太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

田舎のネズミ

2021-05-02 07:27:59 | 日記
田舎のネズミと町のネズミ、というお話がある。
Wikipediaによるあらすじ。

田舎に住んでいる一匹のネズミが、御馳走を振る舞おうと仲の良い町のネズミを招待した。二匹は土くれだった畑へ行き、麦やトウモロコシ、大根を引っこ抜いて食べていたのだが、町のネズミがこう言った。「君はこんな退屈な生活によく暮らせるな。ねえ、僕のところへ来ない?そうすれば珍しいものが腹一杯食べられるよ。」
田舎のネズミは二つ返事で承知すると連れだって町へと向かった。ある建物に着くと町のネズミは、パンやチーズ、肉といった見た事も無い御馳走を田舎のネズミに見せた。めくるめく御馳走を前に田舎のネズミはお礼を述べ、食べようとした。その時、何者かが扉を開けてきた。二匹は潜りこめる狭い穴をみつけると一目散に逃げ込んだ。
そして、彼らが食事を再開しようとすると、また別の誰かが入って来た。すると田舎のネズミは、急いで帰り支度を整えてこう言った。「こんなに素晴らしい御馳走を用意してもらってすまないんだけど、こんなに危険が多いのは御免だね。僕には土くれだった畑で食べている方が性に合ってる。あそこならば、安全で怖いこともなく暮らせるからね。」



ギャラリーのひとつに、作品の補充をしにワイキキに出かけた。
補充は月に1度と決めているが、あっという間に1か月たってしまう。
なるべくホノルル、とくにワイキキには行かないで済ませたい私は、
複数の用事を1日に済ませられるように工夫している。
仕事を辞めて無職になった夫も、アラモアナに用事があるので一緒に行くという。

アラモアナに行くのに、カピオラニ通りで工事があって大渋滞。
目的の建物は見えているのに、車線変更をしたい車が次々横入りしてくるし、ひとつの信号を何回も待たねばならないしで、いっこうに進まない。
ドライバーのイライラが、道路の上に雲のようにたまってゆくのが見える。
救急車両が何回も通り過ぎていき、イライラが高じて意味もなくクラクションを鳴らす人もいる。

用事を済ませ、コピー屋に頼んでおいたコピーを受け取り、
カパフルまで行き、ランチに美味しいベトナム料理を食べて、少し気分がよくなった。
ワイキキに行って、ギャラリーのあるホテルの前の木陰に車をとめた。

ワイキキはだいたいいつも晴れている

日陰は涼しいけど、日差しは夏のそれになっている。
太陽が当たる部分の肌がチリチリする。
気温は摂氏28度ぐらい。
平日だからか、それほど混雑はしていないのが救い。

補充を済ませて、再び夫の用事でアラモアナに戻り、日本食スーパーで買い物をし、ようやく家路につく。
都会では、どこにいても車が多くて密集しており、
救急車両の音、クラクション、バイクの騒音、予測不能な動きをする車、
強い日差し、いたるところでの工事中、雨後の竹の子のように建設中の高層コンドミニアム。
夫も私も、道路にたまったネガティブにやられたかのように、次第に無口になってゆく。

トンネルを抜け、やっと一息つく。

エメラルドグリーンの海が広がり、青々とした緑があふれかえっている。
トンネル前では29度だった気温も、23度まで下がり、
我が家に着くころには21度まで下がっていた。

うちの玄関前

見るからに、しっとり。
音といったら、たくさんの鳥の鳴き声しか聞こえてこない。
道路も広々していて渋滞もなく、どこもかしこも、どことなくおおらかな感じがする。

ホノルルに住む友人は、車がなくても暮らせる都会がいいと言う。
確かに我が家のあるところは、一人に1台車がないと生活できない。
こじゃれたものを買うところもない。
「年取って運転できなくなったらどうするの」
と友人が言うが、その時になったらその時考えればいい。
便利だからといって、私も夫も、もう都会には住めない。

私たちはすっかり田舎のネズミだ。