太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

転機

2021-05-07 08:00:45 | 日記
私の髪を担当してくれていた、沖縄出身のヘアスタイリストさんがオランダに移住するのだという。
オランダは美しい国だと聞いている。
日本人も多く住んでいて、ビザを取りやすいらしい。

40歳になろうとしている彼が、日本でもアメリカでもない、1度旅行で訪れただけの国に行こうと決めた理由を、私は聞かなかった。
彼はきっと、日本でもアメリカでもない場所がよかったのだろう、と勝手に想像し、勝手にそれを採用した。

コロナ禍で、現在オランダは日本人を受け入れていないので、彼は1度沖縄に戻り、
日本人が解禁になったらビザの申請のために旅行者としてオランダを訪れて、
住む家も決めなくてはならない。
沖縄に行くのにも、成田に着いたら、14日間の自粛をしたあとにようやくトランジットができるのだという。

「気の長い話だけど、早めの夏休みですね」

私がそう言うと、

「そうなんですよ、沖縄の両親も僕らが帰るのを楽しみにしてるんです。1週間も滞在できない帰省ばっかりだったから。
自粛期間も、東京見物できていいかな、なんてね。遠くには行けないけど、美味しいもの食べに出かけたり、買い物したりぐらいはできるから」

そう言って笑った。


ここにいれば勝手もわかって安心なのに、なぜわざわざ、先に何があるかわからないドアに体当たりするのか。

私の生き方を、そんなふうに見ていた人もいると思う。
けれども、未知のドアに体当たりする側は、そうしたくてそうする、というよりも、
どんどん背中を押されて行き場がなくなり、やむにやまれずそうなってしまうのだ。
むろん、今の状態が退屈で、新地に飛び込む人もいるだろうけれど、私はそうではなく、
なんとなく彼も、なにかよくわからない力に押されているのだろうなと思う。


オランダで、彼が楽しく暮らせることを願ってやまない。