太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

アボカド

2017-03-21 07:52:30 | 食べ物とか
はじめてアボカドを食べたのは、ハタチそこそこだったと思う。

当時働いていたテレビ局の食堂で、

制作局の誰かが、取材でもらったといって皿に乗せたアボカドを持ってきた。

そこにいた誰もが、アボカドを初めて見た。

スライスされた抹茶色のソレを見て、

「これは、ナニ?」

と聞くと、制作局の誰かは得意満面に

「これはアボカドといって、南国の果物なんだな。果物なんだけど、こいつをつけて食う」

そしておもむろに 醤油とワサビ を出してきた。


お調子者のEが、真っ先にアボカドを醤油につけてほおばった。


「な?大トロの味すンだろ?」

「するする!うめぇー!これはトロだ!ここに酢飯があったらなあー」


Eの発言に勇気を得て、私もみんなも一切れずつ食べてみた。



「・・・・・・・・・・」



どのへんが、トロ?




ただねっとりとした果肉が、醤油とワサビを抱え込んで喉を通っていった。

醤油とワサビが強すぎて、何を食べたのかよくわからん。

みんな複雑な顔をしている。

Eはトロだと断言したくせに、ふた切れ目を食べようとはしない。

彼はエレベーターの中でお得意様にネクタイを褒められて

「へへっ、こんなもん、ケツを拭けますよ、へへッ」

と言ったという、局内一のお調子者である。



最初の出会いが悪かったばかりに、私はアボカドが嫌いになった。



今、アボカドは私の好物である。

今の夫が、熟れたアボカドにトマトや玉ねぎやスパイスを混ぜて ワカモレ を作り、

それを食べたときに、あまりの美味しさにびっくりした。

野菜やトルティーヤチップスなどにつけて食べるディップの一種なのだが、

それ以来、アボカドが大好きになり、

ただスライスしたものに、クレイジーソルト的なものを振りかけたら、まるまる1個はぺろりといける。



アボカドに醤油とワサビ、という組み合わせを思いついたのは誰だろう。

何かと何かを一緒に食べるとプリンの味がする、なんていうのがあるけれど、

絶対にプリンの味なんかしないのだ。

プリンが食べたいならプリンを食べればよろしい。

トロが食べたかったらトロを食べればよろしい。

アボカドを嫌いだった20年あまりを取り戻すかのように、今アボカドを食べているのである。








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