■椿山課長の七日間/浅田次郎
■ストーリ
働き盛りの46歳で突然死した椿山和昭は、家族に別れを
告げるために、美女の肉体を借りて七日間だけ現世に舞い戻った。
親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、人と人との縁など、「死後の
世界」を涙と笑いで描いて、朝日新聞夕刊連載中から大反響を
呼んだ作品。
■感想 ☆☆☆☆*
さくさく読める軽いエンターテイメント作品だなと思いながら
楽しんで読んでいた。話の展開に惹き付けられ、合間合間に
登場人物たちがつぶやく言葉に深く頷きながら読んでいたところ
最後の最後にやられた。感動してしまった。心が揺さぶられた。
タイトルは「椿山課長の七日間」だが、彼だけが主人公ではない。
彼と同じ日に殺し屋に人間違いで殺されてしまったヤクザの親分、
武田と、たった7歳で交通事故にあってしまった男の子、蓮。
彼らはそれぞれ、現世に戻り、心残りをなくすために行動するうちに
お互いの行動範囲が重なり始める。
特に蓮と深く関わりあうことになる椿山課長の父親の言葉には
重みがあり、人間的魅力にあふれている。
何より、彼は言葉だけではなく、自分の生き様で、行動で
私達に「生きること」「悔いなく過ごすこと」を教えてくれる。
彼が最後に啖呵を切る場面に胸も目頭も熱くなった。
そこかしこに出てくる登場人物たちの単純で深遠な言葉の数々にも
心を揺さぶられる。文庫本を購入して、読み返したい本の一冊だ。
・子どもを大切にするというのは、猫や犬みたいに可愛がることじゃ
あるまい。未来を大切にすることだよ。だからいたずらに子ども
扱いしてはいけないんだ。このごろでは親たちに子どもと猫の
区別がつかなくなったね。おかげで生意気な子やおませな子が
いなくなった。若者たちまでがみんな子どものように幼い。
・「もし死なずに大人になれたら、ぼくら二人で世の中を
変えられただろうな。きっと、すばらしい日本を作ったよ。」
(略)
「むずかしいよ、そんなの。」
「かんたんさ。ウソをつかなけりゃいいんだから。」
・役所というものは、住民を管理するための機関ではないのだよ。
(略)そうではなくって、よりよい生活の便宜をはかることが
役所のつとめなのだよ。
・貴様らも役人ならば、弱き者は救え。
法を曲げても正義を掲げる勇気を持て!
・規則と礼儀は似たもの同士の大違いで、ともに守ることは
あんがい難しい。
■ストーリ
働き盛りの46歳で突然死した椿山和昭は、家族に別れを
告げるために、美女の肉体を借りて七日間だけ現世に舞い戻った。
親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、人と人との縁など、「死後の
世界」を涙と笑いで描いて、朝日新聞夕刊連載中から大反響を
呼んだ作品。
■感想 ☆☆☆☆*
さくさく読める軽いエンターテイメント作品だなと思いながら
楽しんで読んでいた。話の展開に惹き付けられ、合間合間に
登場人物たちがつぶやく言葉に深く頷きながら読んでいたところ
最後の最後にやられた。感動してしまった。心が揺さぶられた。
タイトルは「椿山課長の七日間」だが、彼だけが主人公ではない。
彼と同じ日に殺し屋に人間違いで殺されてしまったヤクザの親分、
武田と、たった7歳で交通事故にあってしまった男の子、蓮。
彼らはそれぞれ、現世に戻り、心残りをなくすために行動するうちに
お互いの行動範囲が重なり始める。
特に蓮と深く関わりあうことになる椿山課長の父親の言葉には
重みがあり、人間的魅力にあふれている。
何より、彼は言葉だけではなく、自分の生き様で、行動で
私達に「生きること」「悔いなく過ごすこと」を教えてくれる。
彼が最後に啖呵を切る場面に胸も目頭も熱くなった。
そこかしこに出てくる登場人物たちの単純で深遠な言葉の数々にも
心を揺さぶられる。文庫本を購入して、読み返したい本の一冊だ。
・子どもを大切にするというのは、猫や犬みたいに可愛がることじゃ
あるまい。未来を大切にすることだよ。だからいたずらに子ども
扱いしてはいけないんだ。このごろでは親たちに子どもと猫の
区別がつかなくなったね。おかげで生意気な子やおませな子が
いなくなった。若者たちまでがみんな子どものように幼い。
・「もし死なずに大人になれたら、ぼくら二人で世の中を
変えられただろうな。きっと、すばらしい日本を作ったよ。」
(略)
「むずかしいよ、そんなの。」
「かんたんさ。ウソをつかなけりゃいいんだから。」
・役所というものは、住民を管理するための機関ではないのだよ。
(略)そうではなくって、よりよい生活の便宜をはかることが
役所のつとめなのだよ。
・貴様らも役人ならば、弱き者は救え。
法を曲げても正義を掲げる勇気を持て!
・規則と礼儀は似たもの同士の大違いで、ともに守ることは
あんがい難しい。