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世界的大富豪の税制批判   文科系

2016年09月06日 07時14分20秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 コメントで紹介を予告しているこの本、『金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱』(ロナルド・ドーア著 中公新書)をまず拾い読みした。正に僕が読みたかったそのことズバリが、まとめてある。内容が3部に別れていて、一部は「金融化」現象、その要因、進化の解説。第2部は、これが社会、政治、教育をどう変えたか。最後の3部は、改革、弊害是正をめぐる各国や国際機関の動き。以上である。

 この本の特徴を端的に現す部分を一つ、ご紹介してみたい。世界的に超有名な投資家、ウォーレン・バフェットの以下こんな「正義の」言葉を紹介して、正に今の世界政経の本質を突かせている。これが根底から理解できる言葉というべきではないか。

『わが国の指導者は我々に「ともに分かち合う犠牲」を求める。ところが、私の犠牲はいらないらしい。私同様の超富裕層の友人に聞いても、同じだという・・・・。
 去年の私の納税額は、社会保障税も含めて、690万ドルだった。相当な額のようだが、私の課税可能総収入のわずか17.4%にすぎない。私の事務所にいる部下20人よりも私が一番低かった。彼らの納税率は、最低33%、最高41%であり、平均で36%だった。
 我々富豪族がこうした恩恵を蒙っているのは、ワシントンの政治家によって、絶滅寸前のヒキガエルのように保護されているからである。キャピタル・ゲインの15%という税率が、投資のインセンティブとして必要だとの理由で』

 バフェットのようなマネーゲーム大富豪のキャピタル・ゲイン税率が、わずか15%。こんな言葉がニューヨークタイムズに載り始めたら、国民が二大政党に愛想を尽かすわけだ。ここにこそ、80年代から米英がもたらし始めた現在世界の不幸の本質が最も集約されてあると述べているのだし。米英のように物の国際収支が大赤字の国が、金融収支で穴埋めをするようになって、しばらく後に日本がこれに追随した。そういう国は、マネーゲーム親分には「もっともっと儲けてくれ」ということなのであろう。90年代のアジア通貨危機のように、その活躍の分物作り国が被害を受けるようになったということなのである。

 次が、著者ドーアのバフェット評。以下は、以上述べたバフェットの言葉紹介のすぐ前に出てくるバフェット評なのだ。
『米国の最も有名な、そして最も裕福な、個人投資家──思想的にモノ作り主義者で、ユーモアがあって、社会的公正のセンスもあるウォーレン・バフェットが「ニューヨーク・タイムズ」紙へ寄稿した』
 日本にも、こんな気の利いた「社会的公正のセンス」溢れるような政府批判をするマネーゲーム大富豪はいないものだろうか。しかもこれがまた、「モノ作り主義者」だと断言されている。僕はもう、びっくり仰天である。さて、こんなことをニューヨーク・タイムズに書いたバフェットも凄いけど、これを見逃さず、こんな人物表現をした著者ロナルド・ドーアも大変興味深いという第一印象を持った。このドーアさんとやら、大変な日本通、否日本好きなのだろう。ロンドン大学を47年に出たときは日本語専攻。日本が、英米流を取り入れて、こんなに変わってしまったと、愚痴を語っているのかも知れない。ロンドン大学名誉教授、同志社大学名誉文化博士。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス特別研究員、英国学士院会員ともあった。

 

コメント (12)
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