原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

“八重歯”って可愛い?それともみっともない??

2012年08月09日 | 医学・医療・介護
 (見苦しい写真で恐縮だが、原左都子30歳頃の写真をデフォルメ処理したもの。 今回のテーマである“八重歯”を強調するため及び個人情報保護目的であえて魚眼処理を施している。 参考のため私本人は決してこれ程の“しもぶくれ”ではなく痩せ型です。)

 上記の不鮮明写真をよく観察するとお分かりいただけるかもしれないが、原左都子は上前左側に八重歯がある。
 全体的に永久歯が大き過ぎ歯列の中に収まり切れなかったのか、私は子どもの頃より歯並びがガチャガチャ状態である。 幸い目立つ部分の前歯に関しては左犬歯1本が八重歯状態でさほど事なきを得ているが、奥歯などとんでもないガチャガチャぶりだ。 口腔内に1本生えていた奥歯は、舌に当たって鬱陶しいだけで噛むという歯本来の役割を何ら果さずして高校生の時に虫歯となり既に抜歯している。


 それでも子どもの頃から若き年代の頃にかけては、この我が「八重歯」も“可愛い”などと言ってもらえた時代があった。

 原左都子に限らず、当時は「八重歯」をチャームポイントとしてその笑顔を前面にPRする芸能人も数多く存在した。
 私の記憶において一番強烈なのは、歌手の小柳ルミ子だ。 この人など、上前歯両側に物凄く鋭い牙(失礼!)があったと記憶している。 小柳ルミ子の場合は、デビュー直後にその“牙”を抜き去り歯並びを整える施策を取った。 これに対してファンより「何でチャームポイントの八重歯を抜いたのか??」なる“抗議”も数多く押し寄せたようだ。 このクレームに対応してルミ子氏曰く、「八重歯があると口が塞がらない等の不都合が日常的にあった。今回抜き去った事によりそれら不具合が解消され正解だったと思っている」等々と言及していたことが懐かしい。
 八重歯ではないが、前歯の歯並びの悪さを自分でチャームポイントと捉えていた中森明菜のコメントも興味深く記憶している。 歌手としてデビューする前に「歯並びを整えるためにその前歯を抜く!」事をスタッフから指令された明菜氏は、(なんで私のチャームポイントのこの前歯を抜かなきゃならないの?!? 今まで皆がこれが可愛いと言ってくれていたのに…)との、怒りと悲しみ感情が内面から湧き出たらしい。  それでも歌手としてのデビューを勝ち取るため、明菜氏は決死の覚悟で前歯を抜いて差し歯に取り替えたとのエピソードを私は過去に見聞した事がある。

 その他、70年、80年代頃に於いて「八重歯」をチャームポイントとしていた芸能人に、石野眞子、河合奈保子、伊藤つかさ等が存在する。 番外編として、皇太子妃の雅子様もご婚姻当初「八重歯」が可愛かったと私は記憶しているが、現在はどう処置しておられるのであろうか?


 時代が大幅に移り行き、現在では「八重歯」をはじめとする歯並びの悪さは“諸悪の根源”のごとく忌み嫌われている。
 元を正せば日本の“悪い歯並び虐待撲滅文化”とは、欧米の価値観の受け売りにしか過ぎない。 欧米に於いては遠い昔から八重歯を“バンパイアの牙のよう”と蔑んでいるとの事だ。
 戦後より欧米文化の受け売りを好むこの国が、これを模倣しない訳もなかったのであろう。 しかも歯の矯正を国民全体に煽れば、歯科医師業界及びそれとの癒着関係にある医療業界及び政府や官僚も潤うとの図式だ。

 これに飛びついた芸能界を皮切りとして、我が国ではここ20年程の間に超スピードで「歯の矯正」が日常化してしまったと言えまいか?
 我が近辺にも小学生の子どもの歯を矯正するとの庶民の立場の保護者が存在する事実を、本エッセイ集バックナンバーで述べた。 (老婆心ながら、そのまとまった資金を子どもの今後の“真なる成長”に投資してはどうなのか?などとの要らぬお節介心も抱いた私であるが……)
 あるいは現在開催中のロンドン五輪で活躍中の我が国の選手達など、「歯並び」が良過ぎる?! と私は日々注目している。 例えば水泳メドレーリレー決勝で銅メダルを獲得した女子選手4名の方々は、皆さん素晴らしいまでの歯並びだったものだ… (あれも“矯正”によるのか?)と捉える私だが、ハードな練習の合間に一体いつ矯正する時間かあったのだろう??


 話題を変えるが、そんな私の「歯並び」に関する悶々とした思いを払拭するがごとくの報道を先だって見つけた。
 朝日新聞8月4日付夕刊記事によると、現在は「付け八重歯ガール増殖」中との事だ。

 これもまた奇異な記事である。 ファッション目的でわざわざ「八重歯を付ける」のだと???
 それでは早速、この記事の一部を要約して以下に紹介しよう。
 「八重歯もつけまつげと同じ、おしゃれの一環」との事で歯科医で八重歯を装着したのは22歳の大学生。 当該大学生曰く「歯並びが綺麗なのはいいけど、皆がそうだとつまらない」  現在の八重歯の人気の根源はAKB48の一人気女性に発している。 彼女のようになりたい!との理由で現在「付け八重歯」の問い合わせが歯科医に増えていて、多い時には月30件程の予約が入る。 その価格とは、自分で取り外せるものは1本3万円程度、そうでないものは5万円…。 これを装着している歯科医院長は「歯並びが悪くなるため積極的に勧めないが、施術後明るくなる患者もいるので続けようと思う」とのコメントをしている。 一方、他の歯科分野専門家が言うには「歯が磨きにくくなるし、いざ外す時に削らねばならない場合もあり、ファッションとしてはハイリスク」…… 


 いやはや、である…

 原左都子の場合、天然「八重歯」を生来的に持って生まれ出た人種だ。
 それでも、我が国に於いて歯並びが悪い人種こそが“諸悪の根源”のごとく忌み嫌われるような時代に化した頃には、この私ですら歯の矯正に踏み込もうかと志した事もある。 ところが我が残された人生と平行して、この“ボロ歯”を矯正したところで後何年持つのだろうとの冷静な思いの元でそれを断念した。 持って生まれたこの“ガチャガチャ歯並び”を大事に慈しむ事こそが我が「歯」に報いることと悟り現在に至っている。

 若者達よ、是非共自分が持って生まれた個性や特質を大事に育んで欲しいものだ。
 人真似が通用するのは若かりし時代のみだ。 その後その“人工付け八重歯”をどうするのかを含め、もう少し自分の未来を見つめる視点を育てて欲しい。
 経済危機の世を活性化するために端末部分で自分自身がその犠牲となるのではなく、もっとグローバルな目線で時代を変えていくエネルギーとなるべく視野こそを培って欲しいものだ。
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