◎7月10日の『喫茶アネモネ』は秀逸
先週金曜日、七月一〇日の東京新聞に載った『喫茶アネモネ』第111回は秀逸だった。
喫茶アネモネのテーブルに、母と男の子(小学生)の親子づれが座っている。すでに、ジュースを飲み終えてしまった男の子が、「コーヒーが飲みたい」と叫んでいる。母親の「だーめ!」という制止を聞こうともしない。
そこに、「バイトのよっちゃん」(女性)が近づいてきて、言う。
「ぼうやコーヒーをよく見てごらん/ほら上からのぞいて見てごらん」
「底が見えないほど真っ暗でしょう?/何がひそんでいるかわからない闇……」
「この闇にひとりで立ち向かえるほどぼうやは大人ですか?」
男の子は、「……僕、まだコーヒーはいいです……」と言って、コーヒーを諦める。
このよっちゃんのセリフがよい。冷静で、毅然とした態度もよい。
だいぶ前の回のことだが、よっちゃんは、喫茶アネモネにやってきたガラの悪いアンチャンを、見事に退散させたことがあった。その回のことを思い出した。「野(や)に遺賢あり」という言葉が、思い浮かんだ。
2020年7月12日の名言
◎この闇にひとりで立ち向かえるほどぼうやは大人ですか?
連載漫画『喫茶アネモネ』第111回(東京新聞2020・7・10)に出てくる「バイトのよっちゃん」の言葉。上記コラム参照。ところで私たちは、この社会の闇にひとりで立ち向かえるほど「大人」だろうか?