うなぎ「寿々喜」(すずき) 再訪。
8月某日のことだ。
7月29日、土用の丑の日に鰻を食べれなかった私は母と、彼女のお気に入りのうなぎ屋さんに向かった。
ここにお邪魔するときには必ず予約をして「きも焼き」を確保しておく。これが実家での鉄則だ。
開店時間に店の前で待ち合わせをしたが、少し前に到着したという母の話では、
オープン前から既に行列ができ、店が開くと同時に満席状態になったという。
特に夏の時期は混雑が凄い。
予約がなければ入店は叶わなかった。ごった返す入口で予約名を告げ、指示のあった
2階の座敷席に向かった。
予約効果で七味、山椒、爪楊枝がセットされている卓にはコップと割り箸などが置かれている。
ともかく、一気に客が入り注文が殺到するわけだから、スタッフさんも大忙しだ。
お行儀よく、注文をとりに来てくれるのを待っていたらいつまでたっても“うなぎ”にありつけない。
フロアをバタバタ行き来するスタッフさんに「すいません!」を連発して、注文を伝える。
メニューが卓に準備されていない場合は壁に貼られた品書きを見るべし。
また、電話予約の際には、鰻までは決めなくて良い。席と「きも焼き」のみでOKだ。
接客を担当するスタッフさんには中国人と思われる女性もいて、
蒲田西口、飲食店が立ち並ぶこのあたりの場所柄かなあと思う。
私達の注文はその彼女がとってくれたのだが、もちろんミスもなく提供される。
きも焼き(一串)@390×2
きも焼きをお願いすると、予約しているか否かを尋ねられるので、名前を告げた。
当店のきも焼きは私も好物。
香ばしくて、中はしっとり。あっさり加減のタレと、きも焼きのほろ苦さが丁度良いのだ。
キリンビール(大瓶)@600 も頼んだ。多くの客卓に瓶ビールがバンバンでるので、冷えていない。
ぬるいビールを飲みながら、お通しのもやしの和え物をつまむ。
まあ、いいじゃあないか。気持ちだけ乾杯。
なお、水玉湯呑みで茶ももらえる。
蒲焼御飯(お吸物付)@3,200
母チョイス。亡父がそうだったように、母は蒲焼と白飯が別々のお重で提供されるのが好み。
蒲焼御飯のスタンダードなスタイルはこれですが、リクエストすれば、
蒲焼を白飯の上にのせて提供も可能。
何といっても鰻のボリュームが違うし、お吸物もきも吸いなのだ。
しかも、ぷりりんとしたきもが、たっぷり入っている。
鰻をがっちり食べた、という充実感を求める場合には選択肢の一つかもしれない。
小鉢(サラダ)、漬物(3種類)がセット。
小鉢は以前のような煮しめがいいなあ。
赤重(お吸物付)@2,590
小鉢(サラダ)、漬物(3種類)がセット。この内容は蒲焼御飯と変わらない。
しかし、いつからうな重が、お重と赤重というネーミングになったのだろう?
※お重@2,290、赤重@2,590
以前は、うな重が値段で分かれていただけなのになあ。
「重箱の色で区別しているんじゃないの?ほら、あなたのお重、赤いもの」
母の指摘だった。
――なるほどね。そうかもしれないな。
赤重に詰められた鰻の大きさはお重の横幅に少し足りないぐらい。白飯は適量。
香ばしさと、身のふっくら加減、そして甘すぎず濃すぎずあっさりとしたタレが、
鰻本来の味を邪魔せず、大衆的で昭和な店の造りと雰囲気に相まって、
地元民の絶大な支持を受けているのだ。
今日のうなぎ。
自身が欲していたことも、その要因のひとつかもしれないが、適度に脂がのって美味い。
透明な吸い物の底には、椎茸、ウズラのたまご、三つ葉が沈んでいる。
お重と一緒にだされるが、他の客卓ともタイミングがかぶったのかもしれない。やはり、ぬるい。
お会計は7,170円。1人当たりに割ると3,585円。
鰻の価格の高騰によるものか、当店のお値段もだいぶ上昇した。
今年はうなぎの稚魚が豊漁というニュースを耳にしたが、恩恵に与り、
秋ごろには価格が改定されるのだろうか?これも、なかなか難しいような気がする。
会計を人溜まり状態の1階で済ませ、表に出ると、炎天下の中、また長い行列が出来ていた。
寿々喜(すずき)
東京都大田区西蒲田7-63-2
TEL 03-3731-5239
営業時間/ 11:30~21:00 (L.O.20:30)
定休日 火曜日 -店舗情報「HP」より-