久々、料理の神様が降臨した。
そうだなぁ、プリンを作って以来だろうか・・(「正しいプリンへの道」の記事は
コチラ)
ま、日頃それほどチャレンジなものなんか作ってないから、というのもある。
始まりは、フライパンひとつでできるレシピ、とかいう本を買ったことだ。
ぱらぱらとめくってみると、どれも簡単そうで美味しそうだ。
その中に、
「シナモンロール」 があった。発酵もさせないでフライパンでシナモンロールができる!!
これはやってみない手はない。
今から焼けば、おやつに間に合うし、今日は日本語のクラスがあるから生徒に振舞ってもいい。
材料をざっと見たら、家にあるものでできそうだ。
まず、小麦粉を170グラム。
・・・・・・・・
ここで問題なのは、この本が日本で作られた、日本の本だということだ。
この家には、「秤」がない。多くのアメリカの家庭では、秤はあまり使わず、なんでも計量カップやスプーンで済ませる。
日本から持ってきた、電子式の秤は、使わないでいる間に壊れてしまって捨てた。
170グラムの小麦粉を、どうやって測ればいいのだ。
計量カップも微妙に日本のものと違う。日本の1カップは200ccで、アメリカのは確か220とかそこらへんだ。
ということは、「1/4CUP」と書かれたカップを、軽めで4つぶんぐらいで170グラムになるんじゃないか?
1/4CUPで小麦粉を軽く4杯とった。
次はバター20グラム。
冷蔵庫から出した、塊のバターをジッと見つめる。
このバターの包み紙には丁寧に、この線までは1/4CUPとか、ここまでは1/2CUPと書いてある。
新しいバターはその線に沿って切ればいいのだろうが、この使いかけの中途半端な塊の場合、どうすればいいのか。
手のひらに収まるぐらいのバターは、だいたい20グラムぐらいなんじゃないか?
と思ったけど、それではあんまり大雑把すぎるから、溶かしてみて、大匙1杯強あればいいだろうと踏んだ。
(これでもありえないぐらい大雑把には違いない)
溶かしてみて、大匙1強をとりわけた。
ボウルに卵と牛乳、溶かしたバターと、砂糖大匙1を入れる。
よくかき混ぜてから、小麦粉とベーキングパウダーをあわせる。
「粉っぽさがなくなったらひとまとめにする」
粉っぽさが全然なくならないんですが。
むしろべったべたしている。
写真を見ると、ひとまとめにした生地を麺棒で伸ばしているではないか。
仕方がないので、小麦粉を足す。
それでもベタベタしているので、さらに足す。
もうこの時点で、小麦粉を測った(一応私なりに)意味がまったくないが
私はとにかくこの生地をひとまとめにしないことにはシナモンロールにならないと信じているので、
ひとまとめになるぐらいまで小麦粉を足し、ようやく生地を取り出す。
麺棒で伸ばし、折る。を繰り返す。
ちょっとやわらかめだが、なんとか伸ばして折る。
台にくっつきそうになるので、再び粉を足しながら伸ばす。折る。
私のスゴイところは(すごく愚かなところ、とも言う)
きっちり調べて、きっちりやろうという気がまったくないところだ。
材料だけ見たら、あとは作りながら作り方を追う。最初に全部読むと、作るのがいやになりそうだからだ。
だから途中で、「え、ここで1晩寝かせるだとぉ??」ということも、ある。
この性格で、数々のスゴイものを作ってきた。
思いつきでクッキーにおからを大量に入れて、食べるほどに口の中が乾燥してゆく「恐怖の砂漠クッキー」だとか。
増殖し続ける「かきあげ」だとか。(どれも思い出すだに恐ろしい)
さて、なんとか形を作ってフライパンに並べてみた。
なんか、激しく写真と違う・・
フライパンに一杯にまあるく並ぶはずが、これじゃたこ焼きを並べたみたいだ。
きっとうちのフライパンが大きいんだ。きっとそうだ。そういうことにしよう。
それに、焼いているうちに膨らむのかも。そんな気がしてきた。ベーキングパウダー入ってるし。
本を見ると、弱火で20分焼いて、ひっくり返して5分と書いてある。
「弱火とは、ガスの火とフライパンの間が2センチ以上あることです」
といわれても、我が家はガスじゃないし。
とりあえずLOWでいくしかない。
ところが、である。
案の定というべきか、どういうわけかというべきか、
20分たっても、たこ焼きはたこ焼きのままで、
シナモンロールに変身する気配がまったくしない。
それでもひっくり返してみた。
ふっくらしているはずの生地は、固く引き締まって、鍛え上げた筋肉のようだ。
シナモンの香りが、
筋肉たこ焼き をよけいに悲しく見せた。
私には、これを食べる
責任 権利がある。
おそるおそる食べてみた。
これは。
筋肉たこ焼きというよりは。
まんじゅうの皮をぐるぐる巻きにしたもの、に近い。
いや、まんじゅうの皮というよりは。
小麦粉を練って生焼けにしたもの(そのまんま)の、シナモン風味。
何が悪かったんだろう・・・・
性懲りもなく、こういう本を買ったことだろうか。
身の程知らずに、「楽勝じゃん!」と思ってしまうことだろうか。
詰めが甘すぎる、この性格だろうか。
きっと全部だ。
夫の父が帰ってきた。
フライパンをあけて「ほ・・・ゥ!」とだけ言って、そっと蓋を閉めた。
夫が帰ってきた。
「シナモンロールがフライパンでできるの?」
だからさ、できなかったんだよ。
いろんな理由があって。
夫は「食べていい?」とは聞かなかった。
こうなるはずの写真をお楽しみください。
どうか料理の神様、もう降りてこんでください。(反省する気配なし)
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