日本で公開中のゴジラ映画最新作「シン・ゴジラ」。東京湾に現れ、街を押しつぶすゴジラはいつも通りの破壊的な存在として登場する。しかしシリーズ誕生から62年、29作目の本作品で描かれたゴジラと戦う官僚たちの姿はこれまでとは全く違う。
過去の作品では日本政府は地味な役回りを演じることが多く、政府の頼りない反撃などゴジラはものともしなかった。しかし最新作では官僚は日本の能力を誇示し、戦後の軍事的制約を棚上げすることをいとわない、祖国を守る勇敢なヒーローとして登場する。放射能を吐き出すゴジラを前に政府は延々と対応策の法的根拠を議論するが、結局は攻撃ヘリコプターや戦車、F-2戦闘機などを投入することとなる。これは国民の意識に変化があったことを如実に示している。(以下略)