礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

第一に東方ユダヤ人が帰化取消しの対象となる

2020-07-03 03:03:56 | コラムと名言

◎第一に東方ユダヤ人が帰化取消しの対象となる

 電報通信社発行の『独逸大観』(一九三六)を紹介している。本日は、その五回目。
 昨日は、同書の第四篇「内政」から、「四、人口政策」を紹介した。本日は、その続きである。

   三、猶太人の地位に関する処置
    専任官吏の復活に関する法律(一九三三年四月七日公布)
 本法は、一九三三年四月八日より効力を発し、その後数ケ月間に屡々補充され、更に、一九三三年九月二十二日改正せられたものである。
 本法は、先づ以て、大戦〔今日でいう第一次世界大戦〕後政党関係によつて、制規の予備教養のないにも拘らず官吏に登用されたもの、または共産党に属していた官史の駆逐を図るものである。本法第三条には、所謂アリアン人条項が掲げられて居る。
 事実アリアン人たると、又は非アリアン人たるとを問はず、苟も〈イヤシクモ〉政治的に嫌疑をかけられた官吏は罷免されたのであるが、本法第三条の規定する処によると、非アリアン人たる官吏は、恩給を給附されて退職を命ぜられることになつてゐるのである。なほ非アリアン人にして一九一四年八月一日以来引続き官吏であつたもので、自ら大戦に参加して戦線に戦つたもの及本人の父または其子が戦没したものに対しては、除外例が認められてゐる。それ以外の除外例は独逸〈ドイツ〉国内務大臣によつて、許可され得ることになつてゐる。この法律は官公吏に一様に適用される。両親の一方、または祖父母の一方が、非アリアン人である場合には、当該官吏は、非アリアン人として取扱はれるのである(一九三三年四月十一日附発令)。
 更にまたこの官吏身分法の規定は、公共の職務に従事する雇傭員及労働者並に、中央銀行及国立鉄道院の従業員に対しても亦等しく適用されるのである(第一条第四項及び十五条)。
    帰化取消及独逸人国籍剝奪に関する
    一九三三年七月十四日附の法律
 右法律第一条は左の如くである。
 一九一八年十一月九日(革命当日)ヨリ、一九三三年一月三十日マデノ間ニ行ハレタル帰化ハ、望マシカラザルモノト認メラレタル場合ハ、コレヲ取消スコトヲ得。 
 この規定によつて生じたる浮動的条態を速に〈スミヤカニ〉解消する為に、この規定は、二年後にはその効力を失ふことになつてゐる。
 或個人の帰化が望ましからざるものであるか否かは、民族的乃至国民的根本原則に依つて決定される。この場合、人種的並に公民的見地が最も重視せられる。かゝる見地よりせる帰化の取消の非運に際会するものは、第一に東方猶太〈ユダヤ〉人であり、――勿論、東方猶太人と雖も〈イエドモ〉戦線への出征者であるとか、又は独逸国の為に特に功績のあつたものとかは、自ら〈オノズカラ〉別の話であるが――次に国家と民族との安寧福祉に有害なる如き行動に出でたもの等である(一九三三年七月二十六日附発令)。
 独逸国籍の剝奪は(該法第二章)、独逸国の刹益を傷け、国家と民族とに対する忠誠の義務に背く如き行動を敢てした一切の人々に対してアリアン人たると非アリアン人たるとに関係なく、全く一 般的に行はれるのである。【以下、次回】

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