身体を投げ出してしまった僕。
『少し眠った方がいいのかな…』
天を仰ぎ見て静かに目を閉じてみます。夜になって気温がグッと落ちています。
カッパを着ているので寝転がっても汚れなんて気になりません。
3分ぐらいすると地面から冷えてきました。『ダメだ冷える』
すぐに起きて、結局歩き始めます。
ストックが1本しかないので、それを突いて歩いているとまるで水戸黄門か仙人にでもなったような気分です。
とにかくゆっくりでいいから前に進むことだけを考えていきます。
すでにスタートから24時間になろうとしていました。
その時、ルートは連続した赤い鳥居に入って行きました。
『おおー ここがあの伏見稲荷か』
赤い鳥居の連続した道は、どこも同じように見えてどこをどう歩いているのか分からなくなりそうです。
しばらく歩いて行くと人が息を切らして上がって来ました。
なんと、今はもう23時。
こんな夜中にも人が来るんだなぁ。
他にも何組かとすれ違いました。
中にはザックを担いだ若者がいたので、同志かな?と思いました。
ルートを確認するためにGPSを操作していると、監視員さんが僕の方にやって来て話しかけてきます。
『イノシシが良くでるんです。注意して下さい』と。
ルートは以前ならばここから伏見稲荷駅まで行ってゴールとなりましたが、今はさらにコースが10km延長されています。
つまり残り10㎞だということです。
平地ならば2時間強ですが、どうせまた登らせられるのでしょう。
まずは伏見稲荷駅まで行って、身体を横に出来るとこを見つけようと考えました。
仙人になった僕は燃え尽きそうなともしび状態で、とぼとぼと歩いて行きます。
また山道にいざなわれます。
真っ暗な闇にも慣れて、焦る気持ちも無くなり完全に無我の境地となりました。
ひたすらに目の前の道をただ行くだけ、ただ歩くだけです。
なかなか駅に着かないので、ずいぶん遠いなぁと思いました。
そのうちコンビニが出てきました。
まだあと10㎞あると思っていたので、食料の補給と飲み物を仕入れました。
外のベンチで温めてもらったものを食べます。ちょっとだけホッとしました。
食事が済むとゴミを捨ててすぐにまた仙人と化します。
住宅地が続いたり、路地裏を歩かせられたりしました。
大通りを渡ったりするので駅に向かっているのだなと感じました。
ふとGPSを確認すると、ルートから外れています。
あれ?曲がるところあったかな?
戻ります。
え?ここ?
また山道です。もう笑うしかないですね。
さすがにこの山道は長くは続かず、山岳地帯ではなく裏山であることが分かります。
GPSのルートを辿って行くと突然ルートが切れてしまいました。
時刻は午前2時35分。
駅に着いたようです。
見上げると『伏見桃山駅』とありました。
は?
伏見稲荷駅じゃないの?
えっ?
じゃここがゴール?
どうりでGPSのルートがここで途切れているわけだ。
座り込み、気持ちが真っ白になりました。
ゴールです。ついに歩き切ったんだ。
それにしてもあっけない幕切れでした。伏見稲荷駅だとばかり思っていたところが実はゴールだったなんて。
ははははは。やったぞ。
続く。
『少し眠った方がいいのかな…』
天を仰ぎ見て静かに目を閉じてみます。夜になって気温がグッと落ちています。
カッパを着ているので寝転がっても汚れなんて気になりません。
3分ぐらいすると地面から冷えてきました。『ダメだ冷える』
すぐに起きて、結局歩き始めます。
ストックが1本しかないので、それを突いて歩いているとまるで水戸黄門か仙人にでもなったような気分です。
とにかくゆっくりでいいから前に進むことだけを考えていきます。
すでにスタートから24時間になろうとしていました。
その時、ルートは連続した赤い鳥居に入って行きました。
『おおー ここがあの伏見稲荷か』
赤い鳥居の連続した道は、どこも同じように見えてどこをどう歩いているのか分からなくなりそうです。
しばらく歩いて行くと人が息を切らして上がって来ました。
なんと、今はもう23時。
こんな夜中にも人が来るんだなぁ。
他にも何組かとすれ違いました。
中にはザックを担いだ若者がいたので、同志かな?と思いました。
ルートを確認するためにGPSを操作していると、監視員さんが僕の方にやって来て話しかけてきます。
『イノシシが良くでるんです。注意して下さい』と。
ルートは以前ならばここから伏見稲荷駅まで行ってゴールとなりましたが、今はさらにコースが10km延長されています。
つまり残り10㎞だということです。
平地ならば2時間強ですが、どうせまた登らせられるのでしょう。
まずは伏見稲荷駅まで行って、身体を横に出来るとこを見つけようと考えました。
仙人になった僕は燃え尽きそうなともしび状態で、とぼとぼと歩いて行きます。
また山道にいざなわれます。
真っ暗な闇にも慣れて、焦る気持ちも無くなり完全に無我の境地となりました。
ひたすらに目の前の道をただ行くだけ、ただ歩くだけです。
なかなか駅に着かないので、ずいぶん遠いなぁと思いました。
そのうちコンビニが出てきました。
まだあと10㎞あると思っていたので、食料の補給と飲み物を仕入れました。
外のベンチで温めてもらったものを食べます。ちょっとだけホッとしました。
食事が済むとゴミを捨ててすぐにまた仙人と化します。
住宅地が続いたり、路地裏を歩かせられたりしました。
大通りを渡ったりするので駅に向かっているのだなと感じました。
ふとGPSを確認すると、ルートから外れています。
あれ?曲がるところあったかな?
戻ります。
え?ここ?
また山道です。もう笑うしかないですね。
さすがにこの山道は長くは続かず、山岳地帯ではなく裏山であることが分かります。
GPSのルートを辿って行くと突然ルートが切れてしまいました。
時刻は午前2時35分。
駅に着いたようです。
見上げると『伏見桃山駅』とありました。
は?
伏見稲荷駅じゃないの?
えっ?
じゃここがゴール?
どうりでGPSのルートがここで途切れているわけだ。
座り込み、気持ちが真っ白になりました。
ゴールです。ついに歩き切ったんだ。
それにしてもあっけない幕切れでした。伏見稲荷駅だとばかり思っていたところが実はゴールだったなんて。
ははははは。やったぞ。
続く。