小説は程度の差こそあれ、我々を日常生活から離れた仮想の世界に連れて行ってくれるツールだ。
時々うんと遠い世界に連れて行って欲しくなる。
そんな時は、SFなりファンタジーな内容のものを選び読めばよい。
先日そんな気分に陥ってしまった。
それで本屋に並ぶ文庫本の背表紙の文字に、手を伸ばしたのは「図書館の魔女」4巻セットの第1巻だった。
開いてみると、本文までに登場人物覚書に話の舞台の古地図、目次はひらがなばかりで、なにやらファンタジー小説の雰囲気が整っている。
帯のコピーは当然「こりゃお勧めですぜ旦那」な文言。
4巻もあるのか。
まあ、つまらなければ全部読まなくてもいいか、と買ってみた。
反対に4巻も楽しめて良かった、が読中読後の感想だった。
ファンタジーとは、乱暴に言ってしまえばこの世とは違う異世界での冒険物語だ。
例えば魔法が幅を利かせ魔物が跋扈する不思議の国の不条理が背景だったりする。
「図書館の魔女」は舞台設定こそファンタジーだが、語られる内容は理にかなっており、現実に「ありそー」なお話し。
物語はあくまで理詰めで進む。
魔女や魔術なんて表現も出てくるが、それらは隠喩で使われるだけ。
だけど異世界情緒たっぷり。
少し無理があるのは主人公の女の子男の子の、年齢に似合わぬ異常に秀でた能力くらいか。
まあ、これがないとこの物語は成り立たないのだが。
主題は言葉の力である。
話すということ、書くということ、読むということ。
その意の伝え方によりその意味するところが変わる。
言外に託した真意、ふさわしくない言葉の裏。
これらをあやつり、把握し、状況を鑑みて利用する。
書物は言葉を撚り合せたもの。
図書館はそれら書物を納めた場所。
主人公たちはその図書館を根城とし、文献より得た知識を駆使して、最も効果的に望む結果を得るための対処策を立案し、議会工作、諜報活動を手段として国を動かし敵国に対抗していく。
ふうむ、こう書くとなんか現代のスパイ小説みたいだ。
読んでてそう思えないのはなんでかな。
そこに筆者の腕があるのだろう。
物語の中で語られる上記の言葉の力を、物語を読む我々に対して使用している。
まんまと筆者の策略に乗ってしまった事になるが、策略に乗るのがお勧めだ。
謎解きの要素も多分にあるが、謎をミステリーっぽく使っていないのもいい。
私は純粋な?推理小説は苦手である。
謎解きが主題で、人が殺されているのにコップを割ってしまったみたいなただの出来事として書かれているのがしっくりこない。
この小説のように物語を進める上で必要な謎解きとして使用されるのが良いですな。
先の舞台地図が地球上のものでないので、完全に架空の世界の物語かと思っていたが、北方東方西方南方の観念が現世界のものと似通っていて、時代も中世頃のよう。
その頃の時代背景や環境をベースに使い、しかし登場する国はまったくの仮想、そんな設定だ。
図書館の蔵書の装丁のあり方や生活で使用する備品など、我々の周りに存在する道具を表す言葉で書かれている。
物語の舞台をまったく新しく作るのでなく、既存の概念をそのまま利用して説明にかかる手間を省き、誤った解釈を避けようとしている感じ。
言葉のあやを事細かに説明するのは難しいからな。
それで正解と思う。
その代わり使う言葉はやたら古めかしい。
大体の意味は分かるが、間違った意味に取りたく無い時は、スマホ片手に辞書を引きつつ読むことになった。
最近買った小説は新たな思考方法、アイデアの参考にしようとしたもの。
だからか集中して読むことはなく、ぶつ切りに通勤時間に読んではやめ読んではやめ、座って読むことができたら途中で眠ってしまうこと多々。
しかし「図書館の魔女」は違った。
読書するための時間を設けて読みたいと思わせるものだった。
夕食後、寝るまでの時間に読み進めてもまったく眠くならない。
高校時代に好きな続き物の新刊を手に入れた日に、一晩で読み切ったような面白さ。
その頃の体力は無いので、晩に読むときは翌日の仕事に影響のない範囲ではあったが。
それでも、休日の時間を使い、夕食後に読みたいと思わせる作品に会ったのは久しぶりだ。
である。
時々うんと遠い世界に連れて行って欲しくなる。
そんな時は、SFなりファンタジーな内容のものを選び読めばよい。
先日そんな気分に陥ってしまった。
それで本屋に並ぶ文庫本の背表紙の文字に、手を伸ばしたのは「図書館の魔女」4巻セットの第1巻だった。
開いてみると、本文までに登場人物覚書に話の舞台の古地図、目次はひらがなばかりで、なにやらファンタジー小説の雰囲気が整っている。
帯のコピーは当然「こりゃお勧めですぜ旦那」な文言。
4巻もあるのか。
まあ、つまらなければ全部読まなくてもいいか、と買ってみた。
反対に4巻も楽しめて良かった、が読中読後の感想だった。
ファンタジーとは、乱暴に言ってしまえばこの世とは違う異世界での冒険物語だ。
例えば魔法が幅を利かせ魔物が跋扈する不思議の国の不条理が背景だったりする。
「図書館の魔女」は舞台設定こそファンタジーだが、語られる内容は理にかなっており、現実に「ありそー」なお話し。
物語はあくまで理詰めで進む。
魔女や魔術なんて表現も出てくるが、それらは隠喩で使われるだけ。
だけど異世界情緒たっぷり。
少し無理があるのは主人公の女の子男の子の、年齢に似合わぬ異常に秀でた能力くらいか。
まあ、これがないとこの物語は成り立たないのだが。
主題は言葉の力である。
話すということ、書くということ、読むということ。
その意の伝え方によりその意味するところが変わる。
言外に託した真意、ふさわしくない言葉の裏。
これらをあやつり、把握し、状況を鑑みて利用する。
書物は言葉を撚り合せたもの。
図書館はそれら書物を納めた場所。
主人公たちはその図書館を根城とし、文献より得た知識を駆使して、最も効果的に望む結果を得るための対処策を立案し、議会工作、諜報活動を手段として国を動かし敵国に対抗していく。
ふうむ、こう書くとなんか現代のスパイ小説みたいだ。
読んでてそう思えないのはなんでかな。
そこに筆者の腕があるのだろう。
物語の中で語られる上記の言葉の力を、物語を読む我々に対して使用している。
まんまと筆者の策略に乗ってしまった事になるが、策略に乗るのがお勧めだ。
謎解きの要素も多分にあるが、謎をミステリーっぽく使っていないのもいい。
私は純粋な?推理小説は苦手である。
謎解きが主題で、人が殺されているのにコップを割ってしまったみたいなただの出来事として書かれているのがしっくりこない。
この小説のように物語を進める上で必要な謎解きとして使用されるのが良いですな。
先の舞台地図が地球上のものでないので、完全に架空の世界の物語かと思っていたが、北方東方西方南方の観念が現世界のものと似通っていて、時代も中世頃のよう。
その頃の時代背景や環境をベースに使い、しかし登場する国はまったくの仮想、そんな設定だ。
図書館の蔵書の装丁のあり方や生活で使用する備品など、我々の周りに存在する道具を表す言葉で書かれている。
物語の舞台をまったく新しく作るのでなく、既存の概念をそのまま利用して説明にかかる手間を省き、誤った解釈を避けようとしている感じ。
言葉のあやを事細かに説明するのは難しいからな。
それで正解と思う。
その代わり使う言葉はやたら古めかしい。
大体の意味は分かるが、間違った意味に取りたく無い時は、スマホ片手に辞書を引きつつ読むことになった。
最近買った小説は新たな思考方法、アイデアの参考にしようとしたもの。
だからか集中して読むことはなく、ぶつ切りに通勤時間に読んではやめ読んではやめ、座って読むことができたら途中で眠ってしまうこと多々。
しかし「図書館の魔女」は違った。
読書するための時間を設けて読みたいと思わせるものだった。
夕食後、寝るまでの時間に読み進めてもまったく眠くならない。
高校時代に好きな続き物の新刊を手に入れた日に、一晩で読み切ったような面白さ。
その頃の体力は無いので、晩に読むときは翌日の仕事に影響のない範囲ではあったが。
それでも、休日の時間を使い、夕食後に読みたいと思わせる作品に会ったのは久しぶりだ。
である。