同僚に聞かれた。
「Do you know where ふっれけえき is?(ふっれけえき、どこにあるか知ってる?)」
「は?」
「昨日、ここにあったんだけど。ふっれけえき」
ふっれけえき という単語が頭をぐるぐるまわり、アルファベットをあてはめてみるが、いっこうにわからない。
そのうち同僚が、
「あった、あった、この下に隠れてたわ」
といって出してきた段ボール箱には、ふりかけチップスが入っていた。
ふりかけがふっれけえき。
「それは ふりかけ だよ」
私は正しい発音を教えた。
普通の「ふ」の発音が、なかなかできない。
「ため息つくみたいに、フーって言ってみ、フラのフだよ」
「ふ」が言えるようになっても、そのあとが ぅれけえき になり、「け」に大仰なアクセントがつく。
「ぅれ じゃなくて り
それに、アクセントつけないで平たく言うの」
同僚は何度も練習し、言った。
「でもさ、Furikake だよ?シロの発音だとFじゃなくてHだよね」
それはそうだが、そんなことを私に言われても困る。
日本語に近く表記するならば、HULIKAKE にすべきだろう。
日本語のらりるれろの発音は英語にはない、と言われているが、
Lだったら、文章の中に組み込まれていればだが、まあまあ日本語のらりるれろで通じる。
単語だけになると、そうもいかない。
らりるれろは、舌が上あごの上の前歯に近いあたりに当たるけど、
Lは歯の裏の、先のほうに当てたほうがいいような気がする(個人的な見解)
とにかく、英語圏にあっても、私は日本語の単語に関しては迎合しない。
本土からのお客様が聞く。
「ふっれけえき、って何?」
「ふりかけは、海藻やゴマを粉砕して味付けしたものです」
「へえ、ふっれけえきなんて初めて聞いた」
「ハワイじゃふりかけは普通に食べられているんですよ」
カラオケは断じて キャリヲキ ではなく、空手は断じて クワァリ ではない。
照り焼きは断じて テぅリヤーキ ではなく、ふりかけもそういうことである。