■誰か/宮部みゆき
■ストーリ
今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は、義父であり
コンツェルンの会長でもある今多義親からある依頼を受けた。
それは、会長の専属運転手だった梶田信夫の娘たちが、
父についての本を書くため、相談にのってほしいというものだった。
梶田は、石川町のマンション前で自転車に撥ねられて亡くなり、
犯人はまだ捕まっていない。依頼を受けて、梶田の過去を
辿りはじめた杉村が知った事実とは。
■感想 ☆☆☆☆
愛する妻と娘に囲まれて幸せに、けれども孤独に生きている
主人公杉村さん。彼があまりに幸せで、孤独を感じてはいるものの
今の幸せを大切にしたいと願っている優しい男性で、
だから推理小説にありがちな殺伐とした描写はない。
杉村さんは義父の運転手の娘達に頼まれて、彼の過去を追う。
彼が新たに知る事実は彼のフィルターを通して伝えられるため
どこまでも優しく暖かい。
それなのに。
それなのに、最後の後味の悪さに驚いた。人の弱さに衝撃を受けた。
悪い人よりも弱い人のほうが確実に性質が悪い。
悪い人は滅多に存在しない。けれども弱い人はごろごろいるのだと思う。
巷で起こっている事件のほとんどは「弱さ」ゆえに引き起こされている
ものなのだと思う。自分を守るためにがむしゃらに周囲を傷つける。
自分の弱さから目をそらすために、嘘をつく。自分を傷つけないために
周囲の人の幸せを奪う。
そういった「人の弱さ」が「卑しさ」となって、私を襲った。
読み終わった後にひたすら哀しい気持ちになる。
息を呑んで読んだラスト30ページの後味の悪さは
この一文に集約されていると思う。
「男と女はね、くっついていると、そのうち品性まで似てくるもんだよ。
だから、付き合う相手はよくよく選ばなくちゃいけないんだ。」
■ストーリ
今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は、義父であり
コンツェルンの会長でもある今多義親からある依頼を受けた。
それは、会長の専属運転手だった梶田信夫の娘たちが、
父についての本を書くため、相談にのってほしいというものだった。
梶田は、石川町のマンション前で自転車に撥ねられて亡くなり、
犯人はまだ捕まっていない。依頼を受けて、梶田の過去を
辿りはじめた杉村が知った事実とは。
■感想 ☆☆☆☆
愛する妻と娘に囲まれて幸せに、けれども孤独に生きている
主人公杉村さん。彼があまりに幸せで、孤独を感じてはいるものの
今の幸せを大切にしたいと願っている優しい男性で、
だから推理小説にありがちな殺伐とした描写はない。
杉村さんは義父の運転手の娘達に頼まれて、彼の過去を追う。
彼が新たに知る事実は彼のフィルターを通して伝えられるため
どこまでも優しく暖かい。
それなのに。
それなのに、最後の後味の悪さに驚いた。人の弱さに衝撃を受けた。
悪い人よりも弱い人のほうが確実に性質が悪い。
悪い人は滅多に存在しない。けれども弱い人はごろごろいるのだと思う。
巷で起こっている事件のほとんどは「弱さ」ゆえに引き起こされている
ものなのだと思う。自分を守るためにがむしゃらに周囲を傷つける。
自分の弱さから目をそらすために、嘘をつく。自分を傷つけないために
周囲の人の幸せを奪う。
そういった「人の弱さ」が「卑しさ」となって、私を襲った。
読み終わった後にひたすら哀しい気持ちになる。
息を呑んで読んだラスト30ページの後味の悪さは
この一文に集約されていると思う。
「男と女はね、くっついていると、そのうち品性まで似てくるもんだよ。
だから、付き合う相手はよくよく選ばなくちゃいけないんだ。」