彼岸とは煩悩を脱した悟りの境地…此岸で日々右往左往する『夢屋国王』は、いくら修行を積んでも向こう岸に、なかなか渡ることなど出来ないのであります^^;
日蓮によれば、彼岸会(彼岸の中日…今年は3月20日を挟んだ前後3日の7日間)には、善行も悪行も過大な果報(評価)が行われるので、彼岸会には悪行を慎み、善行に精進することを勧めております。しかし、この時ばかりは閻魔様の覚えを良くしようなどと、急に善行を始めるのも、煩悩を脱しきれない証拠でありますから、写経などをし心を平静に保つのであります(←ウソです^^;)
さて、悪行を慎むべき7日間でありますが、『夢屋国王』の苦痛のひとつは親戚の叔父たちの訪問を受けること…お茶を飲みながら世間話などすることなど、お手の物でありますが、隠居して日々自由な時間を過ごしている彼らは、訪れてくれることは分かっていても、やって来る時間が定まらないのでありまして、それを日がな一日待つという苦痛…これも立派なお年寄りに成るための修行の一歩であります^^;
仏教徒などと言っても、最近はお寺と檀家の関係が遠退いてしまい、葬式ごとや法要でも無い限り、坊さんと話をすることもないのでありまして、正しい教えを垂れた「仏」とそのありがたい教えを記した「お経(法)」、その法を伝えるべき「僧」の「三宝(仏法僧)」に帰依して初めて仏教徒足りえるのでありますが、最近は、我が菩提寺の檀家数も増えてしまい、或いは、各家庭をお彼岸に回っても「春分の日」として遊びに行ってしまうご家庭もあるせいか、棚経も地区割りを決めて春と秋を交互に輪番でこなしたり、本堂で檀家に集まってもらいお経をあげますなどと効率化(?)を優先する和尚さんも現れております^^;
そんな状態ですから、日中、玄関のチャイムが鳴って玄関を開けてみると見知らぬ女性が現れて、
「キリストの死について考えてみませんか?キリストの教えと死について考える会が4月の…」
「我が家は仏教徒ですから結構です。」などと、差し出されたパンフレットを丁重にお断りする始末であります。
清浄無垢な一瞬を得んがために結ぶ合掌でありますが、お彼岸に各家庭を回る「キリスト教徒」さんと、それを合掌で見送るニセ仏教徒…奇妙な光景に思わず笑いが込み上げてきます。
カラスは色や鳴き声で嫌われてしまいますが、とても賢い鳥であります。人間と違って腹黒さは無いと思うのでありますが、合掌しながら改宗しようかなどと、平気で口にする仏罰をも畏れぬ彼岸会の『夢屋国王』でありましたとさ^^;
追記)ちなみに、巻頭画像はイワナの骨を上げたもの…人間の食欲もまた貪欲で有ります。