太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

大相撲

2021-09-29 07:38:39 | 日記
私が育った家は、家に人がいる時はたいていテレビがついていた。
朝は時計がわり。
夕食は、NHKのニュースを見ながら。
いまだに「こんばんは、古谷ツナマサです」という年配のアナウンサーの声も顔も覚えている。
気難しい祖父と、自由な祖母の同居だったから、これは食卓の気まずさを紛らわす母の知恵だったのかもしれないと思うようになったのは、つい最近だ。

夕方、台所の小さなテレビで祖母が相撲中継を見る。
私は相撲中継の雰囲気がどうにも苦手で、音を小さくしたり、祖母がいなくなったのを見計らってチャンネルを変えたりした。
何が嫌なのかわからないが、とにかく相撲中継は気分がふさいだ。


その私が今、相撲を見ている。
アメリカ人が作る、日本についての番組を放送するチャンネルを頻繁にみているのだが、
ちょうど夕食を食べ終わる時間に相撲中継をする。
ナレーションはすべて英語で、力士の名前もアルファベットだ。
ひとつの取組みは短くて10秒、長くても数分で、テンポがよい。
50キロも差がある同士の、小さいほうが勝ったりする。
もちろん私は、観覧している人々の観察も怠りない。(そんな記事はコチラ

WAKATAKAKAGEという名前の力士がいる。(漢字がわからないので)
日本人だって舌を噛みそうになるのだから、英語圏の人には読みにくいのは当たり前。
取組みをナレーションするのに、名前をなかなかすんなり言えない。

「ワカタ、ワカタッケ」

「ワカカカ・・・ケ」

取組み中なので早口で言わねばならず、確かに難易度は高い。
WAKATAKAKAGEが出てくるたびに、たぶんナレーターは「アァ・・」と思い、
私は「今度こそ頑張れよ」と思う。


HAKUHOUが引退するという。
10年余り前、まだ日本にいた頃、HAKUHOUが横綱になったのを見た私が
「ようやく日本人が横綱になったねえ。ガイジンばっかりだったけど」
と言ったら、すかさず夫に
「いや、彼はモンゴル人だ」
と指摘されたことがあった。
あれから10年、ずっと最前線にいるのはどんなに大変なことだったろうか。


番組のあとに、ちょっとした相撲蘊蓄コーナーがあり、
土俵のすぐ近くの座布団席が150ドル、升席が一升4人で400ドルと言っていた。
思ったよりも安い。
相当の人気で、なかなかチケットは買えないそうだ。
いつか行ってみてもいいかな、とチラリと思い、私のような人が観客席を観察しているかもと思い直して諦めた。