随筆 ベルマーク雑感 H.Sさんの作品
バナナを買った。バナナの包装フィルムにベルマークがついているのを見つけた。
懐かしい思い出がよみがえった。二人の娘が小学校に通っていた頃、せっせと集めていた。
奇数の場合はじゃんけんで勝った方が学校に持っていく決まりを二人で作っていた。
企業のベルマークの教育資金援助は、娘が通っていた学校にとって大いに役立ってくれたはずなのに、娘たちが卒業、社会人となって久しい現在、ベルマークのことはすっかり頭から抜け落ちていた。
この事業に賛同する企業が、自社製品のラベルに、ちいさな釣鐘模様のマークを印刷して販売する。そのマークの付いた商品を児童の保護者が購入。マークを切り取って集め、学校に持ってゆく。学校はそれを集めて企業に送る。
企業から、一点一円としてカウントされ、一円が教育資金として学校に支払われた。百円の商品で一点がもらえる仕組みだったので、ひとり、ひとりの持ちよる枚数は少なくても、結構な金額になり、備品、教材を買う資金として大いに役立っていた。
バナナを手に取った私は、企業の教育資金協力が五十年も続いていたことに驚き、会社の子供達への思いやりと、真面目な姿勢が嬉しかった。
私の買った住友フルーツのバナナのベルマークは、1・5点。このバナナ二つで三円もらえる。常時、このバナナを買っていたのにどうして気が付かなかったのだろうと、一瞬考えた。孫が、今年から小学校に上がった。これが記憶を呼び戻したのだと、気づいた。
ずい分勝手なことだと、我ながら呆れる。早速、東京の孫に電話を入れ、この運動に孫が学ぶ学校が参加しているのかどうかを聞いた。
「集めているから送ってちょうだい」と、返事が来た。
この日から、ベルマークのついた商品を、注意して探すようになった。
ある、ある。白鶴酒造の酒。日清製オイリオの油。味の素のコンソメスープの素。森永製菓のキャラメル。明治製菓のチョコレート。牛乳石鹸。グンゼの子供用下着等。百五十社が協力しているとのことだ。
集めたマークの商品から、私の家の日常が透けて見えるようになっているのに気付いた。
それはこういうことだ。白鶴酒造の酒で晩酌をする夫。日清オイリオの油でとんかつを作り、味の素のコンソメで味付けしたスープを添える。おやつは、森永のキャラメル。明治製菓のチョコレートを食べ、住友商事のバナナを食べる。お風呂では、牛乳石鹸を使い体の清潔を心がける。孫にはグンゼの子供用の下着を送る。私の家はこういう生活をしていますと、教えているようなものだと笑えたが、集めることを止める気はさらさらない。
パソコンを使ってベルマークの付いた商品を探すのは容易いことだが、私は自分の目で賛同企業を探しながら使う商品を手に入れている。老人世帯なので多くの商品を手に入れるわけではないが、思わぬ企業がこの運動に参加していることを知るのは楽しいことだ。
ベルマークの効用は、学校が資金を得るだけでなく、私にとっても面白い作業になった。
バナナを買った。バナナの包装フィルムにベルマークがついているのを見つけた。
懐かしい思い出がよみがえった。二人の娘が小学校に通っていた頃、せっせと集めていた。
奇数の場合はじゃんけんで勝った方が学校に持っていく決まりを二人で作っていた。
企業のベルマークの教育資金援助は、娘が通っていた学校にとって大いに役立ってくれたはずなのに、娘たちが卒業、社会人となって久しい現在、ベルマークのことはすっかり頭から抜け落ちていた。
この事業に賛同する企業が、自社製品のラベルに、ちいさな釣鐘模様のマークを印刷して販売する。そのマークの付いた商品を児童の保護者が購入。マークを切り取って集め、学校に持ってゆく。学校はそれを集めて企業に送る。
企業から、一点一円としてカウントされ、一円が教育資金として学校に支払われた。百円の商品で一点がもらえる仕組みだったので、ひとり、ひとりの持ちよる枚数は少なくても、結構な金額になり、備品、教材を買う資金として大いに役立っていた。
バナナを手に取った私は、企業の教育資金協力が五十年も続いていたことに驚き、会社の子供達への思いやりと、真面目な姿勢が嬉しかった。
私の買った住友フルーツのバナナのベルマークは、1・5点。このバナナ二つで三円もらえる。常時、このバナナを買っていたのにどうして気が付かなかったのだろうと、一瞬考えた。孫が、今年から小学校に上がった。これが記憶を呼び戻したのだと、気づいた。
ずい分勝手なことだと、我ながら呆れる。早速、東京の孫に電話を入れ、この運動に孫が学ぶ学校が参加しているのかどうかを聞いた。
「集めているから送ってちょうだい」と、返事が来た。
この日から、ベルマークのついた商品を、注意して探すようになった。
ある、ある。白鶴酒造の酒。日清製オイリオの油。味の素のコンソメスープの素。森永製菓のキャラメル。明治製菓のチョコレート。牛乳石鹸。グンゼの子供用下着等。百五十社が協力しているとのことだ。
集めたマークの商品から、私の家の日常が透けて見えるようになっているのに気付いた。
それはこういうことだ。白鶴酒造の酒で晩酌をする夫。日清オイリオの油でとんかつを作り、味の素のコンソメで味付けしたスープを添える。おやつは、森永のキャラメル。明治製菓のチョコレートを食べ、住友商事のバナナを食べる。お風呂では、牛乳石鹸を使い体の清潔を心がける。孫にはグンゼの子供用の下着を送る。私の家はこういう生活をしていますと、教えているようなものだと笑えたが、集めることを止める気はさらさらない。
パソコンを使ってベルマークの付いた商品を探すのは容易いことだが、私は自分の目で賛同企業を探しながら使う商品を手に入れている。老人世帯なので多くの商品を手に入れるわけではないが、思わぬ企業がこの運動に参加していることを知るのは楽しいことだ。
ベルマークの効用は、学校が資金を得るだけでなく、私にとっても面白い作業になった。