太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

占いジャック

2013-11-07 14:38:13 | 人生で出会った人々
ジャックは、よく職場にみえるお客様である。

フランス生まれで、3ヶ国語を話し、軍の仕事を退役して、今は悠々自適。

結婚はしていたが、今は離婚していて一人で暮らしているようだ。

私はフランス語の「ボンジュール」が言えず、

何度言ってもダメ出しがでる。


ジャックはホロスコープを読むのが趣味で、話の成り行きで、私のホロスコープを読んでくれることになった。


数日後、やってきたジャックは、紙切れにぎっしりと書かれたものを解説してくれた。

書かれているのは、木星の位置からどのぐらいだとか何とか、そういったもので

私にはさっぱりわからない。

ジャックはデータをニューヨークに送って、じっくり調べるらしい。


私の特徴は、生き方が非常に柔軟なところ。

悪くいえば、行き当たりばったりか。

気分がいつも一定していて、愛がいっぱいあるが、人が良過ぎるところがあって

いっけん誠実そうな人には気をつけるように、と言った。


ついでに夫のも調べてきてくれた。


第一声。

「彼が結婚を選んだのが不思議なぐらいだよ、彼は自由が好きで、この星の具合だと

生涯を独身で過ごすことが多いんだ」


ジャックは言葉を濁していたけれど、相性でいけば、良くはなさそうだ。

「彼はすごく気分にムラがあるでしょう」

そうそう。いい時はいいけど、グーっと落ちて「うつ」状態になりやすい。




私は占いや風水のたぐいが好きだった。

未来を知ることは、失敗しないで生きるのに役立つと思っていた。



離婚したあとから、今の夫と結婚し、そのあと何年かの間は、

守護天使たちの通訳をしてくれるというリーディングを受けていた。

それは幸せになるために、良いといわれることを何でもやっていた時期で、

大変な宿題も、うへぇー!と思うようなミッションも、こつこつとこなしてきた。

その人との出会いがあったからこそ、私はここまで来れたと思う。



しかし、あるとき、リーディングを受けると、心のどこかがモヤモヤするようになった。



こうなりたいためには、こうしたほうがいい、ああしたほうがいい。

そう言われることが、とても窮屈に思えてきた。

その人はけして、こうしないと、ああなるよ、という恐れを振ってくることはなかったし、

それをやるかやらないかは私の自由だったけれど、

そこで言われたことが、ずっと私の心に残っていて、自分でそれにこだわってしまう。



何十年も前に、ボウリング場の片隅にあった「名前占い」を遊び半分でやった。

それによると、私の名前は、結婚相手に先立たれる名前だという。

その場では、「こんなのが当たったら、日本中の同じ名前の人が後家ってことじゃん」、と笑ったのだが、

それは私の心の奥の、手が届かない隙間にじょうずに入り込んだまま、忘れることができなかった。



同じように、占いやリーディングで言われた、私にとって都合の悪いことが、ずっとオモリのようについてくる。



モヤモヤしながらも、その人のことは好きだったので、時々会っていたのだが、

ある時にその人が言った。

「シロさんはもう、誰にも何も言われたくないって思ってます」

その人(つまり私の守護天使たち)が言うには、私はもう地球の常識に関係なくなっていて

自分で決められるようになった、のだと。

私が地球の常識を超えているかどうかはわからないけど、誰にも何も言われたくないと思っているのは図星だった。



話をジャックに戻そう。


ジャックは、前夫のホロスコープも読んで(データを差し出した私も私だが)

どうして私とその人がよくなかったかわからない、と言った。

前の夫とは、不自然な結婚生活だったけれど、私には、あの体験が必要だった。

あの部分を抜かして、先に進むことはできなかった。

そういう意味では、私の人生において最悪の役柄を頼める相手は、本質的には相性のいい人であるのかもしれなかった。



紀元前から人類が読んできた星には、確かに重要な意味があるんだろう。

だけど、星に人生や性格をどうこうされているわけではない。と思う。

星が私の人生を決めるんじゃなくて、私が私の人生を決めるのだ。

この星の配置だからどうだ、というよりも、

こういう性格、こういう人生がよくて、その星の配置を選んで生まれたのかもしれないじゃないか。

今はむしろ、そういう考え方のほうがしっくりとくる。



占いは、イコール未来ではありえない。

リーディングも、今そのときの、読む人のスクリーンを通してわかる範囲のことであって、真実とはまた違う。

星の配置も興味深いけれど、やっぱり自分自身だけが自分や人生を変えてゆける。



ジャックに会って改めて、私がそんなふうに思っていることに気づいた。

リーディングしてくれた人に対してのモヤモヤも、占いや風水に興味がなくなったことの理由も、

わかったような気がした。







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