太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

敗因

2019-10-19 19:33:00 | 食べ物とか
きっと過去にこんなタイトルの記事をいくつも書いた気がする。
それも料理で。
美味しそうな料理を記事にする気は満々だが、結局こんなタイトルの記事になる。

キーマカレーを作った。
七面鳥のひき肉を使って、カレールウではなく、スパイスだけのカレーだ。
コリアンダーとターメリック、カイエンペッパーという三種のスパイスだけで
美味しいカレーができる、という本を買ってきて、
実際にそれで美味しいカレーを何度も作った。
嘘じゃない。
玉ねぎをねっとりするまで炒めて作る、本格的ぽいカレーは、カレールウを使ったカレーとはまた別の美味しさがある。

スパイスカレーを作るのは久しぶりだ。
分量では、4人分で玉ねぎが1個だが、ひき肉がけっこう量があるので
きっと4皿よりもたくさんできるはずで、1個半を使った。
生姜とニンニクの量も、多いほどおいしいと思っているので、多め。
玉ねぎを炒め、生姜とニンニクを加え、カットトマトを加える。
分量では、トマトは100グラム。
トマト缶には430グラムと書いてある。
4皿よりも多めに作るから、目分量で缶の半分ぐらいのトマトを鍋に入れ、
ふと缶に残ったトマトを見て、思う。

(トマト缶半分だけあってもなァ)

料理上手な人なら、半分のトマト缶をじょうずにほかの料理にするだろう。
しかし私はなにも使い道など浮かんではこない。
かすかに、何かと合わせてオムレツのソースに使えるかもしれないと思うが、
そんなめんどくさいことを私がするとは思えない。
半分残ったトマトをタッパーに移して冷蔵庫に入れても、
結局使うことがないままカビがはえて捨てるに決まっている。

そこで、残りのトマトも全部入れた。

いくらなんでも、分量の4倍以上のトマトは、まずかったんじゃないかと思わないこともないが、時すでに遅し。



味見をしたら、不思議な味がした。
まずくはないが、少なくともカレーではない。
コリアンダーの香りもしないし、ターメリックもどこかに消えた。
そこで、さらにスパイスを足す。
塩辛いので水も足した。
木べらで鍋の中をかきまわすと、七面鳥のひき肉が恨めしそうに煮られている。
「おいしいキーマカレーになりたかったのにィ・・・・」
じっくり寝かせて美味しくなったところを夕食に食べようと、
仕事に行く前に作ったので、あれこれ考える時間もなく、そのまま仕事にでかけた。


じっくり寝かせたら、なんとキーマカレーに変身していた!!!















などということがあるはずもなく。
なんだかよくわからないスープ風の七面鳥のひき肉の煮物は、
夜になってもやっぱり、よくわからないスープ風の煮物であった。
夫は、思いやりなのか、単に味覚のハードルが低いのか、
「おいしいよ、好きだよ、これ」
と言って平らげた。
私はスプーン山盛り3杯も食べればじゅうぶん。


一応、敗因を考えてみた。
書いてあった材料を使ったが、分量は何ひとつ正しくない。
それか、やっぱり(てか、それしかないだろう)
スパイス類は、それでも計量スプーンなどを使ったけれど、
あとになって適当に足しているのだから、意味がない。
私はいつだってそうだ。
予習もせずに作り方を読みながら作り、途中で家にない材料が出てきたとかいうのはしょっちゅうで、
あるときは、水を足して焼くだけの、失敗しようがないマフィンの箱書きを見ながら作っていて、
やけに生地がシャバシャバだなと思ったら、それはマフィンではなくパンケーキの作り方だったことが判明したということもあった。

まったくもって料理本の意味がない。
料理の作り方を書いた人に申し訳ない。
書いてあることを、そのとおりに計って料理するだけなのに、
それができない私は、きっと何か欠陥があるのに違いない。


最初の結婚時代、どうして私は自分が料理上手だとか思っていたんだろう。
友人たちも、私のことを料理が好きで、マメな人間だと言っていたではないか。
確かに私は手作りにこだわって、何かにとりつかれたように毎日、
手をかえ品をかえ、熱心に料理を作っていた。
精進料理で食べた、山芋をすりおろして野菜を入れて、お椀に浮かべる料理も
思い出しながら作ったりしたし、
パンだって発酵器まで買って焼いていた。
あれは本当に私だったのだろうか。


手料理で人をもてなす人が心底羨ましい。
冷蔵庫の残り物でちゃちゃっとおいしいものが作れる人を尊敬する。
料理本のとおりに料理ができちゃう人に憧れる。
私はいったいいつからこんなふうになったんだろう。
それとも、あの料理三昧していた時代がおかしかったのであって、
これが私の元々であったのか。
普段はほんとうにシンプルなものしか作らない。
生姜焼きとか、てんぷらとか、カツとか、酢豚とか。
そんな、考えても仕方のないことを思いつつ、残りの変な七面鳥のひき肉の煮物を、
どっさり夫のランチに入れた。
おいしかったよう、と言うだろうと思う(実際、そうだった)。
もう私は料理好きのマメな自分には戻れないだろうと思う。













ウィリー・Kを聴きにいく

2019-10-19 07:55:11 | 日記
BLUE NOTEに、ウィリー・Kを聴きに行った。
ウィリー・Kはハワイ生まれで、ハワイアンからロック、オペラまでこなす多才なミュージシャンだ。
癌の闘病中であるのに、何か月か1度、マウイ島からブルーノートまできてステージをやる。




声はもう、それは気持ちのいい声で、生で聴くとなおさら良い。
歌の間のおしゃべりもおもしろくて、観客は大喜び。

テーブルのキャンドルの灯が、水の入ったグラスを通して見えるのが素敵。
3か月ぐらい行かないうちに、食事のメニューが一新していた。
ブルーノートは食事もおいしい。

ウィリー・Kが、病気に打ち勝って、ずっと歌い続けてくれますように。
この場にいた人みんなが、そう願ったに違いない。


午後6時半のワイキキ。
こんな景色でも、私にはずいぶんな都会にみえる。
ステージが終わって外に出てきたのが8時ちょっとすぎで、
私が住む地域は、その時間ならほとんどの店も閉まって、歩く人もまばらなゴーストタウンになっているのに、
ワイキキは昼間と変わらないぐらいの人が行きかっているのだ。

月下美人

家に帰ると、玄関先の月下美人が咲いていた。
高貴な香りが夜の闇の中で、妙に存在感をもって香っている。
満月から二日目。
満月の夜だけ咲く、というわけではないのだなあ。



空を見上げれば、浮世絵みたいな雲に縁どられた月が
こうこうと光っていた。