高野公彦選
熊鈴をつけて下校児歩道ゆく令和五年の盛岡の秋 盛岡市 福田栄紀
柿を取る空の青さに深入りし一個一個を大切に取る 熊谷市 内野修
鹿の鳴く声聞いて入場を待つ時間も正倉院展のうち 奈良市 山添聖子
一首目、この歌は永田和宏氏も選んでいます。今年は異常なほどのクマの人的被害が多く、クマ好きの私としては本当に心苦しい毎日です。毎日の気温の変化も激しくて、クマはちゃんと冬眠できるのでしょうか、心配です。東京では圏央道は越えないだろうと予想していたのに、最近、それを越えて八王子市役所近辺に出没したとのこと。お願いだから、クマさん、山に帰りましょう。人間のいるところには来ないでください。二首目、柿はクマの好物です。秋の青空にとても映えますよね。深入りという表現がとても面白くて選びました。三首目、そうです、正倉院展は私も学生時代に何度か行きましたよ、史学科ですから。同じ古代史専攻のクラスメートと勉強会を作ってあこがれの助教授に正倉院文書を習いましたっけ。鹿も今では害獣ですが、短歌では昔から鹿の鳴く声はたくさん詠まれていました。うちの猫も、今なんだか泣いています。最近はだみ声か声が出ないか、彼女も高齢になってしまいましたから。困るのは、なんで泣いているか理由がよくわからない。
最近、感性が鈍っているのか、歌壇の歌を読んでもよくわからなくなりました。中近両用メガネもなかなか慣れないし、年を取るということは、今までと少しずつ変わっていくことなんですね。あまり気が滅入らないようにしたいと思います。