太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

2015-09-23 10:04:55 | 日記
なにかの事件があり、刑事が容疑者の周辺を聞き込みにまわるとする。

夫婦間に問題を抱えている人は、「どうも夫婦仲がぎくしゃくしていたようですよ」と言い、

お金に問題を抱えている人は、「お金のことでもめていたみたいですよ」と言う。

というようなことが、何かの本に書いてあった。



なるほど、人は自分が持っているものを人に映して見ているのか。


毎日、鏡だらけの世界で生きているのだろうな。


醜いもの、受け入れがたいものに出会ったとき、私たちはつい、

『見ているそのもの』を何とかしようとするけれど、

それはまるで、鏡に映った自分の顔の汚れを、

鏡を拭いてキレイにしようとしているようなもんだ。



先日、日本人のお客様が職場に来て、フリーペーパー(無料の情報誌)の置いてある場所を尋ねた。

「エスカレーターを上がって正面の、ラーメン屋さんの横の壁際に台があって、そこにあります」

「あ、そ」

しばらくして、その方が戻ってきて、私を見つけて言った。

「ありませんよ、そんなもの」

「あるはずですよ?」

「ないわよ。居酒屋しかなかったわよ」

「居酒屋?(そんなもんあったっけ・・・)」

「とにかく一緒に来てよ、ほんとにないんだから」

私はとっても手が離せなかったのだけれど、その方は引き下がりそうにない。

仕方がないので一緒に行った。


フリーペーパーは、ちゃんとそこにあった。


「あ、ここのこと?私はエスカレーターを上がってすぐだと思って居酒屋しか見てなかった」


エスカレーターを上がったところには、フードコートで買った食べ物を食べるテーブルが並んでいる。

その方は、そのことを「居酒屋」と思ったのだろう。


「エスカレーター上がってすぐって言いましたよね?」


「正面の壁の、ラーメン屋さんの横って言ったと思いますけど・・・」


するとその方は憤然として言った。

「いいえ、ラーメン屋さんだなんてひとっことも言わなかったわよ。

そう聞いていたらわかったし、それに・・」


まだまだ言い募りそうだったので、

「あ、でもここに情報誌が揃ってますから、それでいいですよね」

と言って、その場をあとにした。

その方はとうとう、ありがとうの一言も言わなかった。




仕事に戻ってから、今あったことを同僚に話した。

ストレスは発散してしまう、というのが私のやりかただ。

アメリカ人の同僚は、

「アメリカ人全員が横柄なわけでもないように、日本人にもそういう人がいるんだね」

と言った。


ちょっと余談。

ここで働いていて思うのだが、

アメリカ人の場合、相手がアメリカ人であっても、英語をあまり理解できなさそうな人であっても、

態度を変えることはあまりない。

しかし日本人の場合、相手がアメリカ人だと比較的行儀がよくて、

日本語が通じる相手だと、途端に横柄になったりすることがある。

言葉の問題なんだろうけど。



発散したあと、私の鏡に映ったもののことを思い、

気が滅入ってきた。

私はあんなものを持っているんだなあ。

消化のよくないものを食べたあとのように、心がいつまでももたれていた。







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