夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

昨年の書籍・雑誌の販売額は7年連続で前年を下回ったと知り、文愛人の私は微苦笑し・・。

2012-01-26 18:20:50 | 時事【社会】
昨夜、私はいつものように読売新聞の夕刊を読んでいたら、
10面にある小さな記事に思わず精読してしまった。
《 雑誌販売 27年ぶり1兆円割れ 》
と題された記事である。

無断ながら、この詳細記事を転記させて頂く。
《・・
2011年の書籍・雑誌の推定販売額(電子書籍を除く)は前年比3・8%減の1兆8042億円で、
7年連続で前年を下回ったことが25日、出版科学研究所の調べで分かった。

特に雑誌は同6・6%減の9844億円と過去最大の落ち込みとなり、
1984年以来27年ぶりに1兆円を割り込んだ。
東日本大震災と節電の影響で娯楽・レジャー誌の部数が減ったことに加え、
スマートフォンの普及で若者の雑誌離れが加速したと見られる。

雑誌の販売額は統計が始まった1950(昭和25)年から増え続け、
1997(平成9)年には1兆5644億円とピークに達した。
その後、インターネットの普及で減少に転じ、14年連続で前年を下回った。

書籍の販売額は8198億円で前年比0・2%減。
出版科学研究所は「出版社の経営は雑誌の収益に支えられてきてが、
書籍が逆転することも考えられる」と話している。

(2012年1月25日 読売新聞・夕刊)
・・》
注)記事の原文にあえて改行を多くし、和暦を追加した。


私は東京郊外の調布市に住む年金生活の67歳の身であるが、
日常の大半は、随筆、ノンフィクション、現代史、総合月刊雑誌などの読書が多く、
或いは居間にある映画棚から、20世紀の私の愛してやまい映画を自宅で鑑賞したり、
ときには音楽棚から、聴きたい曲を取りだして聴くこともある。

このように定年後からの生活を過ごしてきたが、
私が読書に目覚めたのは、恥ずかしながら高校生になってからである。
活字から綴られた底しれぬ内容はもとより、そして行間から感じられる深淵に、圧倒的に魅せられた。

そして年金生活の今でも本屋で、雑誌コーナーで月刊誌、季刊誌、臨時特別号を眺めた後、
単行本、新書本、文庫本のコーナーを見たりする。
或いは、、ときには古本屋に行き、読みたい本を探し求めて購読し、
早や50数年過ぎている・・。

昨今は、私もネットから多々読むこともあり、活字中毒の私は一辺倒もままならなくなり、
苦笑する時もある。


私の高校時代は、人並みに文学の小説、随筆の文庫本、単行本を買い求めたりしていたが、
授業の時事に魅了されし、週刊誌の『朝日ジャーナル』を買い求め、
海の彼方のケネディなどの政治家に心酔したりした。

大学に入学する前後から、映画専門雑誌の『キネマ旬報』に熱中し、
小学4年生の頃から独りでたびたび映画館に通ったりしてきた体験も加わり、
これが原因で大学を中退し、シナリオライターをめざして養成所に入所し、
アルバイトなどをしながら、映画青年の真似事の期間を過ごしたりしていた。

その後、講師の知人のアドバイスを頂き、小説の習作に移り、
契約社員の警備員などをし生活費の確保と空き時間を活用して、文学青年のような真似事をして、
純文学の月刊誌『文学界』、『新潮』、『群像』、
中間小説の月刊誌『オール読物』、『小説新潮』、『小説現代』を精読したり、
総合月刊雑誌の『文藝春秋』を不定期に購読していた。

この間、純文学の新人賞に応募したが、最終候補の6編の直前で3回ばかり落選し、
あえなく敗退し、挫折した。


やむなく民間会社に中途入社をする為に、
技術を習得しょうとコンピュータの専門学校に一年ばかり学んだ後、
この当時は映像・音響メーカーの大企業だった会社に、何とか中途入社をしたのは、
25歳の時であり、遅ればせながら、社会人のひとりとなった。

この時から社会人としての常識が欠けていたので、
総合月刊雑誌の『世界』、『中央公論』、『文藝春秋』を毎月読んで、
まもなく転籍させられた会社がレコード会社であり、音楽に何の素養のない私であったので、
音楽専門月刊誌の『レコード芸術』を必死に読んだりしていた。

この頃は私は独身青年であったので、娯楽週刊誌の『平凡パンチ』まで読んでいたので、
一時期は『世界』から『平凡パンチ』まで雑誌を読んでいるのは、
日本広しといえども私ぐらい、と自惚(うぬぼ)れしてもいた時期であった。


50代の初めの頃に、教養娯楽雑誌の『サライ』を知り、
その後、パソコン初心者向けの『暮らしとパソコン』、ビジネス週刊誌の『日経ビジネス』、
音楽専門の週刊誌の『オリコン』なども買い求めたりしていた。

そして定年退職の4年前頃は、
大人の生き方誌と称された『ほんとうの時代』を精読し、私の退職後の生活を明確に思考していた。

定年退職後まもなくして、めぐり逢えたのは季刊誌の『文藝春秋SPECIAL』であり、
私の心身の波長に合うのである。

ここ数年の状況は、定期に購読しているのは月刊誌の『文藝春秋』であり、
25歳からの総合雑誌として持続しているので、毎月逢える私の心の友としている。
そして季節をめぐる毎には『文藝春秋SPECIAL』を秘かな恋人のように愛読している。

こうした中で、本屋の書棚で『中央公論』、『新潮45』、『サライ』など特集に魅せられた場合は、
買い求めたりしている。

書籍に於いては、定年後からは塩野七生、佐野真一、藤原正彦、嵐山光三郎、曽野綾子の各氏の作品を中核に、
単行本、新書本、文庫本を購読している。


私が何よりも困窮するのは、旅行先で持参した数冊の本を読み終えてしまった時である。
過ぎし2008〈平成20〉年の2月に、私たち夫婦は独り住まいの家内の母を誘い、
箱根・姥子温泉の観光ホテルに7泊8日で滞在した時である。

日中は家内たちの婦人の名所の観たい所と違い、
私は姥子温泉の付近の芦ノ湖周辺を散策したりし、夕方から深夜まで読書をしたりしていたが、
周辺には本屋がなく、コンビニは雑誌しかなく困惑したのである。

私は活字中毒のひとりなので、薬が切れた、と家内にこぼしたりしていた。
そして帰路の箱根湯本の本屋で寄り、佐野眞一・著の『阿片王 満州の夜と霧』(新潮社)を買い求め、
活字文化に飢(う)えた私の心を充たしたりした。

このような私なので、この世に別れを告げるまでは、本を読んでいたと思っている。


こうしたことが私の昨今の心情であり、
今回のニュースで、昨年の書籍・雑誌の販売額は7年連続で前年を下回った、と知り、
活字から教示される底しれぬ内容はもとより、そして行間から感じられる深淵に、
若い諸兄諸姉に、携帯電話、高性能携帯電話と称されているスマートフォンも大切と思われるが、
更に活字による魔力も知って欲しい、と文愛人のひとりの私は秘かに願ったりしている。


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作家・川上未映子さんに寄る荒川洋治・著の『文学の門』の書評文を読みながら・・。【再掲載】

2012-01-26 12:02:21 | 真摯に『文学』を思考する時
☆--------------------------------------☆
           おことわり
私は一昨年の2010年1月10日に於いて、上記の文をこのサイトに投稿したが、
昨今、殆ど毎日のように数10の方たちにお読み頂くことがあるので、
古き投稿文に対して少し驚きながら悦んでいる。

異例であるが、今回は再掲載し、改めて多くのお方にお読み頂きたく、あえて再掲載をする。
再掲載に伴い、少しの訂正、大幅に加筆をした。
☆--------------------------------------☆

私は東京郊外の調布市に住む年金生活の65歳の身であり、
今朝、いつものように読売新聞の朝刊を読んでいて、何よりも魅了されたのは、
日曜日に於いて掲載される【本よみうり堂】の中のある書評のひとつであった。

作家・川上未映子さんに寄る荒川洋治・著の『文学の門』(みすず書房、2500円)の書評文であった。

無断であるが、この書評文を書き写させて頂く。

《・・
「散文は、社会的なもの、社会的責任をおうものであり、
個人のことばは、だらだら無反省に書きつける場ではない。
疑問をもつたり検証したり反省することは、面倒なことだが、その面倒なことに耐えるから、
表現も、書く人も信頼された。
そのことが次第に忘れられてきた」。

古今東西の詩や小説や批評はもとより、
プロ野球やバライティ番組、電車の中で偶然に耳した会話から漢語からウクライナ短編集まで、
日常に見え隠れする言葉とのふれあいを通じて、
散文とはいったい何か、
現在において読み書きするとはどういった意味と可能性をもつのかについて、
とても丁寧に考えせられたエッセイ集である。

ネットが広く普及して、誰もが自分のことを快感だけを頼りに綴り、
またそれを読む機会が増えた。
表現は、自分が特別だと思いこむ自意識の慰めのためにあるのではなく、
他者を想像し、認め、思いやるための発明であり運動であったという事実が、
本書を読み進めるうちにゆっくりと恢復してくる。

ときおり紹介される詩や小説の一節は、
どれもそんな本質に触れるようなもので光り、胸を打たれる。

日々のくらしの中で自分はどんな言葉を使い、どんな言葉を読んでいるか。
いま世の中に満ちてある散文について考え、またそれを問うことは、
じつは正しく自分に、そして生活に向き合うことと地続きにあるのだと思う。

しかしどんな文章でもどんな話も
「どこかをめざしている。
沈んでいいものは、ひとつもない」。
ただ易しいのではなく、読者に語りかけるような「あたたかい」散文で書かれたこの魅力的な作品は、
それじたいが文学批評の構造をもっている。
生きているかぎり言葉に関係しない人はいない。

誰もがたくさんの「門」をくぐりぬけている最中で、
その奥になにがあるのかを自分の言葉で見つめ、考えるときがやってきた。
・・》
注)記事の原文にあえて改行を多くした。

http://www.msz.co.jp/book/detail/07501.html
☆【みすず書房 公式ホームページ】<== 荒川洋治・著作 『文学の門』 ☆


齢ばかり重ねた私は恥ずかしい限りであるが、著作者の詩人・荒川洋治、書評された作家・川上未映子、
両氏の作品を読んだことがない。

私は遅ればせながら高校に入学してまもなく、突然に読書に目覚めて、
この時から小説、随筆、ノンフェクション、月刊雑誌などを乱読し、かれこれ50年となっている。

読書に魅せられるのは、創作者より、文字から伝えられる伝達力、創造力が
それぞれ読む時、感受性、知性、想像力により多少の差異があるが、
綴られた文章はもとより、この行間から感じられる圧倒的な魔力から、
高校生の時からとりつかれたのであった・・。

その後、20代の前半に、大学を中退し映画・文学青年の真似事をしたので、
小説・随筆系は文学全集のひとつ中央公論社の『日本の文学』90巻は基盤として精読した上、
純文学、中間小説の月刊雑誌を購読し、そして興味のある数多くの単行本、文庫本を乱読した。

こうした中で、魅了された作家は20名ぐらいあったが、
圧倒的に魅せられたのは、井上靖(いのうえ・やすし)、
そして立原正秋(たちはら・まさあき)の両氏であった。

この後、文学青年の真似事を敗退した後、やむなく民間会社に中途入社し、
音楽業界のあるレコード会社の管理畑に勤めながら、
水上勉(みなかみ・つとむ)、庄野潤三(しょうの・じゅんぞう)、
城山三郎(しろやま・さぶろう)、松本清張(まつもと・せいちょう)、山口瞳(やまぐち・ひとみ)、
向田邦子(むこうだ・くにこ)、宮脇俊三(みやわき・しゅんぞう)、倉本聡(くらもと・そう)、
浅田次郎(あさだ・じろう)の各氏の小説・随筆、シナリオを読むことが特に多かった。

そして2004(平成16)年の秋に35年近く勤務し定年退職した後、
塩野七生(しおの・ななお)、佐野真一(さの・しんいち)、藤原正彦(ふじわら・まさひこ)、
嵐山光三郎(あらしやま・こうざぶろう)、曽野綾子(その・あやこ)、各氏の作品に深く魅了され、精読している。

このように愛読した作家名を思いだしたりしたが、
もとより睡眠時間を削り、アルバイト、契約社員をしながら
明日の見えない映画・文学青年の真似事をした時代は、
各作家の作品を読み、読書量が多かったのは明記するまでもない。


定年後の今でも言葉による力は、写真、映画、音楽などよりも遥かに力を秘めた世界であると信じて、
かたくなに50年近く思い続けているひとりである。

私は小説、随筆、ノンフィクション、歴史書などの読書を最優先しているが、
退職後のまもない時、たまたまブログの世界を知り、
久々に書くことに苦楽を体験をしながら、サイトに投稿文を重ね、
旅行の不在でない限り、投稿して六年目を迎えている。

もとよりブログの世界は、新聞の投稿欄、総合雑誌の投稿欄などと違い、編集権がないので、
ある程度の自身に節度があれば、自在に投稿でき、公表できる世界である。

私は定年退職後の身過ぎ世過ぎの年金生活をして、
日々に感じたこと、思考したことを心の発露として綴っているが、
心で思うこと、考えていることを文章化にする時、ただちに言葉をつむぐことは稀(ま)れであり、
つたない私は苦心惨澹とすることが多い。

文章修行の未熟かしら、と思いながら綴っているのが本音であり、
こればかりは年齢に寄る体験とは、関係はなく、
文才に乏しい私は、ひたすら努力を頼りに、悪戦苦闘しながら投稿文を綴っている。

こうした思いがあるので、偶然に読んだ荒川洋治・著の『文学の門』の作家・川上未映子さんに寄る書評文を
深く精読しながら教示され、魅了されたのである。


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