太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

前世のはなし  2

2015-08-18 07:48:58 | 不思議なはなし
どのぐらい古いかわらないけれど、大昔も大昔、たぶん紀元前だ。

私は人間ではなかった。

人間の姿をしているけれど、魔女的ななにかだった。

私は、ある城のリーダーに仕えて、占いによって数々のことをみる役目をしていて、

私たちは信頼しあっていた。

私は内心で人間を小ばかにしていたのだが、リーダーである彼だけは違った。

彼に対する恋愛感情を、私は押し殺していた。

それを知られたら、厭われて、もう一緒にいられなくなるのが怖かった。

彼は優しかったが、それは仕事を通してのことかもしれない。

魔女のくせに、そういうことはわからないのだった。




その城に、敵が攻めてきた。

私も女ながら、金属でできた甲冑のようなものを身に着けて、戦に出て行く。

城の建物も地面も、みんな乾いた土色をしていた。

城壁が壊されて、どんどん敵がなだれこんでくる。

この戦は負ける。

負けて私もリーダーも死ぬ。

リーダーは2階の広いテラスで、敵と剣を交えている。

私は人をかきわけ、そこに近づくと、リーダーの前に行き、自分の気持ちを打ち明けた。



そのとき、とても不思議なことが起こった。



その瞬間、私は魔女であり、かつ、リーダーでもあった。

うまく説明できないのだけれど、私は打ち明けている自分と、

打ち明けられている自分を同時に体験していた。

打ち明けた自分は満足して、踵を返して城の庭に戻る。

打ち明けられた自分は、魔女が最後にニコリと笑ってその場を去るのを、呆然として見ている。

そのことを言わずにいたのは自分も同じだった。


呼び止めようとして、城の庭を見下ろした時、魔女は矢で胸を射られて倒れるところだった。


死ぬ間際、魔女である自分は強く強く思った。


「今度は人間に生まれたい」



この話を、リーディングしてくれるセラピストに話したら、彼女は言った。

私は彼にあこがれて、彼としての人生も生きたのだと。

「それってどういうこと?魔女でありリーダーであったということ?」

「そ♪ だってこの宇宙には自分ひとりしかいないんだもの」

「ぜんぜんわかんない」

「今はわからなくてもいいよ。自分と他人と分けてるけど、ほんとうはみんな繋がってる。いつかわかる」



前世の夢を見たあとは、それが前世だとわかる。

目が覚めたあとも、今さっきまでその場所にいたかのように

体の隅々に、鮮明に感情が残っている。

そしてその感覚は、時間がどれだけたってもずっと残っていて、

思い出すたびに胸が痛むほどだ。



私はここでも、自分に正直に生きることを、ほかの次元にいる自分から教えられたのだろうか。






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