Music Mania

No Music No Life

クラシックロックの二極化

2014年03月15日 | 音楽


昨年末にドゥービー・ブラザーズの5枚組ボックスセットを買った。
値段は2,300円くらいだったと思うが、この手の格安ボックスセットはかなりの種類が発売され、もはや1枚づつ買うのがバカらしくなるほどだ。
一方、格安ボックスとは真逆の、高価なデラックス仕様も続々発売されている。

例えば、イエスだ。
名盤「危機」のデジタルリマスターCDとブルーレイ・オーディオをセットにした「Close to the Edge(CD+Blu-ray)」は4,280円だ。
僕はブルーレイ・オーディオというのが、どれくらいスゴイ音質なのかは知らないが、マニア向けのものだろう。



ちなみに、これとほぼ同じくらいの値段で、こういうCDセットもある。
「Studio Albums 1969-1987」という、イエスのデビューから1987年の「ビッグ・ジェネレイター」まで12作品のスタジオ作を網羅したもので、値段は4,353円。
もちろん「危機」も入っていて、こちらは一枚当たりの単価は363円だ。



さらにいえば、この12枚組CDとほぼ同内容のSACD版がある。
「HIGH VIBRATION - SACD BOX」
こちらは39.203円。
廉価版にはないライブアルバムやボーナスディスクも入っているとはいえ、値段差はとてつもなく大きい。
こちらの「危機」を一枚当たり単価でみると3,016円になる。



つまり「危機」だけの値段でいえば、「CD+Blu-ray」4,280円>「SACD-BOX」(3,016円)>>>「CD-BOX」(363円)だ。
曲は同じなので、音質の違いだけで10倍もの差が出ていることになる。

最近、僕は高価だなぁ、これを買う人はよほどのマニアだなぁ、と思ったのがコレ。

レッド・ツェッペリン「2014リマスター/スーパー・デラックス・エディション」
ツェッペリンのファースト・アルバムだが、値段はなんと2万1千円。



CD1: 最新デジタル・リマスターによるオリジナル音源
CD2: 1969年の未発表ライブ音源
LP1: CD1と同内容の重量盤LPレコード
LP2とLP3: CD2と同内容のLPレコード
その他: DLカード、特典ジャケット、豪華ブックレット、プレスキット

さすがスーパー・デラックスをうたうだけあって、内容も値段もスーパー・デラックスだ。
重量盤LPというのは、通常のLPが130gくらいなのに対して、これは180gあり、その重さで盤とターンテーブルの密着度をあげ、針とレコードの接触を安定させることにより音質を上げたレコードだ。
これのLPレコードを抜いた2CD盤は2,940円、ライブ音源を抜いたスタジオ盤だけなら2,100円。
ということは、LP3枚とその他豪華特典が18,000円、スーパーデラックスを買うのはマニアだけだろう。

僕も家にきちんとしたオーディオセットがあって、周りを気にせず聴きたいボリュームで音楽を楽しめる環境があれば、こういう高音質音源に浸ってみたいのだが。


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ストーンズ来日

2014年03月09日 | 音楽
ローリング・ストーンズが8年ぶりの来日公演を無事に終わらせた。
会場はどの日も満員で大成功だったという。
今回、東京のみであること、チケット代が高額であることから、見に行くつもりはなかったが、相変わらずパワフルなライブを披露したらしい。
セットリストは8年前同様、完全日替わりセットで、オープニングから何が始まるかわからないものだ。
連日ライブをハシゴする人のためのファンサービスといえば聞こえはいいが、本音は各メンバーのやりたい曲がバラバラで、「じゃあ、全部やっちゃおう」ということだろう。

最終日3月6日のセットは以下の通り

1.Jumpin’ Jack Flash
2.You Got Me Rocking
3.It’s Only Rock ‘N’ Roll (But I Like It)
4.Tumbling Dice
5.Ruby Tuesday
6.Doom And Gloom
7.Respectable (Fan vote ? with Tomoyasu Hotei)
8.Honky Tonk Women
9.Band Introductions
10.Slipping Away (with Keith on lead vocals and Mick Taylor joining on guitar)
11.Before They Make Me Run (with Keith on lead vocals)
12.Midnight Rambler (with Mick Taylor)
13.Miss You
14.Paint It Black
15.Gimme Shelter
16.Start Me Up
17.Sympathy For The Devil
18.Brown Sugar
  (ENCORE)
19.You Can’t Always Get What You Want
20.(I Can’t Get No) Satisfaction (with Mick Taylor)

今回の目玉は、久しぶりのミック・テイラー参加ということだろう。
彼がストーンズのメンバーだったのは40年も前のことだが、今もその頃のストーンズが一番好きというファンも多い。
ユーチューブで見ると、当時を思わせるいぶし銀のようなブルースギターで、さすがだと思った。

Mick Taylor w/Rolling Stones Midnight Rambler Tokyo 3/6/2014


そしてもう一つ嬉しいサプライズ、なんと布袋寅泰の登場だ。
これもユーチューブで上がっているが、日本のギタリストが超一流バンドと共演、少しも臆することなく堂々のパフォーマンスは素直にカッコイイ。
これついて、布袋さんのコメントも素敵だ。
嬉しさが滲み出ている。

(以下引用)
もしもある日、君のメールボックスにローリングストーンズから

「俺たちのステージで一緒にプレイしないか?」

という招待状が届いたら、君はなんと言う?
そう、僕も君と同じ言葉を呟いた。

「嘘だろ...?」

しかしそれは嘘でも間違いでもなく、現実だった。
もしも君がギタリストなら、ローリンストーンズという伝説のモンスターバンドに呼ばれてギターを弾くことを想像してどう思う?
振り向けばチャーリー・ワッツがクールなビートを刻み、
右を向けばロニー・ウッドが、左を向けばキース・リチャーズがカミソリのようなギターをかき鳴らし、
そして目の前には髪を振り乱して踊りながらシャウトするミック・ジャガーがいる。
きっと想像しただけで鳥肌が立ち、天国にいるような気分になるはずだ。
僕も君と同じだ。
恐怖と恍惚の狭間で全身が痺れ、鳥肌が止まらなくなる。
(引用終わり)

Rolling Stones Respectable Tokyo Dome 3/6 Hotei 布袋

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永遠の0を読んでみて

2014年03月08日 | 読書
先週買った「永遠の0」を読み終えたので感想を書こう。

良かったか良くなかったかでいえば、良かったと思う。
ただ、ものすごく感動した、涙あふれたとか、そういうことはなかった。

現代の若者が、戦死した祖父、宮部久蔵を調べるため、当時の戦友たちの話を聞きに行く。
そして、祖父はゼロ戦のパイロットで、戦争末期に特攻で亡くなったことを知る。
祖父に対しての印象は人それぞれで、ある人は大嫌いだったといい、ある人は尊敬できる人だったという。

彼らの言葉の共通点をあげれば、

1.戦争初期の頃、ゼロ戦は無敵だった
2.祖父宮部久蔵は天才的パイロットだった
3.宮部久蔵は、当時の日本兵には珍しく、とても命を大事にする人だった
4.宮部久蔵は周りの空気に流されず、命に対して強い意志と信念をもっていたが、なぜか戦争末期、特攻隊に志願した
5.当時の軍上層部は、人の命をなんとも思わない、愚かな作戦ばかり立てていた

「1」について、これは有名なことだと思う。
僕のような、旧日本軍の戦闘機はどれも同じに見えてしまう人間でも知っている。
世界でもトップレベルの運動性能はまさに敵無しで、多くの敵機を撃墜したが、弱点は防備が貧弱だったこと、戦争末期には、アメリカ軍の戦闘機のほうが高性能だったことも書かれている。
「2」については、宮部は日中戦争の頃から戦闘機に乗っており、豊富な実戦経験によってベテランパイロットになっていたとのこと。
ちょっと完璧すぎて、まるでスーパーマンだが、まあ良しとしよう。
そして「5」についても、多くの戦争ドキュメントや戦争映画でも取り上げられているので、ご存知の人も多いと思う。

問題は、「3」と「4」だ。

いちおう、理由は書かれているが、説得力に欠けると思う。
とくに、あれほど生きて帰ることに拘っていた宮部が、十死零生の特攻隊に志願する理由が乏しい。

ただ、それでもなかなか面白かったと感じるのは、戦友たちの証言が、実にリアリティがあって、まるで言葉が生きてるように書かれているからだろう。
巻末に参考文献としてゼロ戦や特攻隊についての書籍がたくさん記載されているが、多くのエピソードがここから引用されていると思われる。

そして後半、もう一つの事実が明かされる。
このストーリー展開は上手い。
予期せぬところから、フっと浮かび上がる事実、「そうか、そうだったのか」と唸る部分だ。

この「永遠の0」は、文庫本売り上げが400万部を突破し、歴代1位だという。
売れることは良いことだが、売れすぎだ。
映画版も大ヒットしたらしい。
夏ごろにはレンタル店に並ぶだろうから、見てみたいけどね。
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フィリピンで死んだ男

2014年03月02日 | 日常


昨年末のことだが、友人から百田尚樹「永遠の0」は素晴らしい作品だから是非読んでほしいと言われた。
ちょうど、これの映画版が話題になっており、僕のまわりでも絶賛されていたから、読んでみたいとは思った。
しかし、戦争小説、それも第二次大戦ものというと、僕はちょっと気が進まない。
他にも読みたい本があったので後回しにしていたら、昨日LINEで「永遠の0どうだった?良かったでしょ?」と入ってきたので、半分仕方なく小説を購入した。

150ページほど読んだ。

これは、もしかすると、かなり面白いかもしれない。
僕が思っていたのと違っていて、残り430ページを読むのが楽しみになった。

ここまでの内容は、現代人の青年が、戦死した祖父がどういう人間だったのか、どう戦ったのか、を知るために調査をするというもの。

そういえば、僕の祖父も戦死しているのだが、どういう人物だったのか、ほとんど知らない。
写真が数枚残っているくらいだ。
僕も「永遠の0」よろしく、ちょっと祖父について書いてみよう。

子供の頃、家の仏壇には、祖父の写真と奇妙な石ころが置いてあった。
その石ころは、戦死した場所にあったものとのこと。
そのほか、形見らしいものは何もなかった。

いつだったか忘れたが、昭和の終わりごろ、80年代後半くらいだった気がする。
一人の老人が家を訪ねてきた。
なんとその人は、祖父の戦友で、死に様を伝えにきたという。
なんで今頃?と思ったが、家族でその人の話を聞いた。

陸軍の通信兵だった祖父は、フィリピン戦線で戦っていた。
フィリピンの戦いは壮絶なもので、日本軍は大敗し、昭和20年の初め頃には全滅に近い状態だったという。
そんな中、祖父はまだ生きていて、ジャングルの中でゲリラ戦をしていたそうだが、終戦間近の7月、通信のためのケーブルを張るため木に登っていたところを、軍艦からの艦砲射撃で跡形もなく吹っ飛んでしまったという。

もし、終戦があと1ヶ月早かったら、祖父は生きて帰ってきた可能性が高い。
そうなると、祖母や父の生活、人生は大きく変わっていたかもしれず、それは当然、僕にも影響していただろう。
僕自身が存在していないかもしれないが。
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あの場所は今…名盤ジャケの実際

2014年03月01日 | 音楽
音楽アルバムがLPレコードだった頃、そのジャケットのへ力の入れようは今の比ではなかったと思う。
それはまさにアートであり、いくつもの名ジャケが生まれた。
そんな中から、ジャケットの元になった場所が特定できるものもいくつかあるので、それを並べてみよう。

まずはピンク・フロイドの「アニマルズ」だ。



この巨大な煙突が印象的な工場だが、これはイギリスにあるバターシー発電所というところである。
ジャケが有名なので、今やロックファン御用達の観光名所になってるらしい。
発電所としての稼動は終わってるとのこと。


次は、世界的に有名なビートルズ「アビーロード」だ。



ロンドンのアビーロードスタジオの前の横断歩道だが、ジャケ写の影響で世界中から人が訪れる観光名所になっている。
そしてついには、イギリス政府により英国の文化的歴史遺産に指定されたらしい。
現在センターラインがジグザグになっているのは、あまりにもこの横断歩道を訪れる人が多く、その分事故が多いための対策だという。
仕方がないとはいえ、ちょっと残念だ。


こちらも超有名ジャケ、イーグルス「ホテル・カリフォルニア」だ。



写っている写真は実在のホテルだが、「ホテル・カリフォルニア」とう名前ではなく、「ビバリーヒルズ・ホテル」というらしい。
当然ここも観光名所になり、一時期、「数年先まで予約がとれないホテル」といわれた。
ちなみに内ジャケに使われているホテル内の写真は、ビバリーヒルズ・ホテルではなく、もっと安いホテルとのこと。
こちらは心霊写真疑惑もあるようだ。


こちらはジョン・レノン「ロックンロール」。



ジョンがアマチュア時代によく歌っていたロックンローンルのカバー集で、ジャケットもその当時の写真が使われている。
これはビートルズのハンブルグ時代のもので、撮影は当時親交があった(というよりベースのスチュの恋人)アストリッド・キルヒヘルだ。
現在、おそらく訪れる人は少ないようだが。


最後は、まさか実在するとは思えない、ブラック・サバス「ブラック・サバス」だ。



幽霊みたいな女性の背後には古びた屋敷、オカルトそのもののジャケだが、これが実在の建物だった。
明るい日差しの下で撮られた写真は、英国の田舎風景といった感じで、雰囲気がぜんぜん違うのが面白い。
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