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イエス「シベリアン・カートゥル」

2014年03月30日 | 音楽
ギター名曲シリーズ第7弾

アーティスト:イエス
ギタリスト:スティーブ・ハウ
アルバム:危機
発表年:1972年



世に個性派と呼ばれるギタリストは多い。
ただし個性というより、単に変なフレーズや変態的なプレイをするだけのプレイヤーも多いなか、今回紹介するスティーブ・ハウは個性とポピュラリティを高次元で両立しているギタリストだと思う。

スティーブ・ハウが参加したバンドは、有名どころではイエスとエイジアだ。
どちらのバンドも、ハウが参加したアルバムと不参加のアルバムでは、ファンの人気度がぜんぜん違う。
彼がギターを弾くと、それがイエスであれ、エイジアであれ、彼の色に染まるという、食べ物でいえばカレーみたいな男だ。
たとえば、ハウが「ド」の音をビーンと一音弾いただけでも、並のギタリストとは違う味を出す。
独特のマイルドな音色、異常に長いサスティーン、そしてクラシックスタイルのビブラートが彼独自の味だ。

彼が1972年にイエスに参加したとき、すでに自分のスタイルを確立していた。
以来40年以上、自分のスタイルを貫き通している。
ギターだけでなく、エレキシタール、ペダルスティールも弾きこなすほか、クラシックギターの腕たるや、ロックギタリストの範疇をはるかに超えたレベルだ。
彼の弱点はリズム感が悪いことだが、それすら「独特のタメ」「彼にしか出せない味」という下手ウマの境地にある。

今回紹介する曲は、イエスを代表するだけでなく、プログレッシブロックの大名盤といわれる「危機」から、「シベリアン・カートゥル」だ。
しばし、コンサートのオープニングにも使われる曲だが、やはりハウの個性が爆発している。
華麗なカッティングで始まり、その後は得意の単音リフが続く。
並のギタリストならパワーコードでザクザク弾きそうなところを、彼は決してそんな弾き方はしない。
間奏は、エレキシタールに始まり、途中チェンバロが入ったあと、ペダルスティール、最後はエレキギターでソロを締めている。
ライブではこの部分を、肩からエレキギターを提げたまま、固定式のエレキシタールを弾き、卓上のスティールを弾き、再びエレキギターに戻るという離れ業を見せる。

僕はスティーブ・ハウをライブで3回見ているが、ロックギタリストとして珍しいほど老けてみえる。
普通、ロックミュージシャンは同世代の人より若く見えることが多いが、ハウは同世代の男性より老人にみえるのはナゼなのだろう?



Yes - Siberian Khatru





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