ロッコさんの散歩

街を歩く。近くの山に登る。店に入って安くておいしいものを食べる。掘り出し物を見つける。それが散歩の醍醐味。

白山 その2

2013年08月05日 | 山旅

白山にはたくさん登山口があるが、バスの便があるのは別当出合だけで、これもお盆を過ぎると平日のみの運行になってしまうので行ける日が限られてしまう。そんなこともあってつい前のめりに出てきてしまったが、天気予報は芳しくない。もう1日金沢で停滞するかとも思うが、ここにいても暑いだけなのでとりあえず金沢駅発0530時のバスで登山口の別当出合に向かう。

8時前に別当出合到着。雨は降っていないがいつ降ってもおかしくない空模様のなか、8時過ぎに出発。入口の鳥居をくぐって吊り橋を渡り、砂防新道を登る

 

足の便のいい砂防新道は上りも下りも行き交う登山者が多い。下りてくる人たちの中には軽装の人がいたり、靴の底が剥がれてテープグルグル巻きも人もけっこういる。

途中の甚之助避難小屋は新しくきれい。トイレも水場も完備

 

今日の宿泊地の南竜ヶ馬場少し手前の斜面はコバイケソウが満開。今年はいろいろな山小屋情報でコバイケソウの満開が伝えられているので当たり年のようだ

 

1100時前に南竜ヶ馬場のテント場到着。ここの野営場にはバンガローや屋根付きの炊事棟などもあってテント場というよりはキャンプ場のようなところだが、高山植物が豊富でなかなかいい雰囲気のところである。

なんとか雨が降り出す前にテントを張れてホッとする。

 

思ったより早く着いて11時半ごろにはテントも張ってしまってすることがない。雨も降りそうで降ってこない。そこでここから一番近い展望歩道を上ってみることにする。途中には北アルプス展望台があるが、今日は展望は無理だろう。しかし他にすることもないので必要なものだけナップサックに入れて木道を上り始める。このあと心臓が破裂しそうな思いをするとはこのときは思いもしなかった。

砂防新道と違いこの道では誰とも出会わず、静かないい道である。荷物は軽いので順調に上って40分ほどして北アルプス展望台に到着。石造りの立派な方向表示盤があるが展望はなし

 

ここでしばらくお茶を飲んで休んでいると登山道の上からガサガサという物音と息遣いのような音が聞こえる。誰か下りてきたのかと見てみると、な、な、なんとクマがいる。距離にして20Mくらいか。肩から上の横顔しか見えないがかなり大きそうだ。

これまでに遠目で見たことはあるがこんな至近距離で出遭うことは初めてなので「ど、ど、どうしよう」と心臓がバクバクしてくる。駆け下りて逃げようかと思うが、逃げるものは追いかける習性があるともいうし。とりあえずこの方向表示盤の影にじっとしていようとしゃがみこむ。

もし下に下りてきたらどうしようと不安は高まる。去ってくれることを期待して待つ。顔を出してそれを確認したいのだが、もしまだいて眼が合ったらどうしようと思うと怖くてなかなか顔が出せない。

時間にして15分ほどか、それでもなんとかそっと覗き込むとクマの姿は見えない。茂みの中に戻ったようだ。予定ではこのあとさらに上に上るつもりだったがとてもそんな気にはなれず、それまでつけていなかったクマ鈴をあわててつけて転がるように下ったのだった。

野営場まで戻って管理センターにクマの目撃情報を報告する。一週間くらい前には人通りの多い弥陀ヶ原の木道付近でも親子グマが目撃されているとのこと。クマの生息地域なので当然といえば当然だが、無用のトラブルなく、平和共存したいものだ。

クマの写真を撮っておけばよかったと思うが、その場では怖くてとてもそれどころではなかった。

 テントに帰ってきてやっと一息つく。 夕方から雨、夜には断続的に激しくなる。昼間のクマの顔などが眼に浮かびなかなか眠れないまま、テントの低いほうに水が溜まってくるのをタオルでふき取る作業に追われる

コメント
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