夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

海の匂い潮の香り《4》  北海道へは、船で訪れ・・。

2012-05-24 07:59:46 | 旅のあれこれ
私が高校時代の修学旅行で、初めて北海道を訪れたのは1962(昭和37)年の6月のだった。
この時に上野駅から夜行列車に乗り、翌朝に青森駅から青函連絡船に乗り継いで、
函館が観えた時の光景は忘れない。

私は北海道が何となく、心身ともに波長があうので、
その後も家内と幾たびか行ったが、感情より利便性を優先して全て飛行機を利用してきた。

ある北海道に住む敬愛している著名人の方が、
あるエッセイで船便で来道するのが最良です、
といったような綴りを20年前の頃に読んだりした。

そして確か10年前の頃に、雑誌の『サライ』で、国内航路のフェリーの特集記事があった。

この中には、新潟港から小樽港が紹介され、
特等A個室でテラス付きの記事が綴られていた。

私の定年退職となる2004〈平成16〉年の秋、
この部屋を取って北海道に行き、適当に周遊した旅をしょう、
と私たち夫婦は退職記念旅行と決めた。

そして私の定年退職の直前に、
入退院を繰り返していた家内の父が亡くなり、ちょっと慌しくなったので、
退職記念旅行は延期とした。

この後、一年を過ぎた頃に、ある旅行会社の小冊誌が郵送され、
この中の企画に団体観光ツアーでこの航路を利用し、
ランクアップすればこの船室が取れる、旅行プランがあったので、申し込んだ。

4泊5日の団体観光ツアーであり、東京駅より新潟駅に新幹線で行き、新潟港に移動し、
この港からフェリー船で小樽港に向かい1泊しながら、
翌日の早朝に小樽港に着く。

小樽を出た後は、芦別の三段の滝を観て、富良野から美瑛を抜けて、
旭岳の裾野のリゾートホテルに宿泊する。

翌朝、旭岳ロープウェイに乗り、周辺を散策する。
その後、天人峡の羽衣の滝を観た後、札幌の奥まった定山峡まで移動し、宿泊する。

翌日は、豊平峡で電気バスに乗って、ダム周辺を観た後、
小樽市で観光し、札幌駅に行く。

夕暮れの札幌駅より『北斗星号』を乗車し、宿泊しながら上野駅に到着する。

このような日程であった。


新潟港を10時30分に離れた『らいらっく号』は、翌朝の4時10分に小樽港をめざして出港した。

私たちはランクアップした専用のテラス付きの特等A個室は、
船体から海に出たような形で、予期した以上に広い6畳ぐらいのテラスであった。
夕食はデイナー付きであったので、
昼食を私はラーメンとビールにし、家内はサンドイッチにした。

そして部屋に戻った後、私はテラスに下り立ち、
日中のひととき日本海の雲の間に晴れ間が果てしなく広がっている情景を眺めながら、
簡易椅子に座り、ゆっくりとビールを呑んだりした。
そしてこうした贅沢の時を過ごせるのは、年金生活の特権かしら、と心の中で微笑んだりした。

こうした満足な時を一時間ばかり過ごした後、少し眠くなってしまった・・。
今朝、東京駅7時12分発の新幹線に乗る為、 集合時間は6時半であったので、
我が家を早朝に、タクシーで新宿駅に向かった。
その後は、新宿駅より中央線の始発近い電車で東京駅に到着し、
自動販売機でコーヒー缶を買い求めて、待機していたのであった。

この後、私はベットにもぐり、まどろんだ後に寝付いたりした。
そして目覚めた後、午後4時過ぎに、大浴場で身体をさっぱりさせた後は、
喫煙室で煙草を喫っていたら、数多くのトラックのドライバーに会ったりした。

もとよりフェリー船であるので、彼らは業務で休息のひとときで、
楽しげに話し合っているのに、やはり働いている現役の諸兄は溌剌としているので、
私は中小業の民間会社で奮戦してきた体験があるので、好感したりした。


ディナーの際、イタリアン料理だったので、
小樽ワインの辛口を注文し、家内と呑みながら談笑したりして食事をしたりした。
こうした旅先の夕食も私たち夫婦は、長年楽しんできた。
そして齢を重ねるたびに、食べ物に多少のこだわりを持つのは、
多くの人が経験するのだろう、と思ったりした。

部屋に戻り、夜の海を眺めた。
月の光の帯が、遠方から波間を通して、
あたかもテラスに向かって部屋に差し込んでいるように思えた。

その後しばらくすると、月は空高く昇ると、海上の一辺に月の光の溜(た)まり場となり、
この範囲に月の光を寄せ集めていた。


早朝の四時になると、小樽港の街の灯りが煌々と観えて来た。

フェリーは予定通り4時10分に接岸した。
港内はコンテナのトラックが100台前後あり、日本海の海上航路の要所であることを現していた。

私たち一行は、5時15分に下船し、待機していた観光バスで祝津にある食堂に向かう。

この後は、ほぼ予定通りに周遊した。

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