憲法、平和、戦争、原発、秘密保護法―後援拒否が倍増(15.6.10 毎日新聞)
毎日新聞が4~5月、「憲法」「平和・戦争」「原発」「特定秘密保護法」の四つをテーマとするイベントについて2010年~14年度に後援申請を断った件数を自治体に尋ねたところ、5年間で倍増していた。
対象は都道府県と政令市、東京23区、人口が10万人以上の市の計337自治体で、回答は約8割の282自治体からあった。申請を断ったのは65自治体で計154件。11年の福島第1原発事故で申請が増えたとみられる「原発」が64件、「憲法」55件、「平和・戦争」33件、「秘密保護法」2件。年度別では、10年度19件、11年度も23件と横ばいだったが、13年度42件、14年度36件と10年度からほぼ倍増した。
以前に応じていた後援を断るようになったケースは10件。うち「憲法」が6件と過半数を占め、「平和・戦争」「原発」が各2件だった。
千葉市は14年1月に内規を見直し「論点が分かれているとされる事実などについて主観的考えを主張すると認められる時は後援しない」という要件を追加した。市は「後援すれば主張にお墨付き与えたと取られかねない。どこで中立性を線引きするか、各自治体も悩んでいるのではないか」と話す。
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前掲の文章は、毎日新聞が10日から連載を開始した「不寛容の時代第2部 萎縮する社会」第1回の記事の一部です。「不寛容の時代」は「意見の分かれる政治課題や歴史認識、社会問題に対し、口をつぐむことが社会に強いられている」という「不寛容の時代」の現状と問題点を探ろうという企画です。
最近は後援の拒否だけでなく、イベントや展示の会場の使用を不許可にすることが日本中に広がっています。この「新聞の片隅・・」でも紹介しましたが、埼玉県の新座市は市民団体が行おうとした従軍慰安婦についての展示会に市の施設の使用を断ったり、東京・杉並区の中学校ではだしのゲンの英語版翻訳者の講演が決まっていましたが、前日に校長が断ってきたということもありました。この時校長は講演会を中止する理由について「近頃の事情」と言ったそうです。
この地方でも津島市と津島市教育委員会がそれまで毎年行っていたつしま九条の会の講演会への後援を昨年は断ったりしています。しかしつしま九条の会は津島市教育委員会・津島市と話し合う会を開くなどして、九条の会は戦争に反対し、平和憲法を守ろうと活動していることを説明すると、教育委員会・津島市も「つしま九条の会が尊い活動をしていることを理解しました」と、今年7月に行う10周年の集いでの川口肇さんの講演会の後援を復活することになりました。
最近リビジョニストと言われる人たちが「日本の過去は正しかった」という自分たちの考えを一方的に押し付ける風潮が高まっています。それに対して攻撃を恐れて口をつぐめば、再び「いつか来た道」に戻ることになります。つしま九条の会の経験は、当局側を非難するだけでなく、粘り強く説得する話し合いが必要なことを教えてくれています。
大西 五郎
毎日新聞が4~5月、「憲法」「平和・戦争」「原発」「特定秘密保護法」の四つをテーマとするイベントについて2010年~14年度に後援申請を断った件数を自治体に尋ねたところ、5年間で倍増していた。
対象は都道府県と政令市、東京23区、人口が10万人以上の市の計337自治体で、回答は約8割の282自治体からあった。申請を断ったのは65自治体で計154件。11年の福島第1原発事故で申請が増えたとみられる「原発」が64件、「憲法」55件、「平和・戦争」33件、「秘密保護法」2件。年度別では、10年度19件、11年度も23件と横ばいだったが、13年度42件、14年度36件と10年度からほぼ倍増した。
以前に応じていた後援を断るようになったケースは10件。うち「憲法」が6件と過半数を占め、「平和・戦争」「原発」が各2件だった。
千葉市は14年1月に内規を見直し「論点が分かれているとされる事実などについて主観的考えを主張すると認められる時は後援しない」という要件を追加した。市は「後援すれば主張にお墨付き与えたと取られかねない。どこで中立性を線引きするか、各自治体も悩んでいるのではないか」と話す。
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前掲の文章は、毎日新聞が10日から連載を開始した「不寛容の時代第2部 萎縮する社会」第1回の記事の一部です。「不寛容の時代」は「意見の分かれる政治課題や歴史認識、社会問題に対し、口をつぐむことが社会に強いられている」という「不寛容の時代」の現状と問題点を探ろうという企画です。
最近は後援の拒否だけでなく、イベントや展示の会場の使用を不許可にすることが日本中に広がっています。この「新聞の片隅・・」でも紹介しましたが、埼玉県の新座市は市民団体が行おうとした従軍慰安婦についての展示会に市の施設の使用を断ったり、東京・杉並区の中学校ではだしのゲンの英語版翻訳者の講演が決まっていましたが、前日に校長が断ってきたということもありました。この時校長は講演会を中止する理由について「近頃の事情」と言ったそうです。
この地方でも津島市と津島市教育委員会がそれまで毎年行っていたつしま九条の会の講演会への後援を昨年は断ったりしています。しかしつしま九条の会は津島市教育委員会・津島市と話し合う会を開くなどして、九条の会は戦争に反対し、平和憲法を守ろうと活動していることを説明すると、教育委員会・津島市も「つしま九条の会が尊い活動をしていることを理解しました」と、今年7月に行う10周年の集いでの川口肇さんの講演会の後援を復活することになりました。
最近リビジョニストと言われる人たちが「日本の過去は正しかった」という自分たちの考えを一方的に押し付ける風潮が高まっています。それに対して攻撃を恐れて口をつぐめば、再び「いつか来た道」に戻ることになります。つしま九条の会の経験は、当局側を非難するだけでなく、粘り強く説得する話し合いが必要なことを教えてくれています。
大西 五郎