(冒頭写真は、大阪公立大学と産業技術総合研究所チームが作り出した「動く最小の生命体」。)
早速、朝日新聞2022.12.01付記事「『動く最小の生命体』細胞の謎に一歩 大阪公立大学と産業技術研究所が作製」と題する記事を、以下に要約引用しよう。
両チームは、12月1日、「泳ぐ最小の生命体」を作り出すことに成功したとj発表した。 最小限の遺伝子情報のみで生き、自分では動けない丸い細胞に、特定のたんぱく質2種類を作れるよう遺伝子操作をしたところ、らせん状に変形、自ら動き始めたという。
生物を形作る細胞が、進化の過程でどうやって運動するようになったのかは、生物学上の謎とされている。 阪公大の宮田教授(生物物理学)らのチームは、細胞が運動するには最低でどれだけのたんぱく質が必要かに着目。 カニなどに寄生する細菌「スピロプラズマ」が、らせん運動で動くのに使う7種類のたんぱく質のうち、不可欠なものの特定を目指した。
チームは「syn3」という、増殖能力だけを人工的に作り出された球形の最近に遺伝子操作を実施。 7種類のたんぱく質を順に体内で作らせた。
たんぱく質が1種類だけではうまく泳がなかった。 MreBと呼ばれるグループのたんぱく質2種類を作らせると、syn3の形が球かららせんに変り、体をくねらせて泳ぎ始めた。 増殖と遊泳だけの機能を持つ世界で最小の生命体と言えるという。
MreBは繊維状に連なる性質があり、2本の繊維によるらせん状の絡まり方の変化によって、泳ぎ回る推進力を得ている可能性があるという。
宮田さんは、「細胞がどうして動き始めたのか、解明のカギとなる発見だ」と話している。
研究成果は、米科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。
(以上、朝日新聞記事より引用したもの。)
原左都子の私事及び私見に入ろう。
いやはや、まったくもって現在では「遺伝子実験」がいとも簡単に出来る時代となったのかと、捉えてしまうがごとくの情報だ。
決してそうでは無くて、もちろんのこと研究者達の日頃の努力の賜物で「動く最小の生命体」を作り出すことが叶ったのであろう。
私事を語れば、この私が国立研究開発法人・理化学研究所にて遺伝子実験に励んだのは既に20年程前の時代だ。
その時代から、遺伝子実験とは目まぐるしいまでの進化・発展を遂げていることであろう。
今回の阪公大と産業技術総研の共同研究の場合、「自分では動けない丸い細胞に、特定のたんぱく質2種類を作れるよう遺伝子操作をしたところ、らせん状に変形、自ら動き始めた」らしいが。
そもそもその元である “自分では動けない丸い細胞”とやらが一体何であるのかは不明だが、その種の細胞の選定からして大発見と言えそうだし。
特定のたんぱく質2種類を作れるような遺伝子操作の操作法等も企業機密であろう。
とにかく研究開発とは如何なる内容の研究であれ、日々の地道な実験・研究努力の繰り返しである。
そんな道程を根気よく歩んだ結果として「泳ぐ最小の生命体」を作り出すことに成功した研究チームの業績を称えたいものだ。