太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

慣れ

2020-03-10 07:57:56 | 日記
うちの洗濯室は両親側の家と共有で、二つの家をつなぐ通路にもなっている。
先日、洗濯室のシンクの上に、義父がセンサーライトを取り付けた。



両親側のドアの横と、我が家側のドアの横に電灯のスイッチがあるのだが、
センサーライトがあれば、いちいち電気をつけなくてもすむ・・・・

はずなのである。

しかし、このセンサーの反応が、ちと鈍い。
シンクを使うときにはいいが、それほどシンクを使うことはない。
肝心の、洗濯機に衣服を入れる、取り出す、ドライヤーに移す、ドライヤーから出す、
といった普段の動作には、用事が済んだあとでのっそりと電気がつく。
用事を済ませて、洗濯室のドアを開けるころ、背後で電気がつくので
結局、壁のスイッチで天井にある照明をつけるという、
まったく以前と同じことをしている。

が、誰も文句を言わない。
そんなもんだと思っている。


長年愛用してきたヘアドライヤーが壊れて、新しいものを買った。
ボタンを押すと、コードが巻き取られる構造になっているが、
ちゃんと巻き取られた試しはない。
使い終わって、ボタンを押す。
シュッという音とともに、2センチぐらいお情けに巻き取られ、そこで止まる。
本来なら、コンセントの根元近くまで巻き取られるはずなのだ。
日本だったら、不良品になるのだろうが、ここじゃ普通。
私はハナから期待もしていないから、余ってぶら下がったコードをドライヤーと共に引き出しに突っ込む。
そして毎回、ダメとわかっているのに、律儀に巻き取りボタンを押す。
ボタンを押したまま、コードを本体に押し込んでみたりも、する。


留守にする間、郵便物を止めてもらうように郵便局に申し込む。
が、郵便物が配達されることが普通にある。
だから、隣家に郵便受けを見てもらうように頼むことも忘れない。
どうせ配達されるなら、不配届なんていうシステムをやめてしまえばいいのに、
システムだけはある。
どうせ隣家に頼むのなら、不配届を出さなくてもいいのに、一応出す。

ここに住んでいると、日本に住んでいる日本人には我慢できないだろうことが、
日常的にある。
配達時間を指定して、それをまた直前になって指定し直すこともでき、
しかもきっちりそれらが届いて当たり前の暮らしは、ここにはない。
半年前に頼んだ網戸の修理に、悪びれもなく来るハワイ。
日本の感覚だと、半月も音沙汰がなかったら、一応電話ぐらいしてみる。
まだハワイに来たばかりだった私がそう言うと、夫は言ったのだ。
「まあ、電話したところで忙しいから来れないんだからさ」
しかも、網戸の業者の人は、半年かかってやっと来て、
網戸の寸法だけ計って、ニコニコと帰って行ったのだ。


今では私はすっかりこっちの、いい加減でゆっくりな流れに違和感がなくなった。
いい加減なことを許す社会は、いい加減であることを許される社会でもある。
日本は判で押したようにきっちりと来る電車。
きっちりとした服装をしている人々。
ここは時刻表など、あって、ないのと同じバス運行。
学校の行事でもビーチサンダルにショートパンツで行く文化。
便利じゃないけど、気楽なことこのうえなし。
慣れというのは、おおらかに生きてゆくのに必要なことなんじゃなかろうか。