太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

「嫌な女」

2015-09-25 22:01:37 | 本とか
毎日欠かさず本を読んでいるけれど、

本の記事は久しぶりだ。



この頃ずいぶん若いアイドルやタレントか出てくるなあと思っていたら、

ただ自分が年をとっただけだと気づいた時はショックだった。

そのアイドルの親の年齢を知ったときのショックよりは、いくらかマシだったけど。

同じことが、作家にも言える。

私より同年代か若いような作家が、次々といい小説を書いている。

目に付くのは女性が多くて、辻村深月や柴田よしきも気になるが、

桂望実もその一人。

故 山崎豊子のような社会派バリバリの骨太さはないけれど

下地の良さに加え、読者を引き込んでゆく文章力があると思う。



小谷夏子という天才詐欺師と、その遠縁にあたる弁護士の石田徹子。

夏子はトラブルにあうたびに、徹子に頼り、それが何十年にも及ぶ。

これは終始、徹子の目線で語られていく。

二人は主人公でありながら、小谷夏子が表に出てこない構成も新鮮だ。

不器用な徹子の生き方と、調子のいい夏子の生き方と、二人は対照的だけれど

二人は同じぐらい深い孤独を握りしめている。

470ページの長編だが、ペースを落とすことなく読み終えてしまう。





「嫌な女」 桂望実 光文社文庫



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