私は東京郊外の調布市に住む年金生活の66歳の身であり、
過ぎし4月20日に、ここ6年ばかり愛読している藤原正彦(ふじわら・まさひこ)氏の作品、
新たに『日本人の誇り』(文春新書、書下ろし)の発売日と知り、
駅前の本屋に出かけて、買い求めたのであるが、
この書棚の並びに『出版大崩壊 ~電子書籍の罠~』と題された文春新書の一冊があり、
私はタイトルに魅せられ、思わず手に取った。
そして著作者の山田順(やまだ・じゅん)氏は、私は未知の方であったので、
氏のプロフィールを読み、長年に出版社の光文社でご活躍された方と知り、購入した。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607983
☆【文藝春秋】ホームページ <==【文春新書】
<==山田 順・著の『出版大崩壊 ~電子書籍の罠~』、☆
氏は圧倒的な筆力で、現状の出版社、卸店、書店、作家などの実態、
そして電子書籍をめぐり著作権などを含めたの現状の問題を含めて、多々教示された・・。
私は1964(昭和39)年の東京オリンピックが開催された頃、
大学を中退し、アルバイト・契約社員などに従事し、
映画・文学青年の真似事をしたりした時期があった。
確かな根拠はなく自信ばかりで、純文学の新人コンクールに応募したりしたが、
当選作の直前の最終候補作の6作品に残れず、三回ばかり敗退し、もう一歩と明日の見えない生活をしていた。
結果としては、30代に妻子を養う家庭のことを考えた時、
強気の私さえ、たじろぎ安定したサラリーマンの身に転向し、
35年ばかり身過ぎ世過ぎのサラリーマン生活をし、2004(平成16)年の秋に定年退職を迎えた。
このように、拙(つたな)く苦闘しながら敗退した私の軌跡があり、
ここ30年ぐらいは殆ど小説を読むことなく、
随筆、ノンフィクション、近代現代史などの読書が多くなっているが、
何かしら小説の世界で創作者をめざして、孤軍奮闘する30、40代のお方には、
思わず敬意してしまう習性がある。
昨今、電子書籍のブームと知り、才能のあると思われる方は電子書籍の世界で、
純文学、中間小説の文藝作品を世に問えやすいかしら、と私は感じたりしていた。
ただ危惧することは、従来の編集者のまなざし、アドバイスを受け、第三者の怜悧な視線で指摘されない限り、
独りよがりの作品となり、読者にも感動すら与えることが出来ない創作となることが多く、
たとえ発信しても、読んで下さる方が少なく、地球の彼方に消えてしまう、
このような思いで私は過ごしてきた・・。
今回、本書を読み終わった後、
私は高校生以来、何よりも読書を出来うる限り最優先としてきたひとりとして、
氏の導きで、現状と近未来を学び、愕然とし、ここ一ヶ月は憂いの日々を過ごしてきた。
たまたま私は、音楽業界のあるレコード会社の管理畑に35年ばかり過ごし、
氏の第11章の『コンテンツ産業がたどった道』で明確的に指摘された通り、衰退の体験をした身を重ね、
出版業界の現状、そして近未来を学べば学ぶ程、憂愁な心情であった。
何よりも驚き、深くため息をさられたのは、
日本に於ける電子書籍をとりまく現状であった・・。
第6章の『日本市場の特殊性』に於いて、
《・・日本の電子書籍の売上げを支えているのは、ほとんどがケータイ配信なのである。・・》
(略)
ケータイ向けの電子書籍のジャンルを、電子コミック、電子書籍(文芸系)、電子写真集の3つに分け・・
圧倒的にマンガしか売れていない・・
ケータイで配信される電子コミックは、全配信の83%を占めている。・・
この電子コミックをジャンル別にして・・
上位3つが成人用コミック、ボーイズラブ、ティーンズラブであり、
いずれもエロ系コンテンツなのである。・・
・・(略)・・
日本では電子書籍は、20代向けのエロ系マンガが圧倒的に主流である。
しかも、それを担う電子書籍端末が、ほぼ携帯電話だという点は、
アメリカとはまったく違う点である。
・・》
私は携帯電話が使えないので、もとより無知である上、
成人用コミックは想像できるが、ボーイズラブ、ティーンズラブは不明であった。
氏の解説によれば、
《・・
BLというのは、ホーイズラブ(Boys Love)の略。
つまり、男同士の同性愛を題材としたマンガで、主に10代の少年(特に美少年)同士の間の恋愛を描いたもの・・
TLは、ティーンズラブ(Teens Love)の略で、
・・主に10代の少女の恋愛マンガ・・
恋愛マンガといっても、ほとんどがセックス中心のストーリーであり、
ときにはレイプや近親相姦、援助交際も描かれている。
どちらも、読書はほとんど10代後半から20代の女性・・
「いまの市場で、BLやTLなどの女性向け以外のコンテンツが売れるなんて考えられない・・」
・・》
こうしたことは、私は仰天させられたのである。
その上、何よりも落胆させられたのは、
《・・
ケータイ小説も同じだ。
ケータイマンガもケータイ小説も、それを支えているのは7割が女性で、
はっきり言って、本などほとんど読んだことがない若者たちである。
・・(略)・・
この分野は、作家のネームバリューなんて関係ないし、ストーリーが幼稚でも関係ない。
いま、ケータイコミックを読んでいるのは、本屋なんかにめったに行ったことがない子たち。
だから、大作はダメ。スポ根ものもダメ。教育ものなんて、もっとダメ。
BLやTLに尽きる。
それから、読者は20代の女性だから、劇画はダメ。・・
・・》
こうしたことには、私は驚き、ため息をしたのであった。
私の20歳前後は、血気盛んな若者だったので、
総合月刊雑誌の『世界』から週刊誌の『平凡パンチ』までの広範囲を読んだりし、
小説の世界は純文学、中間小説を読んだりし、ときには妖艶な好色本も読んできた。
もとより本屋に行き、買い求めたりしてきた単行本、文庫本、雑誌であった。
あの頃の私たちの世代は、教養を高めようと、少し背伸びした本も小脇に持ち、
盛んに悪友と同世代の女性と、
あの本は・・、あの作家は・・と喫茶店などで議論を重ねていた・・。
たとえ時代が大きく変貌しょうと、青年期は大人の一歩前の貴重な時代であり、
自身のために教養を高めるのが、若者の命題のひとつでもあるのに・・
と私は昨今の若者の一部に失望したのである。
この本書で私は心の深淵まで学んだのは、氏の長年の編集者の体験をした発露のひとつ、
《・・
私の経験から言うと、
作家志望者のほとんどが実際には印税や名声を望んでいるだけである。
彼らが作品を書くのは、それを得るための手段に過ぎない。
ほとんどの作家志望者は、社会に伝えたい明確なメッセージや思想を持っていないし、
それを裏付ける経験もない。
・・》
このように明言され、今後も創作者をめざす人には、貴重な哲学のような銘言である。
そして、私の若き頃に文学青年の真似事をし、敗退した体験もあったので、
深く受けとめている。
このように私は本書から多々学びながら、憂愁な日々を過ごし、
こうした思いをこのサイトに投稿しょうか迷い、ためらいながら、過ごしてきたが、
やはり心の発露をしなければ、私の心に魚の骨が突き刺さったようなので、
今回投稿したのである。
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過ぎし4月20日に、ここ6年ばかり愛読している藤原正彦(ふじわら・まさひこ)氏の作品、
新たに『日本人の誇り』(文春新書、書下ろし)の発売日と知り、
駅前の本屋に出かけて、買い求めたのであるが、
この書棚の並びに『出版大崩壊 ~電子書籍の罠~』と題された文春新書の一冊があり、
私はタイトルに魅せられ、思わず手に取った。
そして著作者の山田順(やまだ・じゅん)氏は、私は未知の方であったので、
氏のプロフィールを読み、長年に出版社の光文社でご活躍された方と知り、購入した。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607983
☆【文藝春秋】ホームページ <==【文春新書】
<==山田 順・著の『出版大崩壊 ~電子書籍の罠~』、☆
氏は圧倒的な筆力で、現状の出版社、卸店、書店、作家などの実態、
そして電子書籍をめぐり著作権などを含めたの現状の問題を含めて、多々教示された・・。
私は1964(昭和39)年の東京オリンピックが開催された頃、
大学を中退し、アルバイト・契約社員などに従事し、
映画・文学青年の真似事をしたりした時期があった。
確かな根拠はなく自信ばかりで、純文学の新人コンクールに応募したりしたが、
当選作の直前の最終候補作の6作品に残れず、三回ばかり敗退し、もう一歩と明日の見えない生活をしていた。
結果としては、30代に妻子を養う家庭のことを考えた時、
強気の私さえ、たじろぎ安定したサラリーマンの身に転向し、
35年ばかり身過ぎ世過ぎのサラリーマン生活をし、2004(平成16)年の秋に定年退職を迎えた。
このように、拙(つたな)く苦闘しながら敗退した私の軌跡があり、
ここ30年ぐらいは殆ど小説を読むことなく、
随筆、ノンフィクション、近代現代史などの読書が多くなっているが、
何かしら小説の世界で創作者をめざして、孤軍奮闘する30、40代のお方には、
思わず敬意してしまう習性がある。
昨今、電子書籍のブームと知り、才能のあると思われる方は電子書籍の世界で、
純文学、中間小説の文藝作品を世に問えやすいかしら、と私は感じたりしていた。
ただ危惧することは、従来の編集者のまなざし、アドバイスを受け、第三者の怜悧な視線で指摘されない限り、
独りよがりの作品となり、読者にも感動すら与えることが出来ない創作となることが多く、
たとえ発信しても、読んで下さる方が少なく、地球の彼方に消えてしまう、
このような思いで私は過ごしてきた・・。
今回、本書を読み終わった後、
私は高校生以来、何よりも読書を出来うる限り最優先としてきたひとりとして、
氏の導きで、現状と近未来を学び、愕然とし、ここ一ヶ月は憂いの日々を過ごしてきた。
たまたま私は、音楽業界のあるレコード会社の管理畑に35年ばかり過ごし、
氏の第11章の『コンテンツ産業がたどった道』で明確的に指摘された通り、衰退の体験をした身を重ね、
出版業界の現状、そして近未来を学べば学ぶ程、憂愁な心情であった。
何よりも驚き、深くため息をさられたのは、
日本に於ける電子書籍をとりまく現状であった・・。
第6章の『日本市場の特殊性』に於いて、
《・・日本の電子書籍の売上げを支えているのは、ほとんどがケータイ配信なのである。・・》
(略)
ケータイ向けの電子書籍のジャンルを、電子コミック、電子書籍(文芸系)、電子写真集の3つに分け・・
圧倒的にマンガしか売れていない・・
ケータイで配信される電子コミックは、全配信の83%を占めている。・・
この電子コミックをジャンル別にして・・
上位3つが成人用コミック、ボーイズラブ、ティーンズラブであり、
いずれもエロ系コンテンツなのである。・・
・・(略)・・
日本では電子書籍は、20代向けのエロ系マンガが圧倒的に主流である。
しかも、それを担う電子書籍端末が、ほぼ携帯電話だという点は、
アメリカとはまったく違う点である。
・・》
私は携帯電話が使えないので、もとより無知である上、
成人用コミックは想像できるが、ボーイズラブ、ティーンズラブは不明であった。
氏の解説によれば、
《・・
BLというのは、ホーイズラブ(Boys Love)の略。
つまり、男同士の同性愛を題材としたマンガで、主に10代の少年(特に美少年)同士の間の恋愛を描いたもの・・
TLは、ティーンズラブ(Teens Love)の略で、
・・主に10代の少女の恋愛マンガ・・
恋愛マンガといっても、ほとんどがセックス中心のストーリーであり、
ときにはレイプや近親相姦、援助交際も描かれている。
どちらも、読書はほとんど10代後半から20代の女性・・
「いまの市場で、BLやTLなどの女性向け以外のコンテンツが売れるなんて考えられない・・」
・・》
こうしたことは、私は仰天させられたのである。
その上、何よりも落胆させられたのは、
《・・
ケータイ小説も同じだ。
ケータイマンガもケータイ小説も、それを支えているのは7割が女性で、
はっきり言って、本などほとんど読んだことがない若者たちである。
・・(略)・・
この分野は、作家のネームバリューなんて関係ないし、ストーリーが幼稚でも関係ない。
いま、ケータイコミックを読んでいるのは、本屋なんかにめったに行ったことがない子たち。
だから、大作はダメ。スポ根ものもダメ。教育ものなんて、もっとダメ。
BLやTLに尽きる。
それから、読者は20代の女性だから、劇画はダメ。・・
・・》
こうしたことには、私は驚き、ため息をしたのであった。
私の20歳前後は、血気盛んな若者だったので、
総合月刊雑誌の『世界』から週刊誌の『平凡パンチ』までの広範囲を読んだりし、
小説の世界は純文学、中間小説を読んだりし、ときには妖艶な好色本も読んできた。
もとより本屋に行き、買い求めたりしてきた単行本、文庫本、雑誌であった。
あの頃の私たちの世代は、教養を高めようと、少し背伸びした本も小脇に持ち、
盛んに悪友と同世代の女性と、
あの本は・・、あの作家は・・と喫茶店などで議論を重ねていた・・。
たとえ時代が大きく変貌しょうと、青年期は大人の一歩前の貴重な時代であり、
自身のために教養を高めるのが、若者の命題のひとつでもあるのに・・
と私は昨今の若者の一部に失望したのである。
この本書で私は心の深淵まで学んだのは、氏の長年の編集者の体験をした発露のひとつ、
《・・
私の経験から言うと、
作家志望者のほとんどが実際には印税や名声を望んでいるだけである。
彼らが作品を書くのは、それを得るための手段に過ぎない。
ほとんどの作家志望者は、社会に伝えたい明確なメッセージや思想を持っていないし、
それを裏付ける経験もない。
・・》
このように明言され、今後も創作者をめざす人には、貴重な哲学のような銘言である。
そして、私の若き頃に文学青年の真似事をし、敗退した体験もあったので、
深く受けとめている。
このように私は本書から多々学びながら、憂愁な日々を過ごし、
こうした思いをこのサイトに投稿しょうか迷い、ためらいながら、過ごしてきたが、
やはり心の発露をしなければ、私の心に魚の骨が突き刺さったようなので、
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