今日から、夫は新しい職場に行き始めた。
ランドスケープの会社で、ランドスケープの仕事の合間にナーサリーで植物も育てている。
義理があって、断る前提で受けた他の会社の面接で、夫は気に入られて
面接の翌日に一日トライアルをすることになった。
トライアルをしてみたら、給与を上げるので是非来てほしい、と言われた。
そこの仕事は、研修のあとは一人で一つの場所を任されて、暇なときには読書をしてもパソコンやっても自由という、
人間関係にいつもやられる夫のような病気をもつ人にはうってつけだと思う。
でも夫は、そこの仕事は楽だけど、ランドスケープのほうは新たに学ぶことがたくさんあるから、そちらのほうがいいという。
そう伝えても、もしそちらが合わないようだったら考え直してほしいから、
しばらくポストを空けておくというのだから、ありがたい話である。
確かにスプリンクラーや池の設置を考えたり、樹の配置を決めたり、おもしろそうではある。
植物の世話をするナーサリーの仕事は経験があるし、契約している個人の家のヤードワークを覚えたら、
この先、我が家の庭は業者に頼まなくても済むようになるかもしれない。
3週間前に夫が仕事を辞めて以来、私は馬車馬のごとく自分の内側にひたすら向き合ってきた。
「しめしめ、なんだか知らないけど、これでますます良くなっちゃう!
どんな素敵なことが起こるか、メチャクチャ楽しみ!!!」
これは困ったときの私の必殺技で、車を運転しながら大声で繰り返す。
仕事の合間にも、つぶやく。
全然そう思えなくても、いや、思えないからこそだ。
「どうせ私はどんどんますます豊かでハッピーになっちゃうんだしぃ」
これは以前友人に教えてもらったつぶやき。
これをつぶやき始めたら、『らくらく』を入れたほうがいい、という声がした気がして、
「どうせ私はラクラクどんどんますます豊かでハッピーになっちゃうんだしぃ」
に変えた。
放っておくと下がってゆく気分を持ち上げて、「そんな保証はどこにある?」というエゴの声がかき消されるぐらいに大声で繰り返す。
声に出すと、その声が耳から入ることで効果があがる。
そして大事なことは、今ある祝福にしっかり感謝すること。
自分も家族も健康であり、家があり、私には楽しく働ける仕事があり、絵を買ってくれる人がおり、絵を売ってくれる人がいる。
欲しいものを買い、食べたいものを食べ、行きたいところに行き、何でも話せる友人や姉妹がいて、世界一かわいい猫たちがいる。
そのひとつひとつを、数えるように声に出して感謝する。
年を取るにつれ、変化に臆病になる。
私は、見知らぬ不満のほうがデカいのでは、と思い、慣れた不満で手を打とうと思ってしまうが、
今よりもっと良くなるはず、と思って次に行ける夫が、それがメンタルな病気のためであったとしても、眩しく見える。
馬車馬のように内観をした私のおかげで(私が体験している世界だから私のおかげなのだ、たぶん)、先週あたりから良いエネルギーが押し寄せてきた。
昨日は、ギャラリーで私のオリジナル作品が2点同時に売れた。
「Well being 感じる?」
私が聞くと、
「うん、感じるよ」
と言った。
どんな未来も、どんな気分でいるかも自分で選べるのだということを、
「ない」より「ある」に焦点を合わせることを、
突然仕事を辞めるたびに思い出させてくれる夫に、私は感謝すべきだろう。