8月を迎えて、水の事故が増える時期になった。
水の事故の多くは溺死なので、まずは溺れない方法を示そう。
頼もしいことに、人間は、本来的に、溺れずに浮くことができる。
水死体が浮くのがその証拠。
そう、水死体が浮く方法を教えている。
①体を仰向けに水平にすればいいのだ。
その理由を力学的に述べる。
ポイントは”浮力”。
浮力は、空気より遥かに密度の高い水中ならでは発生する、重力に抗して水の中で下から上に働く力。
この浮力によって、文字通り”浮く”ことができる。
逆に絶対に沈む姿勢は、垂直に立つこと。
垂直に立つと、浮力が作用する面が足の裏だけとなり、そこに重力(体重)が集中する。
すなわち、人体の単位面積でみると、重力が最大で浮力が最小になる姿勢。
水平に横たわると、下からの浮力が作用する面が最大となり、しかも重力はその広がった面に分散される。
なので、人体の単位面積で見ると、重力が最小で浮力が最大となる。
今仮りに、両足裏の面積が水平に横たわった人体面の1/10とすると、垂直姿勢から水平姿勢に変化することで、単位面積にかかる重力は1/10に減り、浮力は10倍になる。
その結果 人体では重力<浮力になるので、必ず”浮く”。
②さらに、浮力を増加する方法がある。
単なる水平姿勢ではなく、胸を反らせる(その分、頭部が下がるが心配不要)。
この姿勢によって胸郭が広がるため、肺に入る空気量が増える。
肺は、魚類の浮袋から進化したもの。
そう、肺は自前の”浮袋”になるのだ。
胸部が浮くことによって、そこに近い頭部下部(鼻と口)も水面に出る。
なので、単に浮くだけでなく、呼吸も自由にできるわけだ。
この姿勢をまずはプールで体現しよう。
この姿勢になるには、慌てずに、力を抜いてリラックスし、息を大きく吸うこと。
心理的に慌てると、筋肉が緊張して、もがいてしまい、この姿勢が取れなくなってしまうので、”慌てないこと”が何よりのコツとなる(自らいち早く水死体のようになってしまえ)。
このように”本来的には浮くんだ”ということを実感できたら、慌てずに済む。
③ただ、川で流された場合は、頭を先頭にしないことも重要(頭部が岩に激突する)。
人体の形状は、何もしないと頭が先頭になってしまう。
両手を舵がわりにして、思い切り開いて(岩を掴めるかも)、水平のまま方向を調整し、足を先頭にしよう。
④海の場合は波が大きいので、水平姿勢だと呼吸しにくい。
完全水平ではなく、手足を動かすことで(イカ泳ぎ)、沈み込みを防ぐ。
海は強い塩分のおかげで川より浮力が効く。
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