太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

出向

2013-11-13 08:14:16 | 日記
私の働く店が、私の住まいの近くにも店を出したのは1ヶ月前だ。

一応ホリデーストアということで、テンポラリーである。

近所に住む私が、時々出向で行くことになった。


通勤時間は10分。

朝は45分、帰りはへたすれば1時間かけて通勤していることを思えば便利だ。

働いている人達もいい人ばかりで、お店もきれい。


しかし、いかんせん暇だ。

棚の補充やメンテナンスをしたら、あとはすることがない。

常に店内にはお客様がいるけれど、レジに人が並ぶことはない。

普段、忙しいときには息もできないほどの中で仕事をしている私は、時間をもてあましてしまう。

することがないときに、どうしたらいいのかわからない。



この店では英語のものしか扱っていないので、

従業員は全員地元の人である。

全員が開店と同時に採用されたから、上下関係がない。

マネージャーもいないし、社長もたまにしか顔を出さないから、みなさんとてものんびり仕事をしている。



私が働いている場所では、トイレにたつのもタイムカード(パソコン)でクロックアウトしてゆく。

ところが、出向先での、ある午後。

金髪好青年のマイロが

「ね、喉渇いてないかい」

と聞く。

「乾いてないよ、それに私、水筒持ってるし」

「じゃ、ちょっと飲み物調達してくるよ」

ショッピングモールの中にあるから、いろんな店がすぐ近くにある。

5分後、片手にアイスコーヒー、片手にクッキーを持って戻ってきた。

「ねえねえ、ここのクッキー食べたことある?すっごいうまいんだぜー。食べてみてよ」

Cookie Corner というブランドのお店はチェーン店で、そこかしこにある。

お言葉に甘えて食べてみると、焼きたてでほんのり温かく、さっくりとしておいしい。


(でもさ、今、クロックアウトしないで出かけたよね・・・・・)



カウンター内で飲食するのだって、私からみれば驚きだ。
(そういう私もクッキーを食べたが)


談笑し、ノートに絵を描き、楽しそうだ。

もしも、最初に仕事をしたのがココだったら、

「仕事ってなんてラクチンなんだろう!」

と思ったことだろう。

あの忙しさを知らなければ、こんなものかと思うのかもしれない。



いつもの職場は、従業員の日本人比率が3割ほどで

アシスタントマネージャーも日本人であるためか、なにごとにつけ日本式だ。

たとえばランチタイム。

忙しさをみながら、時間差で一人ずつランチタイムをとるのだが

いつ誰が行くか、というのはアシスタントマネージャーが采配する。

仕事があがる時間が早い人が先とかいう、暗黙のルールもある。

マネージャーも従業員も、誰がランチをとって、誰がとっていないかを気にかけているし、

先に行きたいけれど、あの人が行ってないからという気兼ねもあったりする。

忙しくて抜けられないままでいると、無理してでも早くとったほうがいい、と

声をかけることもある。

そして抜けるときと戻ってきたときには必ず、すべての従業員に挨拶する。




ところが、だ。

出向先の店では、全く違う。

行きたい人が、さっさと行く。

誰がランチタイムをとって、誰がとってないかを気にする人はいない。

いつだったかブライソンが、CDの整理に必死になってランチをとらなかった。

「ランチいいの?お腹すかない?」

そう聞いたのは私だけだ。

「今日は3時あがりだから、帰るまでに終わらせようと思ってさ」

結局、彼はランチ抜きで3時まで働いたが、それについて誰も何も言わなかった。



昨日、ぐずぐず遠慮をしていたら、タイミングを逃して2時近くになった。

ランチタイムとったら?とか、とってないよね?といわれることもない。

「私ランチ行ってくる」

と言うと、みんなが声をそろえて

「OK!おいしいランチを食べてきてねーー!」




最初は戸惑うけれども、ものすごくラクだ。




日本式の社会にいると、こうしたらどう思われるだろうかとか、

ああ言ったけれど本心はどうなんだろうとか、裏を読むことが多すぎる。

そうしてこそ、「いい社会人」になれる。

それができなければ、自分勝手な人になる。


パーティで出会った日本の人が、ハワイの職場の人間関係がラクで

生活は大変だけど日本で再び就職する気になれない、と言っていたことがあった。

飲み会だとか忘年会、送別会などという催しとは無縁だから、と私は思っていたのだが、

どうもそれだけではなさそうだ。





やりたければ、やる。やりたくなければ、やらない。




それは私が夫に対して、一貫して感じていることでもある。

彼がやっていることは、やりたいからであって、感謝はしても、申し訳ながることはない。

やらないことについて、

遠慮しているのではないか、本当はやりたいのではないかと他人が気にかける必要はない。

これは夫の性格というよりも、人種とか文化の違いなのかもしれない。




出向は今週一杯。

それ以上こっちにいると、ここのほうが居心地がよくなりそうで怖い。




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