のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

雨恋/松尾由美

2007年09月19日 23時59分36秒 | 読書歴
■雨恋/松尾由美
■ストーリ
 引っ越した部屋のリビングに雨の日だけ現れる姿の見えない
 若い女性の幽霊(らしい)千波。彼女の死の真実を解き明かすべく
 奔走する渉。少しずつ見えてくる真実とともに、千波の姿も
 だんだんとはっきりしてくる。いつしか思いを寄せ合うふたりだが・・・。
 世界がずっとこのままであればいい。ぼくは雨が永遠に
 止まないことを祈った。心を濡らすラブストーリ。

■感想 ☆☆
 ラブストーリの要素を持つ推理小説。
 どちらかと言えば、ラブストーリの要素のほうが強いように感じる。
 顔が見えない女性の言葉や語り口に少しずつ惹かれていく渉の
 不器用な感情の表し方、彼女への接し方がかわいらしい。
 真実が明らかになるたびに、少しずつ存在が形になっていくのに
 顔はいつまでたっても見えないところが心憎い。
 松尾さんの作品で扱われる恋愛は、いつもこういうふうに
 顔が見えなかったり、声しか聞くことができなかったり
 肉体的に触れ合うことができない場面で深まっていく。
 肉体を介しない中で、お互いを求め合う心こそが、
 きっと彼女にとっての理想の恋愛、ホンモノだと信じられる
 恋愛なんだろうと思った。