やっと体調が戻った。めまいはつらい。今回は下を向くと気持ちが悪くなる。字は書けない。本もあまり読めない。食慾はほとんどないだった。やはり、3日目には治る。疲れからくるのだろうから、もう少し自分のことだけをしていればいいのだ と反省する。気分転換に、なにか、すこしロマンチックな話はないのだろうか。最近書いたエッセイのお話でもましょうか。
粉雪にまつわる2つの青春だ。1つは、高校受験の時のお話だ。クラスを越えた仲良し5人組(男子3人、女子2人)が同じ高校を目指していた。合格ぎりぎりのラインに私と仲良しのH君とK子さんがいた。仲良しは同じ学校に行こうと受験した。現実は厳しく、H君とK子さんが不合格だった。受験の結果を報告に中学に各自帰る。仲良しのH君と私は高校の近くの庭園を歩いていた。粉雪が舞い散る中、ふたりは何も話すことが出来ず、ただ歩いた。中学まで30分の道のりをやはり黙って歩いた。
その小雪の舞う庭園の様子をこの地に来て雪の日に思い出すことがある。学校が違えばそれぞれの生活が始まり、すれ違うことが多くなる。私が家の事情で埼玉へ引っ越すときに、借りていたレコードを返したのが最後だった。その中の1枚がベルリオーズの幻想交響曲だったのを覚えている。
50歳の時の同窓会で私は罪の宣告を受けるようにH君の話を聞いた。2人のお嬢さんまでが私の名前を知っているという。あの時、二人が合格できるK高に受験校を変えていれば・・・。その後どうなったかは別としても・・・。ロマンスというよりは、私は誰かを犠牲にして生きているのではと思うお話だ。その償いをずっとしているのかな。いや、そんなことはない。