続けてくれるよね。
泣けると少し楽になるんだけど・・・
お嬢さんも・・・東京でどうしていらっしゃるかしら・・・

でもね、きっと天国から「就職決まっておめでとう」って
言ってらっしゃるでしょうから
私も・・・「お嬢さん、第一志望の企業に就職決まって
よかったね♪おめでとう~♪」

遠くからですが、ご冥福をお祈りいたします。
どうか、安らかに。
返信する
ありがとうございます。 (折節)
2007-04-16 22:22:20
ぴ~さん、こんばんは。

今日は変な天気で雨が降ったかと思ったら、急に晴れ間がでたり、夜になって風がとても強くなって、さっき庭に出たら、ヒメウツギの小さな鉢がひっくり返ってというか、吹っ飛んでました。

若い尊い命が一瞬の出来事で明暗を分けて、本当につらくて、どうしようかと迷いましたけど、やっぱりここに残しておこうと思いました。

笑顔の素敵な男の子で、娘も苦楽を共にした仲間の不幸をどう受け止めたらいいか、何も考えられなかったと思います。

だからその子の見えない力があって、運よく第一志望に内定したのかなあと、私も何度も手を合わせていました。

気持ちを切り替えてって、土曜の朝に大分を立つ娘に声をかけた手前、私も切り替えているつもりです。
尊いあの笑顔は、一生忘れないですけれど…。

昨日、紫陽花の苗を、これまで植えていた列の一番東側に追悼記念のつもりで植えました。
来年、咲いてくれるかなあって思いを込めてね。

あっ、それから、ぴ~さんね、娘は西宮の甲東園に住んでるんですよ。
娘のこと、本当にありがとうございます。
あの子なりに頑張って行けると思います。

そして、あなたのお気持ちに感謝いたします。
返信する
今頃ですが・・・ (Haru)
2007-04-19 21:43:56
遅れて読ませてもらいました・・・
白い花に囲まれた追悼文、折節さんの
彼を悼む気持ちが込められていますね。
若い命が失われることの悲しみ・・・
お声のかけようももないのですが
ただ、ここからご冥福を祈るのみです・・・

そして、お嬢さんの就職の内定
おめでとうございます。
ホッとされましたね!
お仕事もやはり関西ですか?
返信する
ありがとうございます。 (折節)
2007-04-19 23:00:30
Haruさん、こんばんは。

心のこもったあたたかいお言葉をありがとうございます。
あまりにも突然で、娘も私たち親もあまりに急過ぎて、なかなか受け入れることができませんでね、悲しくて…。
娘がこちらにも残して行った高校の野球部の練習や試合の写真帳を見たりして、あの頃を振り返っていました。

自分の都合というか気持ちだけなんですが、彼の追悼のつもりで紫陽花をもう1株植えました。
「伊予てまり」という淡くてさわやな花の写真のラベルでしたので…。

それから、娘のこと、どうもありがとうございます。
第一志望の最終面接の直前でしたので、さすがに心配したんですが、なぜかこれまでで一番緊張しなかったそうです。
きっと、友達が押してくれたんだねと感謝していました。

メーカーですから、勤務地は東京や大阪や地方もありますし、海外も…。
うちの娘は変わってますから、工場勤務(経理)も経験したいと申しています。

Haruさんにも、きっといろいろな場面でお世話になっているはずの製品と言ってもいいかな?
そんなものを作っている会社です。
返信する

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