うちの庭に、野生のクジャク達がやってこなくなって
そろそろ4年ほどになるだろうか。
彼らは夕方になると、どこからともなく我が家に集まってきて、
隣の家の柵 → うちの1階の屋根 → 2階の屋根 という順序を踏んで、
庭のモンキーポッドの樹(日立CMの、この木なんの木、の樹ね)に飛び移り、
枝に鈴なりになって眠るのである。
私がハワイに住み始めたときには、4,5羽だったが、多い時には20羽はいたという。
日本にいたとき、ハワイの義両親と電話を話をしているとき、
後ろで鳴くクジャクの奇声で声が聞き取りにくかった。
そう、ただ静かに寝ていてくれるならいいものを、夜にクジャクたちは奇声を発するのだ。
それも、鳥というより恐竜にことごとく近い。
ギョエー!!!ブーッ!!クワぁーーーーーッ!
1羽が鳴くと、ほかのクジャクも一斉に鳴くのでたまらん。
これが毎晩である。
善人の国から善を広めにやってきたような善人の義父が、BB弾を買ったほどだ。
そして朝になると、彼らはペタペタとドライブウェイを歩いて、
どこかに出勤(?)してゆく。
ヒナを何羽か育てていたときには、かわいいなあと思ったこともあったが
すぐに大きくなってしまう。
そのクジャクたちが、寝ぐらを変えたか、あるときぱったりと来なくなった。
いやー、これで安眠できると、みんなで喜んでいた。
あれから数年。
今朝、変な音で目がさめた。
カズー、という楽器を知っているだろうか。
口に加えて息を吹くと、ブー、という独特の割れた音を出す笛。
誰かがカズーを吹いているのだと思い、また眠りにつくのだが、
うとうとすると再び「ブー!」と来る。
それが何度か続き、
「もう!誰が土曜の朝にカズー吹いてんだよぅ!」
と怒る私に、夫が静かに言った。
「あれはカズーじゃなくて、クジャクだろう?」
私は飛び起きて、ベッドの上の高窓から外を見た。
音はすごく近いところから聞こえてくる。
いた!!!!!!!
隣家の屋根先にいるのが見えるだろうか。
屋根軒先にたたずむクジャク(めす)
クジャクはしきりに、ブウブウ!くわっくわっ!と仲間を呼んでいる。
呼ぶな呼ぶな、頼むからどこかに行ってくれ。
隣家には大木はない。
うちのモンキーポッドは寝ぐらにするのにもってこいだ。
彼らがなにを考えているのかわからんが、
私は窓から、来るなよー、来るなよー光線をクジャクに向けて飛ばし続けることしかできないのである。